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アバルト「シムカ2000コルサ」の落札価格約6930万円はむしろお買い得!? ワークスカーとして卸された希少な1台

アバルト「シムカ2000コルサ」の落札価格約6930万円はむしろお買い得!? ワークスカーとして卸された希少な1台

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2025 Courtesy of RM Sotheby's

ずっとイタリアに留まっている、素晴らしい1台

それから20年近い時を経て、今回のオークション出品車である現オーナーの父親が2019年にトスカーナ在住のコレクターから購入。その翌年には、エンジンのリビルドと4本の新品タイヤの交換を含む大規模なメンテナンスサービスを受けた。

現在のシャシーNo.#136 0046 は、正しい「ティーポ236」アバルト・シムカ用エンジンと58mm口径のウェーバーキャブレターを装備しているとのいう。実戦投入されたレーシングカーの常として、この個体もコルソ・マルケのアバルト本社工場出荷時の基準からは若干の相違があるそうだが、それでも短いレースキャリアを経ながらもずっとイタリアに留まっている、素晴らしい1台であることは間違いあるまい。

これらのアバルト シムカ 2000コルサは、素晴らしいドライビング体験を提供するとされており、たとえば「ヴェルナスカ・シルヴァーフラッグ」のようなモータースポーツイベントでも、今なおジャイアントキラーとしての評判を十分に享受している。

このオークション出品にあたり、RMサザビーズ欧州本社は

「ライトブルーの塗装が輝かしいこのマシンは、“トゥール・オート”や“グッドウッド・リバイバル”などのイベントでレースするのにエキサイティングなコンペティツィオーネであるだけでなく、日曜日の朝に気ままにドライブを楽しむのにも最適なスポーツカー」

と謳いあげつつ、44万ユーロ~54万ユーロ(邦貨換算約7172万円〜8802万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定した。

しかしミラノの市内、「ミラノ・コレクション」のファッションショーなども開かれているコンベンション施設にて挙行された競売では、エスティメート下限を少しだけ割り込む42万5000ユーロ。現在のレートで日本円に換算すれば、約6930万円で落札されることになった。

「元ワークスカー」のヒストリーを持つアバルト シムカが、現代の国際クラシックカー・マーケットに現れる機会は非常に少ないのが実情。それを思えば、千載一遇のチャンスにあたり比較的リーズナブルなハンマープライスで落札することのできた新オーナーは、とても良い買い物をしたということなのであろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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