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貴重なシングル・ナンバー「510ブルーバード」という”バトン”を世代を越えたイベント仲間が受け継ぐ!

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循(NAGAO Jun)

  • ダットサン ブルーバード 1600SSS クーペ:6眼メーターを採用
  • ダットサン ブルーバード 1600SSS クーペ:珍しいオートマチックモデル。水中花のシフトノブにも注目
  • ダットサン ブルーバード 1600SSS クーペ:2ドアと4ドアのセダンに続き、クーペは全高が5mm低い
  • ダットサン ブルーバード 1600SSS クーペ:L16型1.6L直4SOHCエンジン
  • ダットサン ブルーバード 1600SSS クーペ:前オーナー時代から丁寧にメンテナンスされていただけに、非常に良好なコンディションを保っている
  • ダットサン ブルーバード 1600SSS クーペ:貴重なシングル・ナンバーをキープしつつ、愛好家たちの手によって世代を越えて引き継がれていく
  • ダットサン ブルーバード 1600SSS クーペ:スカッフプレートには「DATUN」のロゴが入る
  • ダットサン ブルーバード 1600SSS クーペ:リアパネルにはクーペのロゴが入る
  • ダットサン ブルーバード 1600SSS クーペ:躍動感のあるデザインに磨きをかけたクーペスタイルが特徴的だった。シーケンシャルウインカーを日本車で初装着した
  • ダットサン ブルーバード 1600SSS クーペ:CピラーにもSSSのロゴが入る
  • ダットサン ブルーバード 1600SSS クーペ:1969年式でシングルナンバーで維持され続けている
  • ダットサン ブルーバード 1600SSS クーペ:オーナーの森さんは「日産・ダットサン好きという共通の趣味仲間の繋がりがあって、前オーナーから譲っていただいた」と話す

趣味の繋がりで受け継がれた510

クラシックカーの世界では、1台のクルマがオーナーから次オーナーへと受け継がれながら大切に残されていくことがあります。今回紹介するのは、そんなオーナーたちが歴史をつなぐ1969年式ダットサン「ブルーバード1600SSSクーペ」。新潟県糸魚川市で開かれた『第20回フォッサマグナミュージアム・クラシックカーミーティング』の常連車両として知られていますが、現在のオーナー・森浩一さんの手に渡ったのは、じつは2025年3月のこと。新たなオーナーにバトンをつないだ名車です。

常連車に見えてじつは新オーナー

近年はヤングタイマーやネオクラシックと呼ばれる、2000年頃までに登場したクルマが参加できるクラシックカーのイベントも増えてきた。

しかし、歴史ある本イベントに参加資格のある車両は「基本的に1974年以前に生産された車種」と定められており、その規定は開催当初から変わっていない。主催者のこのような見識が、古くからのファンには懐かしく、若いファンには新鮮なクルマが間近で見られるイベントとして、長い間人気を保っている要因であろう。

今回で第20回という節目を迎えたイベントだけに、常連の参加車両も多い。本稿で紹介するブルーバード1600SSSクーペも、ここ糸魚川のイベントではお馴染みの常連車両である。

筆者は本イベントに過去にも訪れており、この510型ブルーバードは見覚えはあったが、オーナーに話を聞く機会は今回が初めてである。

「ご覧のとおり510ブルーバードの1600SSSクーペです。年式は1969年式。じつは2025年の3月に私の手元に来たばかりなんですよ」

と話してくれたのは現オーナーの森浩一氏。

「富5」のシングル・ナンバーを掲げた常連車両であることから長年所有してきたと思われたが、実際は手に入れて間もなかったのだ。

「イベント自体は昔からおなじみです。私はもともと1962年式のセドリックに乗っていたのですが、日産・ダットサン好きという共通の趣味仲間の繋がりがあって、このクルマを前オーナーから譲っていただいたのです」

譲り受けて間もない510型ブルーバードは、SSSというスポーティ・グレードだがオートマチックと、当時としては珍しい組み合わせと言える。前オーナー時代から丁寧にメンテナンスされていただけに、非常に良好なコンディションを保っている。

「1960年代から1970年代にかけて、国産車は長足の進歩を遂げたと思います。セドリックと比べるとそれがよくわかります。1962年式のセドリックだと、高速道路でも巡航速度は70km/hがせいぜいですが、510であれば100km/h巡航も苦になりません」

310型および410型ブルーバードで世界の市場に橋頭堡(きょうとうほ)を築き、510型で大成功を収めた日産。日産大躍進の象徴とも言える510型ブルーバードが、貴重なシングル・ナンバーをキープしつつ、愛好家たちの手によって世代を超えて受け継がれていくことは、素敵なエピソードである。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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