クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • SPORT
  • 苦節14年の快挙!東北660シリーズでついに初優勝を果たしたベテランドライバー
SPORT
share:

苦節14年の快挙!東北660シリーズでついに初優勝を果たしたベテランドライバー

投稿日:

TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • ダイハツ エッセ:ベース車に搭載されていたエンジンは不調で、コンディションのいい中古に載せ替え
  • ダイハツ エッセ:生産終了から14年が過ぎたエッセ。コイルなど経年劣化したパーツはすべてリフレッシュ
  • ダイハツ エッセ:バケットシートは古いモデルだが生地やスポンジを張り替えて現役で使用中
  • ダイハツ エッセ:第2戦では初優勝を記念してスポンサー企業から愛車をイラスト化したパネルをプレゼントされた
  • ダイハツ エッセ:ロールバーパッドは接続する部分を除きカットせず巻き付けるのがこだわり
  • ダイハツ エッセ:ワイドな視界のルームミラー。接触でドアミラーが畳まれても左右を確認可能
  • ダイハツ エッセ:メーターはデータロガーとしても活用できるデフィーのDSDF。見た目もレーシーで好み
  • ダイハツ エッセ:サブコンや空燃比計はまとめてセンターコンソールに装着。視認性も操作性も上々
  • 気が付けば初参戦から14年。ほぼ毎年シリーズ全戦にエントリー
  • ダイハツL275ミラを2台乗り継いだ後エッセにチェンジ。今後も軽量化を進めたい

14年目にして人生初のポール・トゥ・ウイン

軽自動車だけのレース、東北660シリーズを長年走り続けてきた米山修二さんが、雨を味方にした開幕戦では、自身初となるポール・トゥ・ウィン。これまで積み重ねてきた経験と丁寧な準備が、大きな結果につながりました。

降雨とリニューアルした路面にいち早く対応できる適応力が結果を導く

若いドライバーが多い東北660シリーズだが、参戦歴が10年を超えるベテランも少なくない。2012年の開幕戦でデビューした米山修二もそのひとりである。当初は神奈川県に在住しダイハツL275型「ミラ」で参戦していたが、現在は宮城県へ移り住み、愛機もエッセに変わっている。

レース歴は長いものの、公式レース経験者や勢いのある若手に押され、3クラスでも2クラスでもなかなか表彰台に上がれず、予選を通過できないことも多かった。だが、米山が絶対的に自信を持つシチュエーションがある。それは大半のドライバーが嫌うウェット路面だ。彼の言葉を証明するかのように、雨となった2014年の特別戦では、強豪がひしめく2クラスで3位と初の表彰台に立った。

そしてスポーツランドSUGOで開催された今シーズンの開幕戦。リニューアルされた舗装と雨に手こずる参加者が多いなか、米山は14年目にして初めてのポール・トゥ・ウィンを達成した。

予選の間は、トップタイムに盛り上がるピットの仲間たちのことを知る由もなく、米山は電光掲示板を横目に次のように感じていた。

「あまりタイムが出ていません」

ところがピットへ戻ってみれば、2番手に0.26秒の差を付け、堂々のポールポジションを獲得していて驚いたそうだ。リアが滑ってもコントロールできる技術に対する信頼と、いち早く路面の特徴を掴んだ経験によるものだろう。

続く決勝も後続のマシンに激しく追い上げられたが、ポールポジションのアドバンテージを活かし逃げ切った。安全に楽しく完走することが目標のエンジョイ派であっても、やはり先頭でチェッカーを受けることはレースの醍醐味である。

なお、コンソレーションレースでは表彰台の常連であり、本人がそのことを自虐的なネタにすることもある。ただし、コンソレーションレースで上位に入るということは、決勝に進む顔ぶれと紙一重の実力を持っているのと同義である。すでに高いマシンコントロールのスキルは備わっており、今回のレースではより高いレベルでの競り合いを経験した。苦手とするドライ路面での勝利に向けた準備は整ったかもしれない。

セッティングを無闇に変えずにマシンの特性を把握することが重要

なお、米山のマシンは几帳面な性格を反映しているのか非常にキレイで、レースの車検スタッフが「手本にしてほしい」と手放しで褒めるほどだ。

また、ビギナーやなかなか芽が出ないドライバーに知ってほしいのは、無闇にセッティングを変更せず同じ仕様で走り込む彼のスタイルである。予選でタイムがあまり伸びなかったからといって、決勝までの間にタイヤの空気圧やダンパーの減衰力、下手をすればスプリングまで交換する人もいるが、ぶっつけ本番のセッティングはいい結果を生まないどころか、変化した挙動に対応できず逆効果になる場合が多い。

時間はかかるかもしれないが、一か八かの賭けに出ず、走り込みを重ねてマシンの特性を正確に把握し、改善すべき箇所をピンポイントでセッティング変更する。そんな米山流のスタイルと安全なマシンメイクは、すべてのエントラントに見習ってほしい。初優勝の経験を糧としたベテラン、米山の今後にも注目したい。

すべて表示
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
著者一覧 >

 

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

人気記事ランキング

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS