ダッジ・チャージャーを探した末に選んだのは、ROHANが手がけたマスタングのデモカーだった
アメ車といえばV8。その常識をあえて外し、2.3リッター直列4気筒ターボのフォード「マスタング」を選んだオーナーがいる。決め手はエンジンではなく、ボディ全体を覆うガンメタのペイントとグラインダータトゥ。写真では伝わらないという、その質感の正体を取材した。
ダッジ・チャージャーを探していたオーナーがフォード「マスタング」を選んだ理由
きっかけは、思いどおりのタマが見つからなかったことにある。オーナーの“akiyuki”さんは当初、ダッジ「チャージャー」を求めて中古車を探していた。ところが状態の良い個体との出会いはなかなかない。その最中に目に留まったのが、カスタムショップのROHAN(ローハン)が2024年の東京オートサロンで展示していた2015年式フォード「マスタング」である。
本来求めていたチャージャーなどアメリカンV8モデルとは、エンジン形式が根本から異なる。それでもガンメタのカラーリングと、ROHAN代表である井澤氏によるペイントに強く惹かれ、“akiyuki”さんはこのマスタングを選んだ。“akiyuki”という呼び名は、夫婦それぞれの名前を組み合わせたものである。2人ともクルマ好きだという。
フォード「マスタング」は1964年に登場し、大ヒットを記録した。2005年には初代をイメージさせるデザインを採用した5代目が登場し、“akiyuki”さんが所有する2015年式は、その流れをくむ6代目にあたる。エンジンには2.3リッター直列4気筒のエコブースト(排気を利用して過給するターボ)が採用され、マスタング誕生50周年を記念する特別仕様となっている。
ROHANが東京オートサロンに出展した2015年式マスタングのカスタム内容とは
このマスタングは、ROHANが東京オートサロンに出展したデモカーそのものである。足まわりにはエアサス(空気圧で車高を調整できるサス)であるIDEAL製のAIR MAX 4輪独立仕様(イデアル製のエアマックス)がセットされ、低く構えたボディをつくる。外装にはローハンのFANG ARMOR、130DESIGNのフロントリップスポイラー、サイドディフューザー、リアバンパー、リアディフューザー、GTウィングなどが組み込まれている。

ボンネットにはグラインダータトゥ(研磨工具で金属表面に幾何学模様を描く加工)が施され、井澤氏のカスタムペイントで仕上げられていた。“akiyuki”さんはこの1台をベースに、ルーバー、サイドバー、ミラーカバー、リフレクター、後期型テールなどを選んで追加した。さらにインパネ部分をばらし、ROHANのラッピングを貼っている。この作業を手がけたのは奥様だという。
ルックスに惹かれて手に入れた1台である。では、2.3リッター直列4気筒のエコブーストを積んだ乗り味はどうなのか。“akiyuki”さんはこう語る。
「アメ車らしくない加速で、2000、3000rpmでターボが効くんですけど、ちょっとラグがある感じがしてもたつきもありますけど、普段乗りだったら十分ですね。意外とエアサスの乗り心地は悪くないです。あと運転していると、カッコいいクルマに乗ってるんだぞ、っていう優越があるんですよ」
写真では伝わらないガンメタのフェード塗装とグラインダータトゥの魅力
お気に入りは、写真では伝わらないエクステリアの質感にある。今後は現在の状態を維持しつつ、ホイールなどの交換は進めたいという。ちなみにこのマスタングを運転するのは旦那さんだけで、奥様はハンドルを握らない。
理由は明快である。もしもボディをわずかに擦っただけでも、全体を剥離してリペイントし直すことになる。その責任を負えないからだという。それだけ2人とも、現状のペイントとグラインダータトゥを施したエクステリアを大切にしているのだろう。“akiyuki”さんは、その魅力をこう表現する。
「ボディ全体にデザインが入ってるんですけど、単調じゃなくてフェードみたいに入ってたりだとか、ちょっと色が変わってたりとか、こういうのってやっぱ写真じゃなくて、実車じゃないと伝わらない部分なんで、実車を是非見てもらいたいですね。色々なイベントにも行ってるんで」

アメ車の王道であるV8ではなく、4気筒ターボのマスタングを選んだ“akiyuki”さん夫妻。その決断の芯にあったのは、スペックではなく1台をまとうペイントへの愛着だった。擦り傷ひとつに責任を感じるほど大切に扱い、夫婦で手を入れながら育てていく。その姿勢こそが、この個体を唯一無二の存在に変えている。実車の前に立ったとき、その理由はきっと伝わるはずである。










































