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BMWのマークはプロペラじゃなかった! バイエルン州の市民旗が起源だったロゴマークの歴史を振り返ります

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: BMW AG

プロペラという解釈も、完全な誤りというわけではない?

 今なお、BMWロゴは回転するプロペラを表現している、と多くの人が信じているようだが、それはいかなる理由によるものなのだろうか?

 BMWのプロペラ説は、同社初のブランドロゴが登場した12年後、1929年後に端を発しているという。1929年以降のBMWの広告には、回転するプロペラの中にBMWのエンブレムがコラージュされた航空機が描かれていた。世界恐慌が巻き起こったこの年、BMWはアメリカの「Pratt & Whitney(プラット・アンド・ホイットニー)」製航空機エンジンのライセンス生産権を獲得したことをアピールするものだったという。

プロペラ広告

 四分円をプロペラとする解釈は、航空機エンジン製造という会社のルーツと、専門技術の高さを強調することに成功。当時、オースティン・セヴンのノックダウン生産にも乗り出していたBMWの広告戦略に見事にマッチしたようだ。

 そののちBMWは、1942年にもプロペラを会社のシンボルに結び付けるパブリッシングを展開した。「Flugmotoren-Nachrichten(航空機エンジンニュース)」と名づけられた自社出版物に、プロペラとBMWロゴが重ねられた航空機の画像を掲載。BMWロゴが回転するプロペラであることを裏づけることになった。

 現在、BMWのヘリテージ部門を司る「BMWグループ・クラシック」のフレッド・ジェイコブズ氏は、以下のようなコメントでこの通説について言及している。

「BMWは長い間、自社のロゴがプロペラであるという通説を、積極的に正そうとはしませんでした。厳密にいえば、BMWのロゴがプロペラに由来するという解釈は正解ではないのですが、90年もの間繰り返し語られてきたこの解釈が、やがて都市伝説としてある程度正当化されるようになったのも事実なのです」

 BMWのロゴとエンブレムは、第二次世界大戦後も「B M W」の文字フォントが数回にわたって変更されたくらいで、基本的には長らく不変とされていた。しかし2020年春には、ウェブサイトや印刷物で用いられるコミュニケーションマーク限定ながら、大規模なマイナーチェンジを施行すると発表した。

 新しいロゴマークは、新たなブランドアイデンティティをアピールするものとのこと。デジタル時代に適応したシンプルな2次元デザインとし、開放性と明快さを伝える。また、新しいロゴマークにはこれまで黒だったリング部分が、モニター画面上や印刷物では地色と同色になる透過バージョンも導入され、従来の自動車の世界を中心とした企業から、テクノロジーやコネクティビティを重視した企業へ移行することを表現しているという。

* * *

 誕生から一世紀以上の時を経たBMWロゴは、これからも伝統と現代的な感覚を追求するBMWの象徴であり続けてゆくことだろう。

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  • 1917年のエンブレム
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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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