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ルノー「アルカナE-TECHエンジニアード」に試乗! F1由来のドグクラッチを採用したフルハイブリッドの乗り心地とは?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 森山良雄

R.S.ラインよりも洗練度が高まった……?

2022年春、ルノー初のクーペSUVである「アルカナ」が初めて日本市場に導入された際、筆者は当初日本における唯一のバージョンだった「R.S.Line」に試乗する機会を得たものの、正直に言ってしまうと、乗る前の段階ではあまり新鮮味を感じていなかった。

フランスにおけるクーペSUVを先取りするかたわら、ルノーの歴史的名車、元祖カー・オブ・ザ・イヤー受賞車として知られる「16」を意識したと言われているボディスタイルも、近年のルノーのデザイン言語を踏襲したものと映っていた。

そして、アルカナとともに日本に初導入され、のちに「ルーテシア」や「キャプチャー」にも追加設定されてきたE-TECHは、まったく新しい設計思想に基づくフルハイブリッドと謳われながらも、プラグインHVやBEVが急速に勢力を伸ばしている現在においては、ちょっと「今さら?」な感じも否めなかったのだ。

しかし、実際にこのクルマを走らせ、ルノージャポンのスタッフから詳しい話を聞いてみると、実はハイブリッドの新時代を提案する画期的技術の結晶であることが判明した。

まずは発進時のデフォルトであるEVモードで走り出したのち、極めてスムーズに始動するガソリンエンジンは、レスポンスも非常にナチュラル。モーターの助力のおかげか、システム総出力143psという数値のわりにはトルクフルである。

ルノー アルカナ E-TECHエンジニアード

また、回転が乗ってくると聞こえてくるサウンドも健康的な4気筒の快音で、われわれが長年にわたって親しんできた内燃機関由来の魅力が充分に残されている。

そしてこのシステムの最大の特徴である、ドグクラッチを使用したモーターの変速はシームレスなのにダイレクト。これまでの国産ストロングハイブリッドにも負けない快適さを維持しながら、独特の爽快感を味わうことができた。

くわえて、SUV+ハイブリッドという重量を嵩ませてしまう組み合わせであるにもかかわらず、1470kgという比較的軽めの車重に収めていることも相まって、走行性能やハンドリングにも独特の軽快感が垣間見られ、いかにもルノーらしい、あるいはフランス車らしい世界観さえ感じられる。

そして何より、プラグインHV、さらにはBEVばかりにスポットライトが当てられがちな昨今にあって、E-TECHはまったく新しい発想のもとに、従来のハイブリッドにもまだまだ伸びしろがあることを知らしめてくれたことこそが、アルカナE-TECHにおけるもっとも重要なトピックだったのだ。

都会的魅力を漂わせるエンジニアード

それから約1年を経た今回は「エンジニアード」という新グレードに移行したアルカナE-TECHに試乗することになったのだが、聞けば内外装の仕立て以外は、少なくともスペックの上ではR.S.ラインから大きな変更はないはずという。

ところが実際に走らせてみると、まだ鮮明な記憶として残っているR.S.ライン時代のアルカナE-TECHとは、明らかに異なる気がする。どこが? というと少々説明しにくいのだが、少しだけ洗練の度合いが高まっているようなのだ。

ドライブ中に耳を凝らしていると、E-TECHシステムのドグクラッチからかすかに聞こえてきた「カシャッ」という変速音も、この新型エンジニアードでは心なしか、いや明らかに小さくなったかに感じられる。

またサスペンションもタイヤも変わっていないはずなのに、乗り心地は若干よくなっている。また、ロードノイズも心なしか軽減したようにも聞こえてくるおかげで、BOSEサウンドシステムを介して耳に入ってくるFMラジオの音楽も、よりクリアに感じられた。

これが熟成というものなのだろうか……? ルノー スポール的に「ホットな」雰囲気とは一線を画し、ダークティント仕上げやゴールドの差し色で「クールな」都会的魅力を漂わせるエンジニアードには、よりマッチした走りのキャラクターを得たといえるだろう。

なお、日本における車両本体価格は469万円に設定。くわえて6月30日より販売を開始された特別仕様車「アントラクト E-TECHフルハイブリッド」は、438万円とのことである。

●ルノー アルカナ E-TECHエンジニアード(カッコ内はR.S. LINE マイルドハイブリッド)
・車両価格(消費税込):469万円(消費税込)
・全長:4570mm
・全幅:1820mm
・全高:1580mm
・ホイールベース:2720mm
・車両重量:1470kg(1380kg)
・エンジン形式:直列4気筒DOHC(直列4気筒DOHC+ターボチャージャー)
・排気量:1597cc(1333cc)
・エンジン配置:フロント
・駆動方式:前輪駆動
・変速機:電子制御ドッグクラッチマルチモードAT(7速AT)
・最高出力:94ps/5600rpm(158ps/5500rpm)
・最大トルク:148Nm/5600rpm(270Nm/1800rpm)
・モーター最高出力:49ps/1677−6000pm
・モーター最大トルク:205Nm/200−1677rpm
・ラゲッジ容量:480L(513L)
・タイヤ:(前)215/55R18、(後)215/55R18
・ホイール:(前)7Jx18、(後)7Jx18

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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