市街地でも高速道でも重量増を感じさせない快活な加速感と走り、そして乗り心地とも申し分なし!
歴代のカングーは、いかにもフランス車らしいソフトだがコシのある独特の乗り味が特徴であった。ならば「今回のグランカングーでも、歴代のようなモッチリ感のある乗り心地が味わえるのか」。それが、今回の試乗に向けて設定した最大のテーマであった。
久方ぶりに対面した「グランカングー クレール」は、標準版カングーと比べるとかなりの胴長に見える。ところが、ステアリングの切れ角が大きめなせいか、ボディサイズのわりには取り回しが良い。今回の撮影で向かった古い田舎町の狭い生活道路でも、持て余すようなことはなかった。
懸念していたのは、ボディ拡大と重量増による動力性能の低下だ。搭載されるエンジンは、5人乗り仕様と同じ1.3リッター直列4気筒ガソリン直噴ターボで、131psのパワーと240Nmのトルクを発生する。いっぽう車両重量は、5人乗りの1570kgに対して1690kgと、かなりの重量級である。もともと歴代カングーは遅さも個性だったのだから、と自分に言い聞かせて走り出した。
ところがアクセルを踏み込んでみると、市街地でも高速道路でもその走りっぷりはかなり快活だ。とくに停止状態からの走り出しは加速感が強めに出るセットアップで、実用燃費などを考慮すればもう少しおっとりしていても良いのではと思うほど活発であった。
大きさゆえのメリットが優位に働き「グランカングーこそファミリーの中核」になり得ると実感!
何より感銘を受けたのは、乗り心地の良さである。とくに高速クルージングでは、ホイールベースが伸ばされたことで不快なピッチングなどが減少し、乗り心地とスタビリティの両方が明らかに向上したと感じられた。
この日は丸々半日を車中で過ごしたにもかかわらず、不思議なほどに疲れることはなかった。シートは薄手ながらカッチリとした作りで、往年のフランス車のようにふんわりソフトなわけではない。それでも、軽い腰痛持ちである筆者の身体のどこにも余計な負荷が掛かっていないのだ。こういう部分を含めて「やっぱりフランス車」、あるいは「やっぱりカングー」と思わせてくれる。
ちなみに、事実上のローンチエディションとなった限定車「グランカングー クレール」の価格は、同じガソリン仕様のカングーに40万円上乗せした459万円と、戦略的な設定であった(すでに完売とのこと)。
その面から見ても、このグランカングーこそがカングー・ファミリーの中核になり得ると実感した。ルノーとルノー・ジャポンの次なる展開に期待したい。
【主要諸元】ルノー グランカングー クレール
■全長×全幅×全高:4910mm×1860mm×1810mm
■ホイールベース:3100mm
■車両重量:1690kg
■エンジン:直列4気筒DOHC直噴ターボ
■総排気量:1332cc
■最高出力:131ps(96kW)/5000rpm
■最大トルク:240Nm/1600rpm
■トランスミッション:7速EDC
■駆動方式:前輪駆動(FF)









































