時代背景をしっかりと窺える展示になっていた
初開催から10回目の節目を迎えた2025年のオートモビルカウンシル。三菱は、出展する日本車メーカー共通テーマの「過去が見た未来」に合わせ、1989年の第28回東京モーターショーに参考出品したコンセプトカーの「HSR-II」と最新モデルの「アウトランダーPHEV」を展示。さらに、三菱独自のテーマとして「時代を切り拓いてきた名車たち」を掲げ、4台のヘリテージカーを持ち込みました。
最新技術が満載だったHSR-II
三菱といえば世界ラリー選手権(WRC)におけるランサー エボリューションや、パリ・ダカール・ラリーにおけるパジェロの活躍などで「オフロードの王者」な印象がある。もちろんWRCにはターマックラリーといってオンロードが舞台のイベントもあるから、王者となるためにはオンロードの「走り」も磨かなければならないのは当然だ。
その過程において開発された電子制御技術をふんだんに盛り込んだ“夢のクルマ”がHSRシリーズ。これはHighly Sophisticated-transport Research(高度に洗練された交通の研究)の頭文字から命名されたもの。1987年の第27回東京モーターショーに初号機であるHSRが登場し、その2年後の1989年に発表されたのがHSR-IIだ。
パッケージとしては3LのV6DOHCツインターボエンジンをフロントに横置き搭載した4輪駆動車だった。メカニズムも紹介しておくと、エンジン・パワーや可変デバイスを使った空力特性、操縦安定性、情報インフォメーションなどをコンピュータで制御するもので、今では当たり前になった自動追尾や自動車庫入れの半自動制御など当時の最新技術を搭載していた。
時代を切り拓いてきた名車たちも展示
一方、4台のヘリテージカーについても紹介しておこう。
1964年、まだ軽自動車のミニカと小型乗用車のコルト1000/600しかなかった三菱のラインナップに、フルラインナップ体制を目指して投入されたのが5ナンバーフルサイズモデルのデボネア。GMから招へいしたプレッツナーさんをコンサルタントに迎え、威風堂々のスタイリングに仕上げて話題を呼んだ1台。
フェラーリやポンティアックで知名度の高まったGTOを名乗るギャランGTOは、ギャラン ハードトップをベースに、アメリカで人気が高かったマッスルカーの小型版的なデザインで1970年に登場。MRは、三菱の市販モデルとしては初のツインカム・ユニットを搭載したトップモデルで、デザインだけでなくパフォーマンスでも注目を集めていた。
そのGTOやギャラン・ハードトップの後継モデルとなったのが1976年に登場したギャランΛ(ラムダ)。半年前に登場した4ドアセダンのギャランΣ(シグマ)の2ドアハードトップ版でラップラウンドしたリアウインドウとロールバー風に仕上げたクオーターピラー(Cピラー)がスタイリング上の大きな特徴で、新鮮なデザインが話題となった。
そして1990年に登場したスタイリッシュな4ドアセダンがディアマンテ。サッシュレスドアを採用した4ドアのピラードハードトップで、5ナンバー枠にとらわれないゆったりしたデザインが特徴だった。メカニズム的には3Lを筆頭に数種のV6ユニットを横置きに搭載し、前輪駆動と4輪駆動をラインナップした。各種の電子制御を行うハイテク技術を搭載していたが、こちらも大いに話題を呼ぶことになった。
5ナンバー枠に収まっている初代デボネアの方が、全長と全幅でこれを少しずつ上まわっているディアマンテよりも大きく見えるというのはデザインの妙なのだろうけれど。より大きく見せたかった1960年代と、より引き締まって見せようとする1990年代の時代背景も窺えて、とても興味深い三菱ブースだった。




























































