軽自動車レースが持つ可能性と魅力
10代からベテランまで幅広い層が参加する軽自動車レース「東北660」シリーズは、2025年で15年目を迎えました。驚くべきことに、このシリーズの舞台となる宮城県のサザンサーキットと福島県のリンクサーキットというサーキットの経営者自らが、ドライバーとして参戦していることです。そのふたりが語るHA36/HA23アルトで挑むレースの魅力、そして軽自動車だからこそ可能になる新しいモータースポーツのカタチを紹介します。
サーキット経営者が自ら挑む東北660
新規格NAのスプリントレースから始まった東北660シリーズは、カテゴリーを次々に増やし、早くも15年目のシーズンに突入した。エントラントは10代の若手から還暦をとうに過ぎたベテランまで幅広い。他のイベントでは珍しいことに、このレースにはサーキットの経営者自身が参戦している。
今回は、宮城県柴田郡村田町のサザンサーキットを率いる高杉俊太郎さんと、福島県福島市のリンクサーキットの代表である大内勇樹さんにお話を伺った。
サザンサーキット「HA36アルトは気軽に楽しめる」
スポーツランドSUGOの近くにあるサザンサーキットは、30年を超える歴史を持つショートコースだ。近年はドリフトイベントで全国的に知られている。東北660への参入は2023年の開幕戦からとまだ日は浅い。
「以前から盛り上がっているのは聞いていました。MTの新型車が少ないうえ、中古車価格が高騰し、クルマ遊びにお金がかかる時代です。新しい楽しみ方ができないか模索していました」と高杉さんは語る。
東北660への参戦のきっかけは、ドリフト仲間と共にHA36アルトのAGS(オートギアシフト)をベースに、サーキット仕様を製作したことだ。この車種はAT限定免許でも乗ることができる。その結果、サザンサーキットに集うクルマ好きが続々と軽自動車の面白さにハマり、現在は「サザン軽四部」として数台が東北660選手権とHA36カップのふたつのカテゴリーにエントリーしている。
当初は慣れないグリップ走行と軽自動車に手こずったが、経験を積みデータを蓄積したことで成績は着実に伸び、高杉さんたちは両カテゴリーで表彰台の常連となっている。マシンは製作コストを抑えるため、できるだけ安価なパーツを使うのがこだわりだ。
高杉さんがイチオシするHA36アルトは、中古車も維持費もリーズナブルだ。最近のクルマであるため、街乗りの快適性も古い軽自動車とは段違いに良い。レギュレーションでエアコンも取り外せないため、普段の通勤や買い物にも不便はない。今後はHA36の仲間を増やすと同時に、FRのドリフト仕様も増やしていきたいとのことだ。
















































