懐かしのレーシングモデルを見られるチャンス!
富士スピードウェイに隣接する富士スピードウェイホテルの一角に、2022年10月にオープンした富士モータースポーツミュージアム。その名のとおり国内初のモータースポーツに特化した自動車博物館です。そして開館以来、富士スピードウェイで開催されるビッグイベントにちなんだレーシングカーを展示する企画展を何度も催してきました。そんな富士モータースポーツミュージアムでは、1960年代の日本グランプリで活躍したクルマをテーマとした「〜蘇る熱狂の60’s富士〜日本グランプリ企画展」を2025年8月末まで開催しています。
第1回日本グランプリで優勝した日野「コンテッサ」を展示
日本国内における近代モータースポーツの始まりは、1963年の第1回日本グランプリとされている。このときのホストサーキットは、その前年に完成した鈴鹿サーキット。翌1964年には第2回目となる日本グランプリが開催された。1965年はお休みして第3回目の日本グランプリは1966年5月に、前年末に完工し、同年1月から営業を開始した富士スピードウェイで行われた。
富士モータースポーツミュージアムで行われている企画展は、1966年の第3回日本グランプリから1969年の6回目となる日本グランプリ自動車レースまでをフューチャーしている。展示車両のなかには、1963年に鈴鹿で開催された第1回日本グランプリで優勝した日野「コンテッサ」の姿も。これは、1963年第1回日本グランプリのCIIIレース(701cc~1000ccのツーリングカー・レース)において、立原義次選手がドライブして優勝した日野コンテッサのレプリカ。現在では大型トラックやバスなど商用車の専業メーカーとなっている日野自動車が、当時生産していた小型乗用車のコンテッサをチューニングしたマシンだ。
1.3L 直4ツインカム・エンジンを搭載したダイハツ「P5」も展示
富士スピードウェイがホストサーキットとなってから3年目、1968年の日本グランプリはシボレー製の5.5Lプッシュロッド(OHV)V8エンジンを搭載した日産「R381」と自製の3L 4カム(DOHC)V8エンジンを搭載したトヨタ「7」の対決が注目を集めた大会となったが、小排気量のクラスにも興味深いマシンがエントリーしていた。その代表的なモデルとして、2Lのフラット6エンジンを搭載したポルシェ「910」と1.3L 直4ツインカム・エンジンを搭載したダイハツ「P5」が、今回の企画展に登場している。
ポルシェ910、通称“カレラ10”は前年、1967年の日本グランプリで日産のワークスマシン、R380と対決してレースを盛り上げ、これを破って優勝したポルシェ「906(通称“カレラ6”)」の後継モデル。ポルシェが1967年シーズンのスポーツカー世界選手権に向けて開発したグループ6のスポーツ・プロトタイプだ。2Lのフラット6と2.2Lのフラット8が用意されるパワーユニットは906から継承されていたが、小径ホイールを採用してフェンダーの膨らみを低くするなどカウルワークは一新されていた。
日本グランプリに参戦したのはトヨタと日産、2大ワークスに対抗しようと有力プライベートチームのタキ・レーシング・オーガニゼーション(TRO)が購入したポルシェ910で、元プリンスのワークスとして活躍した生沢徹選手がドライブ。2Lエンジン車ながら大排気量車を相手に善戦し、総合2位/クラス優勝を果たしている。
一方、ダイハツP5はダイハツが開発したレーシングカーでカテゴリーとしてはグループ6のスポーツ・プロトタイプ。つまりポルシェ910と同じグループ6の1.3L版になり、1968年の日本グランプリでは最小排気量、1300㏄以下のGP-Ⅰクラスながら吉田隆郎選手が総合10位で完走し、クラス優勝を飾っている。










































