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新型スバル「フォレスター」に辛口モータージャーナリスト試乗!「曲がるSUV」と思わせた実力とは

新型スバル「フォレスター」に辛口モータージャーナリスト試乗!「曲がるSUV」と思わせた実力とは

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TEXT: 斎藤慎輔(SAITO Shinsuke)  PHOTO: 宮越孝政(MIYAKOSHI Takamasa)

オールシーズンタイヤを装着

コースでの試乗車には、2.5Lストロングハイブリッド(グレード名にS:HEVが付く)の価格面で最上位となるプレミアムS:HEV EXと、1.8L直噴ターボのスポーツ EXが用意されていた。

ちなみにグレードは1.8L DIT車がスポーツ、ストロングハイブリッド車がプレミアムとX-BREAKで、それぞれに、アイサイトXを標準装備する上位モデルのEXがある。

試乗の場である袖ヶ浦フォレストレースウェイは、コースは屈曲と勾配には富む反面、じつは舗装面がスムースで乗り心地の子細な動きやロードノイズなどの評価にはあまり適さない。

そこで感じとれる範囲での話だが、第一印象として室内の静かさとフラット路面においても乗り心地は先代を確実に凌ぐと思えた。ひとクラス上とまでは言えるかはともかく、先代よりも上級感を備えたことはすぐに感じとれるくらいの差はある。

タイヤはスポーツとX-BREAKが18インチ、プレミアムは19インチ。サイズの違いに関わらずオールシーズン(スノーフレークマーク無し)だが、サーキット走行でトレッド面が荒れ始めていた状態においても、走り出しの際にゴロゴロ、ガサガサといった転がり感が伝わってきにくい。とくにモーター駆動で動き出すストロングハイブリッドにおいては、そこがよりわかりやすく伝わり、スバルが言うところの「動的質感」の入り口から上級移行を感じる。

動力性能は、e-BOXERの2Lマイルドハイブリッドを搭載した先代に対して、新型の2.5Lストロングハイブリッドは約100kg(オプションの大型サンルーフ装着車はさらに30kg増)の車重の増加分を補うに十分以上の発進加速力、追い越し加速などで、アクセルの踏み込み初期の加速など、いずれもが余裕を得られている。

2.5Lストロングハイブリッドの駆動用モーターの最高出力は88kw(119.6ps)、最大トルクが270Nmと、先代の2Lマイルドハイブリッドのモーターの10kw(13.6ps)、65Nmとは比較にならないほどに高性能化されているのだから当然ではある。そこに加えてエンジンが主体になる走行領域での絶対的なトルクの大きさと、それによる曖昧感を伴いがちなエンジン回転数の変動をできるだけ抑えているようには見受けた。

内燃機関車らしい小気味良い加速感を盛り込まれている

今回はステアリング上のスイッチで切り替えられる走行モードはIモード、Sモードともに試しつつ、大半をDレンジに任せきりで走らせたが、パドルでのマニュアルシフトライクな動作もきっちり可能。変速操作によるドライバーの意思尊重も得られる。このあたりもチェーン式CVTで感覚、官能性能の作り込みに苦労してきたスバルらしい面だ。

一方で、基本的に先代とエンジン性能値が変わらない1.8直噴ターボ搭載の「スポーツ」は、約70kg(大型サンルーフ横着車はさらに30kg増)重くなっている分、動力性能面では少し大人しくなっているように感じさせる。

ただ、室内に侵入するエンジン音が抑えられ、サイドのガラスの板厚を増し、静かになったことでロードノイズなど、走行感覚面で上質さが加わっている。これが実際の動力性能の差以上に、いわば「速さ感」が削ぎ落とされた印象に繋がっている。

サーキットでは、どうしても動力性能に目が行きがちになってしまう。けれども、リアルワールドでは、加速の質や感覚、それにドライバビリティの方が大切だ。そうした点からは、300Nmという最大トルクを持ちながらも、CVTの擬似ステップシフトにより、ICE(内燃機関)車らしい小気味良い加速感を盛り込んでいるあたり、永年の価値観による走りの楽しさは上手く盛り込まれているように思う。

なによりもリアルワールドで本質を確かめてみたいと思うことになったのは、ハンドリングと乗り心地のバランスにあった。まず、このスムースな路面においても、これまでのスバル車に比べても、路面からの微小入力域でも足が細やかに、しなやかに動くことは間違いない。

カーブでVDCがかなり早期から介入…

サスペンションストロークとフルバンプの際の受け止め方などを知るべく、わざと縁石に片側前後輪を乗せるラインどりで走らせて見たが、こうした際も足がスーッと縮み、そして伸びて収束する。つまり乗員にも優しい。

反面、ロールは1.8L DITのスポーツでも深い。ブレーキングからコーナー進入にかけて、ダイアゴナル(対角線上)に外側の前輪が沈み込み、内側の後輪が浮き上がり気味の姿勢になっていることが伝わってくる。

前輪に荷重がスムースに乗っていくので、旋回初期から前輪が曲げる方向の力を発生しやすく「おお。曲がるな〜」と素直にクルマは向きを変えていく。

少し気になったのはこの先。時に後輪側が思いのほか早い段階で接地限界を越えていく仕草をみせるのだった。とくにパイロンスラロームのように、急激に深いロールとヨーの変化を伴う動きでは、このリアの滑り出しを抑えようとVDCがかなり早期から介入してくる。

安全上からは、早めに介入して強制的に車速を落とし制御するというのはセオリーなので、その在り方自体は正しいのだけれど、この種のテストを多く経験してきた身からすると「もうこの段階で強く介入?」と、ちょっと物足りなかった。まったく同じ感想を述べた同業者がいたことからも、たまたま起きた現象ではなさそうだ。

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