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15年放置の日産 スカイラインGT-Rが新車同様に復活! ピットワン奇跡の修復劇

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TEXT: 酒井賢次(SAKAI Kenji)  PHOTO: 泉 晟太郎(IZUMI Jyotaro)

  • 日産 スカイライン GT-R:純正の美しいプレスラインが蘇ったリアビュー。プロの熱意が伝わる仕上がりだ
  • 日産 スカイライン GT-R:ガラス製のヘッドライトは黄ばみやくもりもなく、磨き上げるだけで美しい状態だ
  • 日産 スカイライン GT-R:サビで穴が開いていたというリアフェンダー後方も、見事な板金技術で補修された
  • 日産 スカイライン GT-R:引き上げた当時の状態。外装のヤレだけでなく内部はサビだらけという過酷な状況
  • 日産 スカイライン GT-R:エンジンルームはバレル研磨のみ。次のオーナーが自由にカスタムできる余白を残す
  • 日産 スカイライン GT-R:色コードから当時の新車カラーを再現して全塗装。ノーマルの良さを引き出した
  • 日産 スカイライン GT-R:カバーをかけていたため内装は当時の状態を保つ。紫外線を防げたのが功を奏した
  • 日産 スカイライン GT-R:ピットワンの岩田氏。「売る気はなかったのですが、売れちゃいました(笑)」
  • 日産 スカイライン GT-R:ニスモ製19インチ鍛造ホイールを装着。足回りのセッティングもアップデート
  • 日産 スカイライン GT-R:サイドステップ奥のずさんな修理跡も、板金塗装のプロの技術で見事に再建された
  • 日産 スカイライン GT-R:15年の放置から新車同様に蘇った姿。会場で初披露され、すぐに買い手が決まった

サビだらけの車体を蘇らせる板金職人の意地

2026年5月、愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)で開催された「オートメッセin愛知2026」にて、ひときわ熱い視線を集めた1台のクルマがありました。それは、岐阜県のプロショップであるピットワンが、15年ものあいだ放置されていた日産「スカイラインGT-R」を新車同様に蘇らせた渾身のフルレストア車両です。プロの執念が詰まった奇跡の復活劇をお届けします。

奇跡の復活プロジェクトがついに完結

岐阜県のプロショップであるピットワン。板金塗装から車両販売、車検、整備、そしてカスタムカーの製作まで幅広く手がける彼らが、YouTubeの公式チャンネルで公開し大きな反響を呼んでいた「15年間放置したR32型GT-Rのレストア」企画がついに完結した。

廃車寸前のコンディションから新車同様の美しい状態にまで復活を遂げた日産 スカイラインGT-Rが、2026年5月16日と17日に愛知県国際展示場で開催されたオートメッセin愛知2026の会場でついにお披露目となった。

じつはこの企画、YouTuberとしても活躍するピットワン岩田氏が、長年付き合いのある先輩から「車両を買い取ってほしい」と持ちかけられ、引き取ったのが始まりである。日々の業務に追われレストアはしばらく後まわしとなっていたが、今回のイベント出展を目指して数カ月間で超特急の作業をおこない、ようやく完成にこぎつけたのだ。

しかし、実際に作業を始めてみると問題が山積みであった。ボディにカバーを被せていたとはいえ、15年ものあいだ青空駐車の野ざらし状態で放置されていたため、分解してみると随所にサビや劣化が見られた。

また、当時は現在ほど車両価格が高騰していなかったため、過去の修理跡もずさんな箇所が多く、走行距離は7万kmでエンジンこそ始動したものの、大がかりな修正が必須な状態だったという。

グループA制覇を使命として誕生したR32型スカイラインGT-R

ここで、ベースとなったR32型のスカイラインGT-Rというクルマについて触れておきたい。1989年、16年ぶりに「GT-R」の称号を復活させた同車は、当時の全日本ツーリングカー選手権(グループA)で勝つことだけを使命として開発された。

心臓部には、名機として語り継がれる2.6リッター直列6気筒ツインターボエンジン「RB26DETT」を搭載している。これを電子制御トルクスプリット4WDシステム「ATTESA E-TS」と組み合わせることで圧倒的な動力性能と操縦安定性を両立させ、レースではデビューから無敗の29連勝という金字塔を打ち立てた。現在でも世界中の自動車ファンから熱狂的に支持され、価格の高騰が続いている伝説の1台である。

妥協なきプロの技術でサビとヤレを克服

そのような日本の自動車史に名を残す往年の名車である。ピットワンは「次に乗る人のためにも、過度なカスタムではなく当時の良さを生かしたノーマル状態へ復帰させる」ことをテーマに掲げ、修復作業を進めた。

純正のボディカラーはすでに塗料が現存しないため、カラーコードを読み解いて当時の新車時の色を独自に調合し全塗装(オールペイント)を施した。色褪せた資料から当時の塗料レシピを現代の素材で完全再現するのは、板金塗装のプロフェッショナルならではの至芸である。

ガラスを外してみると窓枠の内部までサビが進行していたため、ガラスモール(窓枠の縁取り部品)や、はめ殺しの(開閉できない固定式の)クォーターガラスは新品へと交換。さらに、リアフェンダー後方のバンパー側面はサビで穴が開いていたため、板金技術を駆使して鉄板から再生した。

下まわりとエンジン以外には徹底的に手が入れられ、新車当時のコンディションに限りなく近づけることに成功している。純正パーツが存在していてもすべて新品に交換すると莫大なコストがかかるため、基本は「直す」スタイルを貫いた。まさに、高度な板金技術を持つピットワンだからこそ成し得たレストアだ。

次のオーナーへ引き継がれるノーマル仕上げ

基本はノーマル仕上げだが、プロショップならではの気の利いたアップデートもほんの少しプラスされている。

ホイールはニスモ製の19インチ鍛造モデルに変更し、限定のマシニングバージョンをチョイス。足回りにはHKS製のアフターパーツである車高調(車高調整式サスペンション)を装着した。ブレーキもフロントにR33型、リアにR32型用を流用し、元の純正色に近いゴールドでペイントして取り入れている。

この完璧な完成形を誇るGT-Rは、展示を始めたイベント初日の午前中に、あっという間に買い手がつきソールドアウトとなった。動画による製作レポートの段階から狙っていた熱心なファンが、それだけ多かったということだろう。

これにて15年放置されたGT-Rの再生企画は無事に幕を閉じた。廃車寸前の状態から蘇った名車は、新たなオーナーのもとで再び輝かしい第二の車生を歩んでいくはずだ。気になる修復の過程は後追いで「ピットワンチャンネル」をチェックしてもらうとして、ピットワンの圧倒的な技術力とクルマに対する凄まじい熱意が存分に伝わってくる1台であった。

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