世界屈指の整備工場で完璧な作業を実施
Ferrari初となるミドシップの真価を問う!
2025年3月、ドイツのデュッセルドルフにあるクラシック・フェラーリやF1マシンの整備で世界トップクラスの技術を持つと言われている「モデナモータースポーツ」により大規模な機械的整備が実施され現在の卓越した状態に至った。作業内容はエンジンの完全分解にはじまり、シリンダーヘッドおよびバルブトレインの整備、新品ピストンベアリングを用いた再組み立て、キャブレターのオーバーホール、タイミング・点火系の整備、さらにギアボックスの再シーリングと新品クラッチ交換にまで及んでいる。

シャーシ面でも大規模な作業が行われ、ホイールベアリングとサスペンションブッシュの新品交換、コニ製ショックアブソーバーの整備、ホース・ブレーキパッドの新品交換を含むブレーキキャリパーのリビルド、ブレーキディスクの加工なども実施されている。総修復費用は12万7938ユーロ70セント(約2000万円)に達した。
出品時点の走行距離は4万1269km。リアのクラムシェルを開けると、驚くほど整然としたエンジンルームが現れる。アンダーカーリッジ(下部構造部分)には亜鉛メッキ部品が多数配置されており、直近のオーバーホールを裏付ける見事なコンディションに仕立てられている。純正オリジナルの工具キットと取扱説明書が専用フォルダーに収められて付属するのも、コレクターにとっては見逃せないポイントだろう。
ブロードアロー・オークションズは「間違いなく市場に出回るベルリネッタ・ボクサーの中でも最高峰のコンディションを誇り、フェラーリのフラッグシップモデルを収める本格的なコレクションに相応しい一台。世界中のフェラーリイベントへの参加にも最適」と絶賛するコメントを捕捉している。そこコメントを証明するかのようにエスティメートは45万ユーロ〜50万ユーロ(邦貨換算約8250万円〜邦貨換算約9160万円)と、近年の365BB相場からしてもかなり強気な設定だった。

ところが1月23日にスタートしたオンライン競売では、期待通りには入札が進まなかった。1月30日の締め切りを迎えても現オーナーが設定した最低落札価格には届かず、流札に終わってしまったのだ。現在は「Estimate Available Upon Request(見積価格はお問い合わせください)」という文言とともに、ブロードアロー・オークションズの営業部門による個別販売へと移行している。
365GT4/BBという類稀なマシンで、これほどの整備とコンディション、さらにワンオーナーという素晴らしい生い立ちが揃っていても、1億円という高い壁は超えられなかった。やはりフェラーリは創設者エンツォが言っていたように「The horse pulls the cart, it does not push it.(馬は馬車を引くものであり、押すものではない)」。となれば、クラシックに限って言えば、市場の価値観も「真のフェラーリはFR」となるのだろうか。
※為替レートは1ユーロ=182円(2026年3月5日時点)で換算















































