仕方なくが買ったクルマが今や「もったいなくて手放せない」に変化
「25年前、たまたま選んだ1台が、気づけば人生でいちばん長く付き合うクルマになっていました」と話すのは、1980年式トヨタ「クラウンバン」に乗り続けている佐々木亮さん。車齢45年を超える旧車を、修理を重ねながら手放さない理由を聞いてみました。
学生時にグロリアバンからクラウンバンに乗り換えた
学生時代、購入した時点ですでに20年落ちの状態だったという、佐々木亮さんの1980年式トヨタ クラウンバン スーパーデラックス。佐々木さんは、もともとこのクルマを購入する気はなかったという。その前に乗っていた日産Y30型「グロリアバン」が壊れたタイミングで同じクルマを買いに行ったが、販売価格が高かった。そこで、たまたまそこにあった見たことがないクルマを購入。それが25年もの間所有し続けている、このクラウンバンだ。
「本当は愛着があるからY30を直して乗ろうと思っていたんですけど、修理にお金もかかるし、周囲から『それは絶対に捨てた方がいい』と言われて、しょうがなく換えるかって感じでしたね。購入時のクラウンは変なホイールを履いていましたけど、基本はノーマルでした。車高をとりあえず下げて、前のクルマに履かせていたタイヤとホイールをそのまま移植して。やったのは足まわりぐらいで、あまりいじっていないですね」
あまりいじっていないと佐々木さんは言うが、足まわりはフロントはスプリング、リアがブロック(4インチ)でのローダウンとなっている。さらにホイールはAHPの5スポーク、追加メーター、シフトノブ、トヨタ「スタウト」純正ステアリング、ムーンアイズのマフラーカッターなどでカスタムされている。カスタムしている部分以上に、すでに45年もの年月が経っているクルマだけに、トラブルやメンテナンスの状況も気になるところだ。
「初めの頃、電気系がダメになっていきなり止まったり、キャブがダメになったりしました。ヒーターコア(温風を作るための部品)が壊れて、乗っていたらいきなり冷却水が助手席からぼたぼた漏れて煙が出たこともありますね。大きなものだとヘッドガスケット(エンジンの密閉を保つ部品)が抜けたりと、ひととおりは壊れたかなって感じです。もう純正パーツは何もかも出ないですね。アイドラアーム(ハンドル操作を伝える部品)も何回か換えているんですけど、もう手に入りません。とにかく、維持できればという思いでやっています」と佐々木さんは語る。
20年以上プレッシャーに耐えて乗り続けいる
さまざまなトラブルに遭いながら、25年間クラウンバンに乗り続けている佐々木さん。クルマを乗り換えるタイミングは何回かあったはずだが、なぜそこまでクラウンバンにこだわるのだろうか。
「あんまりクルマに興味がなくて、新しいクルマが欲しくないだけなんですよ。もったいないから乗っているだけで。ただ、嫁は『早く捨てろ』と言っているので、それにいつまで耐えられるかですね。そのプレッシャーに20年耐えてきたんで」


















































