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いすゞ「ファスター」がGMとの資本提携で生まれたシボレー小型ピックアップ「LUV」! 半世紀を経てオリジナルコンディションのまま里帰り

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TEXT: 勝村大輔(KATSUMURA Daisuke)  PHOTO: 勝村大輔(KATSUMURA Daisuke)  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

  • シボレー LUV:左右対称デザインのダッシュボード。いすゞ フローリアンの意匠を踏襲したクラシカルな車内空間
  • シボレー LUV:ボンネットの下に収まる1800cc直列4気筒のG180型エンジン
  • シボレー LUV:リア斜め後ろからのスタイリング。鮮やかなオレンジのボディカラーが会場でひときわ目を引いた
  • シボレー LUV:リアタイヤとホイールまわり。実用車らしいシンプルな鉄ホイールが足元を引き締める
  • シボレー LUV:ピックアップトラックならではの無骨な大型サイドミラーが装着されている
  • シボレー LUV:フロントのフェンダーパネルには「LUX」のエンブレムが備わる
  • シボレー LUV:フロントフェンダーからドアにかけてのライン。キズは歴史の証である
  • シボレー LUV:フロントバンパーにはゴム付きのオーバーライダーが装着されている
  • シボレー LUV:リアビュー。リアゲートには大きな「CHEVROLET」のロゴがプレスされている
  • シボレー LUV:傷みやすいベッド(荷台)の内側もオリジナルペイントを保っているというから驚きだ
  • シボレー LUV:三角窓と、2005年までテキサス州を走り回っていたことを示す当時の登録ステッカー
  • シボレー LUV:ボディサイドに備わるフューエルキャップ
  • シボレー LUV:フェンダーに装着されたアンテナ。細かなパーツにも時代を感じさせる
  • シボレー LUV:フロントガラスとサイドミラー周辺のディテール
  • シボレー LUV:フロント斜め前からのスタイリング。コンパクトながらもピックアップトラックとしての力強さを感じさせる
  • シボレー LUV:いすゞ フローリアンと共通のデザインを持つ、スタイリッシュな丸型4灯ヘッドライトとフロントグリル

いすゞ・GMの提携で生まれた異色のピックアップ「ファスター」は奇跡のオリジナルコンディション!

静岡県磐田市の福田漁港で、トラックやバンなど働くクルマが集結するイベント「TVW(Trucks, Vans, and Wagons)」が開催されました。全国から仕事の相棒となるクルマたちが集まり、通常のカーショーとはひと味違った熱気が福田漁港にあふれていました。そんな会場のなかでひときわ目を引いたのが、驚くべきオリジナルコンディションを保つ日本生まれ、アメリカ育ちのピックアップトラックでした。日本名はいすゞ「ファスター」と呼ばれ、アメリカではシボレー「LUV(ラブ)」で愛されたピックアップの魅力に迫ります。

シボレーブランドを掲げる左ハンドルで、いすゞフローリアン顔の謎すぎる小型ピックアップ発見!

2025年10月12日に開催されたTVWの会場であまり見慣れないコンパクトなピックアップを発見した。フロントグリルを見てみるとボウタイマークが装着されている。つまりシボレーブランドのクルマということになる。側面にはボウタイマークとともに「LUV」というバッジが装着されている。ボディ各部はキズこそ多いもののオリジナルペイントで、ボディの状態はかなり良さそうだ。顔出しNGを条件に取材に応じてくれたオーナーのKさんに、お話を伺うことにした。

「このクルマは1975年式のシボレー LUVという車両で、今から6年ほど前に手に入れました。じつはLUVは、いすゞが製造しているファスターのOEMモデルなのです。過去にほかのLUVや右ハンドルのファスターにも乗ったことがあり、しばらく離れていたのですが、以前から知り合いだった前オーナーがこのクルマを売りに出したため、購入することにしました」

オイルショックで大型ピックアップが不人気に。いすゞとGMの資本提携で誕生した異色の小型ピックアップ

日本の高度経済成長期を支えた日産 ダットサントラックやトヨタ ハイラックス、そしてマツダ Bシリーズなどの小型ピックアップは、日本のみならず北米市場などにも輸出され、文字どおり世界中で活躍する人気のワークホースだった。そんななかで少し変わり種だったモデルが、今回紹介するシボレー LUVだ。

日本国内ではいすゞ ファスターという名称で販売された車両で、1971年のGMといすゞの資本提携によりシボレーブランドから、1972年に発売されたという経歴を持つ。ちなみにLUVとは「Light Utility Vehicle」の頭文字をとった造語である。

当時、世界中がオイルショックの打撃を受けていた。もちろんアメリカもその例に漏れず、ガソリンをガブ飲みする大型ピックアップは販売不振に陥る。そのアメリカでは、輸入ライトトラックに対して25%という超高額な関税(通称:チキンタックス)が課せられていたのだ。日本のメーカーはこれを回避するため、荷台がない「キャブシャシー」の状態で輸出し、現地で荷台を架装するという涙ぐましい努力で北米市場を開拓していた。これらの状況を鑑みて、GMは自分たちにノウハウがない小型ピックアップを、資本提携先のいすゞからOEM供給を受けて自社の販売網で売り出したのが、このLUVなのである。

フロントまわりは、いすゞの乗用車であるフローリアンと共通のデザインとなっていることがポイントで、デビュー当初は丸型4灯ヘッドライトのスタイリッシュなマスクが特徴だった。その後1981年にモデルチェンジを実施するものの、翌1982年に自社開発のシボレー S-10が登場したことで、LUVの歴史は幕を閉じることになる。

テキサスの大地を駆けた「LUV」が、半世紀を経て里帰りを果たした奇跡のオリジナルコンディション!

鮮やかなオレンジ色のボディカラーはなんとオリジナルペイントで、傷みやすいベッド(荷台)の内側もオリジナルのままだ。商用車ということを考慮すると、驚くべきグッドコンディションである。

ドアを開けて車内を見せてもらうと、ダッシュボードは左右対称デザインとなっており、これも左右逆ながらフローリアンの意匠を踏襲していることがわかる。エンジンはガソリン1800cc直列4気筒のG180型に4速MTの組み合わせとなるが、この車両は5速MTに換装してあり、高速走行も快適だそうだ。

ちなみにリアゲートに貼られたディーラーステッカーから、テキサス州の「KING CHEVROLET」というディーラーで販売された車両と思われ、リアガラスに貼られた登録ステッカーから、少なくとも2005年まではテキサスの地で走り回っていたことが判明している。Kさんのもとに来てから6年が経過しているが、フロントバンパーにゴム付きのオーバーライダーを装着した程度で、基本的には購入時の姿をキープし続けているという。

日本生まれでありながらアメリカへと渡り、テキサスの広大な大地で過酷な労働に耐え抜いたこの小さなピックアップ。約半世紀の時を経て生まれ故郷の日本へと帰還し、奇跡のオリジナルコンディションを保っている姿には数奇な運命を感じずにはいられない。車名である「LUV」はLight Utility Vehicleの略語だが、Kさんのような熱心な愛好家に保護されているいまの姿を見れば、それはたくさんの「LOVE(愛)」を荷台いっぱいにあふれるほど搭載した、世界一幸せなトラックであると言っても過言ではないだろう。

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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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