完璧なレストアを経て約5740万円で落札されたシリアルナンバー「283」
このほどカナダ・オンタリオ州に本社を置く世界有数のオークションハウス、RMサザビーズの「MONACO 2026」オークションに出品されたエヴォリューションIIは、シャシーナンバーに相当するVINコードが「WDB2010361F737782」で、限定車としてのシリアルナンバーは「283」が割り振られている。

新車としてスイスへ納車された個体だ。ダイムラー・ベンツ社(当時)のジンテルフィンゲン工場で生産された時から、デフォルトである「アンスラサイト(ダークグレー)」色のレザー内装、電動調整およびヒーターつきフロントシート、電動スライド式のスライディングルーフ、エアコンディショナーが装備されていた。
出品にあたり車両に添付された整備記録簿の記載情報によると、スイスの首都ベルン近郊に在住していた初代オーナーは、1990年8月20日に地元のスペシャリストを仲介としてこの車両を引き取っている。さらに2006年までベルン近郊のメルセデス・ベンツ正規ディーラーによる定期メンテナンスの記録があり、その時点での走行距離は7万9450kmと記されていた。
また、2021年から2023年にかけた時期に、ドイツ・ミュンヘンにあるレストア専門業者「CarTech Knowledge」社により外観および機械的なレストアが実施された。これには、エンジンおよびシャシー部品の取り外し、ボディのブルーブラックメタリックへの全面再塗装、インジェクターとラジエーターの交換、オイルクーラーとデファレンシャルのオーバーホールが含まれていた。作業の請求書には、この時点での走行距離が8万301kmと記載されている。
入念な修復作業を経て、その後は控えめに走行されてきたため現在は美しく修復された状態を保っており、公式カタログ掲載時点で8万598kmを記録していた。

このクルマについてRMサザビーズ欧州本社は、「メルセデス・ベンツの称賛を浴びたW201世代セダンの究極の進化形である2.5-16エヴォリューションIIは、サーキットでの成功、圧倒的なルックス、そしてダイレクトなドライビングダイナミクスにより、ブランド愛好家から今なお熱烈に求められている人気モデル」と規定し、26万ユーロ〜30万ユーロというエスティメート(推定落札価格)を設定した。
そして迎えたオークション当日、モナコで行われた競売では想定されたエスティメート最高値を大きく超える30万8750ユーロで落札された。現在の為替レートで日本円に換算すれば、約5743万円というかなりの高価格でハンマーが鳴らされることになったのだ。
2020年代中盤以降の国際マーケット、あるいは日本国内でごくまれに売り物が出てくる際にも、エヴォリューションIIの相場価格はおおむねこのハンマープライスあたりで推移しているようだ。その市況から判断すると、今回のディールはきわめて順当なものだったといえよう。DTM黄金期を駆け抜けたメルセデス・ベンツの本気を今に伝える至宝の価値は、今後も色褪せることはないはずだ。
※為替レートは1ユーロ=186円で2026年5月30日時点のレート換算













































































