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フォルクスワーゲンの電動ミニバン「ID.Buzz」は快適なくつろぎ空間が魅力

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)

インパネが横基調のシンプルなデザイン

インテリアは上級クラスの国産ミニバンとはひと味もふた味も違う。フロアがフラットで、調光式パノラマガラスルーフは透明にも曇りガラス風にもできて便利。インテリアトリム類のデザインそのものもシンプルでクリーンなため、そんな空間で過ごすとじつに清々とした気持ちが味わえる。ロングはセカンドシートのスペースが明らかに広く、サードシートは窮屈感とはまったく無縁……といったところ。

装備は国産ミニバンのような手厚さはないものの、とはいえプラスアルファのアイテムが多数搭載される。ロングの場合、シートヒーターは前席左右だけでなくセカンドシートにも備わるほか、ステアリングヒーターも装備される。前席左右間に備わる“ID.Buzzボックス”は前席のセンターコンソールとして使えるだけでなく、後席からもアクセスできる引き出しを備え、さらに本体が可能になっているという気の利いたアイテム。

インパネ中央には使用時に手前に展開して使うドリンクホルダーも備える。新設計のMIB4システムを操作する12.9インチの大型タッチスクリーンもスムースな操作性になっており、少し角度をつけてセットされたスライダー(←指先でなぞる)の操作感もかなり自然なものとなった。

なんとなれば“IDAボイスアシスト”のアイダさん(!?)に声で頼めば、各種機能の音声操作も実現しており、こんな機能を1950年の初代タイプ2が見たら、ヘエーッ!? と驚くかもしれない。インパネそのもののデザインが、横基調のあくまでシンプルにデザインされたものであるのがスッキリとしていていい。

アクセルに対するレスポンスが素直!

ラゲッジスペースはセカンド〜サードシートの堅牢な背もたれを畳むと、いかにもVWらしいガシッとしたフラットなスペースが作り出せる。サードシート後方には、ロングにはこれもまたガシッとしたマルチフレックスボードが備わり、その下にピッタリと格納できるラゲッジボックスも用意される。

肝心の動力性能も十分で、アクセルに対するレスポンスが素直で、思いどおりの加・減速が可能。それと高速走行時の直進性を含めフラットで安定した乗り心地なのも魅力。同行した同業大先輩のKさんに運転をお願いしセカンドシート、サードシートも試したが、内外のEVを熟知されたKさんのスムースな天下一品の(!)アクセルワークということもあり、シート座面に立てて置いたペットボトルが倒れないままだったほどの乗り味が実感できた。サードシートはほんの少しタイヤの動きを感じることがあった。

ドライバーズシートのできがよいこともあり、長時間ドライブを終えてもまったく疲れ知らずだったことも印象的だった。初代タイプ2やこれまでの3代目カラベル、T4トランスポーターなどとまったく変わらない安定感のある乗り味と、家に帰ってきたような寛げる室内空間は魅力的だ。大人はもちろん、こんな極上ミニバンを原体験にできるお子さまはシアワセだと思う。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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