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600馬力なのに奥さんの買い物グルマ?ATのままで激速なトヨタ「80スープラ」の究極カスタム【オレたちの“改”顧録】

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TEXT: AMW  PHOTO: ヤングバージョン

YSRが手がけた80スープラは、HKSタービンを2基掛けしてシーケンシャル制御。ATのまま600psを街乗り可能! 

ATで600psを叩き出すトヨタ80「スープラ」。普通なら扱いづらさが先に立つビッグパワーを、YSRはシーケンシャル制御で街乗りできる1台へとまとめあげた。低回転はひとつのタービン、4000rpm付近からもうひとつが立ち上がる二段構え。Dレンジでは穏やかに転がり、踏み込めば強烈に加速する。AT-SPORTSという発想を体現した、ふたつの顔を持つチューンドデモカーを紹介する。

(初出:ヤングバージョン2004年7月号)

HKS・TD05-16Gを2基掛けし、シーケンシャル制御で600psを発生する2JZ-GTE

このデモカーの核心は、シーケンシャルツインターボ化された2JZ-GTEにある。HKS・TD05-16Gタービンを2基掛けし、600psを発生する。低回転域ではひとつのタービンだけが働き、4000rpm付近からもうひとつが回り出す二段構えだ。マツダ 「RX-7」(FD3S)などが純正採用した独自のシーケンシャル化したシステムといえる機構である。製作したのはYSR(横浜スポーツ アンド レーシング)の青海さん。ベースとなったのはトヨタ 80スープラ、2JZ-GTEを積む最終型のJZA80だ。エンジンはバランス取り、ポート加工、サクションパイプ、エキマニ、HKSカム(IN=吸気側&EX=排気側ともに256度)、レーシングマフラー、HPIエアクリーナー、トラスト・レーシングブローオフバルブで武装する。制御は同社のeマネージが担い、燃料供給は650ccインジェクターとGT-R純正フューエルポンプでまかなう。冷却はトラスト16段オイルクーラーとYSRインタークーラーで強化された。

シーケンシャル制御を選んだ理由は、ビッグパワーと扱いやすさの両立にある。当時、ツインターボ車はサイズダウンで妥協しがちだった。ターボラグをうまくカバーできず、アクセルを踏んでもタービンが回り出さない。そんな場面は珍しくなかった。そこで青海さんは、トラスト製のサブコンピュータ「eマネージ」を中心に制御系を構築し、アクセル開度や回転数と連動させてシーケンシャル制御を実現した。狙いどおり、自然なフィーリングを手に入れている。

シュバーレン強化ATとトラコンで、600psでも無理なく街乗りできる

このスープラの妙味は、ATのまま600psを御している点にある。受け止めるのはシュバーレンの強化ATだ。単純な強化ATと違い、変速ショックが少ない。乗り心地を損なわず、ビッグパワーをしっかり受け止める。駆動系にはTRDのLSD(リミテッド・スリップ・デフ。左右の駆動輪の回転差を適度に制限し、トラクションを高める装置)も組まれた。安全性への配慮も周到だ。一定以上の負荷が掛かったときのみ2基目が作動するため、いきなり破綻することがない。純正のトラクションコントロールもあえて残されている。だから速いFRでありながら、街乗りは危なげない。誰でも乗れて、いざとなれば600ps。その懐の深さこそ、このデモカーの答えである。

足まわりとブレーキも強化。最高速300km/h、ゼロヨン12秒フラットを掲げて製作された

チューニングの目標は、最高速300km/h、ゼロヨン12秒フラットに据えられた。だからパワーを上げるしかなく、その答えが600psだった。狙いを支えるのが、引き締められた足まわりである。クスコ車高調とTRDスプリングでフォルムを締め、ブレーキはAP・4ポットキャリパーとPFCブレーキパッドで固めた。タイヤとホイールはBBS・LMの9J×19(フロント)と10J×19(リア)を組む。外装はヴェイルサイドのフロントバンパーとリアウイング、アブフラッグのボンネットでまとめられた。なお軽量化は一切おこなっていない。オーナーの奥さんも運転するため、エアコンやオーディオを残した仕様としているからだ。

【AMWノミカタ】

今回紹介したYSRの80スープラは、AMWを運営する交通タイムス社がかつて発行していたチューニング誌『ヤングバージョン』2004年7月号に掲載された1台だ。80スープラのAT仕様で、ここまでのハイパワーを狙った例は稀である。昨今はATが主流になった。欧州メーカーなどから登場する500psオーバーのハイパフォーマンスモデルも、基本的にはAT仕様だ。そんな仕様を、30年以上前のクルマで、20年以上前に実現していた。日本のチューニングカルチャーには舌を巻く。

【オレたちの“改”顧録】シリーズ一覧はコチラから!

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