ハイエンドモデル「S5アバント」に試乗
2024年7月に本国で発表されたアウディA5シリーズ。その日本仕様でトップグレードとなる「S5アバント」にモータージャーナリストの島崎七生人さんが試乗しました。SUVブームの日本で、ローフロアを選択する価値はあるのでしょうか?
A4のDNAを受け継ぐ新プラットフォーム採用の「A5」とは
「Audi A4の成功の歴史を引き継ぐ新しいモデルシリーズ。ミッドサイズセグメントにおけるマイルストーンを刻む重要モデル……」。これは新しく登場したアウディ「A5」の、メーカーのニュースリリースに書かれていた一文。なかなか上手いことを言うなぁ……と感心しつつも、ザックリと言うと、従来の「A5スポーツバック」と、「A4」はセダンではなく「アバント」のほうが引き継がれ、新しいA5シリーズを形成することとなったのが今回の新型。プラットフォームは従来のMLB evoから、同じエンジン縦置きで新開発のPPC(プレミアム・プラットフォーム・コンバッション)に一新されている。
ちなみにアウディのモデルネームロジックについては、少し前に電気自動車と内燃エンジン車とをモデル名の数字の部分の奇数、偶数で分けるといった話があったが、どうやらその方針は見直された模様。今後はパワートレインで区別されずにサイズと車格に基づきモデル名が表わされ、“A”(ローフロア)や“Q”(ハイフロア)の表記は従来どおりとし、さらにボディスタイル(アバント、セダン、スポーツバックなど)と、今まで同様のパワートレインコード(e-tron、TFSIe、TFSI、TDIなど)を用いていくという。
日本市場にも間もなく導入予定の新型「A6」は、このルール適用の第1号車になる。ついでながらモデル名関連で遡ると、アウディはかつて「80」「100」「200」と数字でモデル名を表記していた。が、現在の“A”で始まるモデル名に切り替わったのは、1995年に当時の4代目100(C4)の後期型が“A6”に改められたのが最初だった。
今回の試乗車、新しいA5シリーズに話を進めると、2024年7月の本国での発表から待つこと7カ月、2025年2月、日本仕様が登場。ボディタイプは、セダンタイプとワゴンのアバントの2種が設定される。“セダンタイプ”の表現になっているのは、これまでのA4にあったセダンとハッチゲート付きだったA5スポーツバックの両方のスタイルを併せ持つクルマに仕立てられたことから。このスタイルが巧みで、一見するとトランクが独立したセダンか? と思えるも、実はリアにノッチを持たせつつもスポーツバック方式で、トランクへは電動リアハッチゲートからアクセスする方式をとる。
一方で今回の我々の試乗車でもあったのはワゴンボディのほうで、目下のシリーズではトップグレードの「S5アバント」で、モデル名はあっさりとシンプルだが、3L(2994cc)のV6、TFSIのインタークーラー付きターボを搭載。これに従来のトルコンATに代わる7速Sトロニック(DCT)と、さらにフルタイム4WDのクワトロが組み合わせられたモデルだ。動力性能は最高出力270kW(367ps)/550Nm(56.1kgm)を発揮。加えて48VのMHEV plusも組み合わせ、トランスミッションの出力軸側にPTG(パワートレインジェネレーター、18kW/230Nm)が置かれ、EV走行と回生も実行される。



























































