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猛暑の影響で「電動ファン故障件数」が急増中!早めのモーター交換でエンジンブローを予防できる

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)

  • 電動ファンとファンモーター
  • 走行風が十分ラジエターに当たっているときは水温計に異常が見られないため、故障に気がつきにくい
  • オーバーヒートの原因となった故障した電動ファンモーター
  • 交換後の電動ファン
  • 初代ロードスターの電動ファンは、水温が102℃から108℃になると作動する仕組みだ
  • 電動ファンが回らないまま水温が上昇すると、たちまちリザーバータンクから冷却水があふれ出す事態となる
  • ラジエターファンのモーターは予兆なく壊れるため、厄介だ。水温計の針が上昇したら、かなり高温になっている
  • 初代ロードスターの冷却ファンは2個あり、クルマの前から見て右側がラジエータ専用、左側がエアコンのコンデンサー用
  • 平成以降のクルマで水温計の針がぐんぐんHに移動するときは、オーバーヒート寸前

酷使された旧車のラジエータファンモーターが悲鳴をあげている

この夏の猛暑で、古いスポーツカーやヤングタイマーに冷却系のトラブルが多発しています。筆者のマツダ初代「ロードスター」も渋滞時に水温が急上昇。原因は電動ファンモーターの故障でした。電動ファンは予兆なく壊れるうえ、純正部品は製造廃止や価格の高騰が進んでいます。なかには数年で数倍に跳ね上がったケースもあり、旧車オーナーにとって深刻な問題です。気候変動による猛暑と部品不足が重なる今こそ、早めの点検やパーツ確保が必要になっています。

平成以降のクルマで水温計の針が動き出したら要注意!

この夏は猛烈な暑さが続いた。8月5日には群馬県の伊勢崎市で41.8℃を記録し、国内の最高気温を更新した。全国各地で40℃超えの地域が出現している。ここまで暑いと、少し旧いクルマではトラブルが出ない方が不思議なくらいだ。実際、この夏は冷却系統に問題が出ているヤングタイマーが増えている。

筆者が所有する初代ロードスター(NA型)もその1台だ。空いている道をスムースに走っているときや夜間は正常だが、渋滞にはまると水温計がぐんぐん上昇する。「昭和のクルマではあるまいし、オーバーヒートなんて無縁だ」と思っていた筆者も、これには驚かされた。

調べてみると、原因はラジエータの電動ファンモーターが寿命を迎えていたのであった。初代ロードスターの冷却ファンは2個あり、クルマの前から見て右側がラジエター専用、左側がエアコンのコンデンサー用である。

ロードスターに限らず、ラジエータファンのモーターは予兆なく壊れるため、厄介だ。しかも、外気温が低かったり、走行風が十分ラジエータに当たっているときは水温計に異常が見られないため、故障に気がつきにくい面もある。

初代ロードスターの電動ファンは水温が102℃から108℃になると作動する仕組みだ。これが回るべきタイミングで回らないと、すでに水温はかなり高い温度になっており、たちまちリザーバータンクから冷却水があふれ出す事態となる。

ちなみにヤングタイマーの一部も含め、最近のクルマの水温計はインジケータ程度と思ったほうが懸命だ。メーカーとしては、オーナーが水温の上下に敏感になりすぎないようにと、一般的に70℃から105℃くらいの間ではメーターの針は中央を指すように設定している。もし、針が動き出したら水温はオーバーヒート寸前になり始めていると思ったほうが賢明だ。

電動ファンモーターはある日突然壊れるため、旧車オーナーは予防整備的に、症状が出る前に新品に交換したほうがいいだろう。ディーラーでも、2024年あたりから電動ファンモーターの故障車は定期的に入庫していると話す。ロードスターやマツダ車に限らず、1990年代のスポーツカーで、電動ファンのモーターが壊れるのは珍しいことではなくなってきた。猛暑でラジエータファンの稼働率が高まっていることも、故障発生件数増加の原因かもしれない。

純正パーツの製造廃止と価格高騰はさらに怖い

電動ファンモーターが予兆なく壊れるのも怖いが、もうひとつ怖いのは、純正パーツの製造廃止と急激な値上がりだ。

例えば、1990年デビューの日産P10型「プリメーラ」の場合、2024年まで5万円だった純正のラジエータファンモーターが一気に4倍の20万0000円に爆上がりしたという。オーナーの間で悲鳴が上がっていると聞く(初代ロードスターの純正部品は、じつはまだ3万6322円であった)。

最悪、中古を探す手もあるが、故障も怖い。部品の値上げ、欠品、製造廃止も怖い。旧車オーナーには、今のうちに新品パーツを確保しておくことをおすすめしたい。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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