クラッシュしても「モビー ディック」を何度も自作できるように型まで起こした
松本さんは少年の頃からポルシェ935/78モビー ディックに憧れていたと話す。当時、マルティニカラーがどことなく日本的な雰囲気を持っているという印象を受けたことが、ひと目惚れのきっかけであった。タミヤのプラモデルを作り、「いつかは乗りたい」と願っていたという。
現実問題として、レーシングマシンである伝説のポルシェ935/78モビー ディックが市場に出まわることはない。そこで大人となり、経営者となり、クルマ店を経営する松本さんは、自ら憧れたモビー・ディックを製作しようと決意したのである。
現車に限りなく近づけるため、プラモデルやスケールモデルカー、当時の写真や資料を集めた。そして、愛車として購入しサーキット走行を楽しんでいた1989年式ポルシェ930ターボをベースに、モビー ディック外装化計画をスタートさせた。FRPを使って型を起こし、見事に完成させたのである。
1点物のワンオフ外装であれば、手間と費用がかかる型をあえて作る必要はない。しかし、最初からサーキット走行を楽しむクルマとして製作しているため、万が一のクラッシュに備えてスペアパーツを作製できるようにしたのが型起こしの理由である。
ただし、このモビー ディックボディキットは、ベースとなるサーキットスペックの930ターボがすでに極太のタイヤを装着していたため、ボディをそれに合わせて製作した。本物は横幅2m以内に収まっているが、このマシンは2m強あるため、実際よりも横幅を広く設計している。
エンジンは耐久性を重視したチューニングを施す
ボディ以外ではエンジンにも手が加えられている。3.3L仕様のメカチューンを施し、モーテック(MoTeC)を使ってマネージメント制御されている。タービンはKKK社製K5タービンをセットし、出力は控えめの450ps前後である。
ピークパワーを求めるチューニングではなく、あくまでもサーキット走行を楽しめる仕様として、耐久性を重視した強化ユニットとなるようなパーツを選び、組み込んでいる。
ボディのマルティニカラーに加えて追加したゼッケン48は、自身の生まれ年を意味させている。
「どうせ何か入れるならば、これが分かりやすいだろうと思いまして。細かい部分まで追求したので大満足です。1分の1のオモチャとしだいぶ費用はかかりましたが、これ以上ない満足度の高いマシンに仕上がっています」



















































