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1年間しか生産されなかったシボレー「コルベット C2スプリットウインドウ」が約1990万円で落札!価格が伸びなかったのはヤレが原因?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2025 Courtesy of RM Sotheby's

ネットオークションでは、カタログ写真も重要?

今回のRMサザビーズ「Shift Online:North America 2025」オークションに出品された「スプリットウインドウ」C2クーペは、トリムタグに記載されているとおり、現在見られるとおりの美しい「タキシードブラック」。そのボディに、同じくブラックのビニールレザー内装という、工場出荷時と同じ状態で仕上げられている。

300psの327立方インチ(約5.4L)スモールブロック「ターボファイア V8」エンジンは、エンジンブロックの打刻にシークエンス表示されているシリアル番号により、ナンバーマッチングであることが確認されている。また、エンジン番号末尾の「SD」は自動変速機を指定しており、このコルベットには現在でも純正の2速ATが残されている。

今回のオークション出品者は、2017年にこのスティングレイ クーペを購入し、ブレーキの調整やエンジン周りの配線ハーネス交換など、いくつかの些末なトラブル箇所をすぐに修理した。その修理の請求書はファイルに保管されている。

また、2018年にはウインカースイッチとワイパーモーター、ヒーターシステムが修復され、2019年にはキャブレターとオルタネーターもリビルド。これらの作業の請求書と、修復または交換された部品の写真も、添付されるドキュメントファイルで確認可能という。

比較的リーズナブルな価格でオンライン競売は締め切りに

なお、現在の所有者のもとでは500マイル(約800km)未満しか走行しておらず、カタログ作成時に6万1461マイル(約9万8900km)を表示していたこのコルベットについて、RMサザビーズ北米本社は自社の公式カタログ内で

「出品者のコレクション内で良好な状態で保存されており、次なる幸運な所有者に楽しんでいただける状態です」

と謳ういっぽうで、現オーナーは14万ドル~16万ドル(邦貨換算約2015万円〜2305万円)という、このモデルの市場価値を良く調べ上げたエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

そして、この5月28日から6月4日までの1週間を入札受付期間としたオンライン競売では、ビッド(入札)がエスティメート下限には一歩届かなかったものの、それでもオーナー側とRMサザビーズ北米本社側で定めたリザーヴ(最低落札価格)には到達したようで、終わってみれば13万7500ドル、現在のレートで日本円に換算すれば約1990万円という、ここ数年の国際マーケットにおける「スプリットウインドウ」としては、比較的リーズナブルな価格でオンライン競売は締め切りとなった。

2010年代中盤以降の国際市場、とくにアメリカでは20万ドル前後での売買実績が多く見られる「スプリットウインドウ」にあって、低めに終わった今回のハンマープライスは、写真から見受けられるヤレ感(とくにインテリア)が影響しているかにも感じられる。

オークション会場で現物を検分する間もなく、カタログ写真だけで入札せざるを得ないオンラインオークションの弱点ともいえそうな特質が、この出品ロットにも表れたのではないか……? と思われたのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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