バッテリーやパワーユニットは国産メーカー各社が担う英国製EV
東京オートサロン2026の会場で、静かに注目を集めていたのがケータハムのEVスポーツ「プロジェクトV」でした。見た目は完成車のようでありながら、じつは市販前のプロトタイプ。しかも開発の中核を担っているのは日本のエンジニアたちです。軽さと走りを信条としてきたケータハムが、なぜEVに挑むのか聞いてきました。
コンセプトでも市販車でもない最新プロトタイプ
東京オートサロン2026では、ケータハムが開発を進めているEVスポーツカー「プロジェクトV」の最新プロトタイプが登場しました。
「?」が付くのは、これが市販車でもコンセプトモデルでもなく、市販を前提としたプロトタイプだからです。「プロジェクトV」は、英国のスポーツカーブランド「ケータハム」が開発を進めているEVです。2023年の英国グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで世界に初公開され、その後2024年と2025年の東京オートサロンで進化した車両が出展されています。
今回、オートサロンの会場では、その「プロジェクトV」の量産化に向け開発・製作した最新プロトタイプが世界初公開となりました。市販車として求められる基本性能の熟成が大きく進んだ仕様となっているようです。
この車両の開発を担当しているのが東京アールアンドデーです。以前のモデルと比較すると、モーターはヤマハ製になり、シートは3座から4座へと変更されました。そして台湾のXING Mobilityの液浸冷却バッテリー技術「IMMERSIO CTP(Cell-to Pack)」を搭載します。
CTP(セル・トゥ・パック)はバッテリーセルを直接パックに詰め込む技術で、誘電流体(絶縁性のある液体)に浸すことで熱暴走を防ぎ、迅速かつ均一な温度制御が可能になります。これにより安全性の向上やバッテリー寿命の延長、幅広い動作温度範囲を獲得できるなどの利点が挙げられます。
バッテリーはパナソクニックでパワーユニットはヤマハとエネオスが担当
バッテリーのセル自体はパナソニックエナジーの車載用円筒形リチウムイオン電池。液冷のオイルは、電気絶縁性を備え液浸冷却用に最適化されたENEOS(エネオス)製のEV FLUID「BATTERY COOL」です。ENEOSの電動トランスアクスル用の「e-Axle Fluid」も使われています。こちらは従来の潤滑油と比較して大幅な低粘度化を実現しており、攪拌損失(オイルをかき混ぜる際の抵抗)の低減とモーターの冷却性能、さらに耐久性と消泡性、電気絶縁性を両立しているといいます。
搭載されるヤマハ発動機のモーターユニットは、モーター、インバーター、ギヤボックスの3in1構造で、高出力・軽量・コンパクトが特徴のユニットαlive EE(アライヴ・エレクトリックエンジン)「e-Axle」です。このモーターを1基搭載して後輪を駆動し、その出力は200kW(272ps)を発揮します。
ターゲットスペックとして掲示されたデータによると、ボディサイズは全長4350mm×全幅1850mm×全高1230mm、ホイールベースが2630mm、車両重量1430kgとのこと。搭載するバッテリー容量は47kWh前後となり、1回あたりの航続可能距離(WLTP値)は400km、という目標値が設定されています。
このプロジェクトは英国主導で行われているものの、ケータハム自体は日本のVTホールディングスの傘下にありますし、市販および量産化に向けた開発は東京アールアンドデーで進めているため、ある意味「日本生まれのEV」といえるかもしれません。ただ、“Pure. Simple. Fun.”というケータハムのDNAを継承したEVの登場は、まだもう少し先のようです。










































