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雨が呼んだ東北660選手権の新星!車重の重さ跳ね除け優勝に輝いた若手ドライバーの実力

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • 小学生のときにカートを始め、クルマの免許を取ってからはJAF公認のジムカーナやレースを経験
  • ダイハツ ミラ:内装はレギュレーションで許される範囲で、安全性に影響のない部分はすべて取り外している
  • ダイハツ ミラ:クスコとブリッドのコラボレーションのフルバケットシート。シートベルトはクスコ製
  • ダイハツ ミラ:熱の影響を嫌い、エアクリーナーボックスは純正。さらに耐熱クロスで全体を覆っている
  • ダイハツ ミラ:バッテリーは軽量タイプに交換 ボンネットなどもFRPにしているがまだ他車よりも重い
  • ダイハツ ミラ:カメラもできるだけ小型で軽量なタイプを使う。本体に巻き付けたパッドは振動の対策か
  • ダイハツ ミラ:ドライビングの解析に欠かせないデータロガーはAIM製。前後カメラとマイクも併用する
  • スキルアップに絶大な効果があるデータロガー。東北660に限らずレースでは必須だろう
  • 自分自身のデータを取るだけはなく、時には別の人に乗ってもらって比較することもある
  • ダイハツ ミラ:雨のSUGOの開幕戦で優勝したが、第2戦はドライ。さらなる軽量化を進め戦闘力アップを図りたい

父と二人三脚で参戦!開幕戦に続きSUGO連勝を目指す

東北660選手権は、軽自動車だけのバトルが繰り広げられる人気の草レースです。表彰台に乗った回数で自動的にクラスが上がる独特の仕組みがあり、毎年新しい注目株が現れます。今回は、クラス3に現れた20代前半の新星ドライバーの挑戦を追いました。

軽いと思って用意した白いマシンはオプション装備満載

東北660選手権は表彰台に乗った回数で強制的にステップアップする制度があり、いい意味で血の入れ替えが起きたのが3クラスだ。毎年のように新しいヒーローが誕生し、よりレベルの高いバトルが繰り広げられる。その関係は1クラスや2クラスでも続く。

今シーズンの開幕戦で初優勝を遂げ、大いに注目を集めたのは千吉良怜選手だ。まだ20代前半と非常に若いドライバーだが、サーキットの走行歴は早くも4年に達している。JAF公認のジムカーナや数々の耐久レース、またヤリスのレースなど豊富な経験を誇る。

東北660選手権への初参戦は2023年の開幕戦で、そのときは予選を通過できず悔しい経験をした。レースに臨む体制は父親と二人三脚。他のドライバーから助言を受けつつ車両を製作した。愛機ダイハツL275型「ミラ」は白の塗装が軽いと聞いてチョイスしたが、オプションパーツが多く、意外に重かったのが誤算だと話す。当初の車重は740kgもあり、ストレートでは軽いスズキHA23型「アルト」どころか、同じL275型ミラにも追い付けず、ボディの軽量化が大きな課題となっている。

雨がもたらした大金星!経験豊富な20代前半のルーキー登場

優勝した今年の開幕戦のSUGOでは、決勝前日の練習走行はドライ路面だったため、正直いって上位陣とは勝負にならないタイムだったそうだ。ところが決勝日は千吉良選手にとって恵みの雨となり、ストレートの遅さが帳消しとは言わないまでも、ハンディキャップの少ない状態で戦えたのである。

とはいえ予選はポールに届かず3番手。トップから約1秒のタイム差は決して小さくなかったが、モータースポーツで培った引き出しの多さと、また卓越したマシンコントロールで大金星を挙げた。

続く第2戦のエビスサーキット東コースは、距離こそ短いものの長い上り勾配があり、車重がタイムに大きく影響する。予算とレギュレーションの許す範囲で軽量化し、排気系や点火系も色々と煮詰めてきたものの、中段グループに飲まれ、7位でフィニッシュした。しかしタイヤの15インチ化や足まわりのセッティング変更など、ここで得た貴重なデータは間違いなく今後に活用できるはずだ。

JAF公認レースの参戦経験が美しいマシンメイクを実現

また、東北660選手権すべてのドライバーにも注目してほしいと思うのが、シンプルながらもキレイなマシンメイクだ。とくに室内はメーター類の取り付けから軽量化まで、視認性や安全性はもとより美観にもこだわっている。このあたりはJAF公認レースの経験が活きているのだろう。

そんな千吉良選手が当面の目標として掲げているのは、初優勝を飾ったスポーツランドSUGOでの連勝である。前述のとおり現状の重い車体では決して簡単な話ではないと思われるが、リアバンパーのダクトを手直ししたりデータロガーによる解析を進めて、ドライ路面でもトップチェッカーを受けるべく父との共闘は続いていく。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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