番外編としてサーキットでベントレーを駆ってきました
東京は世田谷在住の筆者が、クルマの魅力と世田谷などの街の魅力を融合させた情報を主婦目線で発信するのが本企画です。今回は番外編として千葉県の袖ケ浦にあるサーキットを訪れました。諸事情により“不動車”と化している筆者の愛車に代わり、サーキットでの相棒となったのは総勢6台ものベントレー。その様子をお届けします。
どうしても乗りたかったベントレー最後のW12気筒エンジン
いきなり本企画の第2弾で番外編となってしまいましたが、今回訪れたのは千葉県にある袖ケ浦フォレスト・レースウェイです。東京からはアクアライン経由で小一時間ほどの距離にあるサーキットで、1周2436mのJAF公認レーシングコースとなっています。
なぜ名所探訪ではなくサーキットを訪れることになったのかというと、ベントレーの6車種を乗り比べてみるためでした。とりわけベントレーは、ブランドの伝統であり独自技術のW12気筒エンジンを2024年4月をもって生産を終了すると発表しています。そのため、これが最後のW12エンジンに乗る機会というわけなのです。EUの脱炭素方針により、脱内燃機関車の流れはますます加速しているため各メーカーともにエンジンからEVへとシフトする流れは仕方のないこととはいえ、こんな素晴らしいエンジンも消えてしまうのかと、今回の試乗を通してさらに惜別の想いが募るばかりでした。
さて、サーキットで試乗した車種はというと、6リッターW12エンジンを搭載した「フライングスパー スピード」のほか、V8ツインターボエンジンの「フライングスパー S」と「フライングスパー ハイブリッド」、コンバーチブルの「コンチネンタルGTC アズール」、SUVの「ベンテイガ EWB アズール ファーストエディション」、ハイブリッドSUVの「ベンテイガ オデッシアンエディション」の計6台。それぞれドライビングだけでなく、助手席とリアシートの乗り心地も試してきました。
ベンテイガの2台乗り比べ。選ぶならV6ハイブリッドか、V8ツインターボか
まず最初にドライブしたのはSUVのベンテイガ2台。家庭の奥様が日常のアシとしてクルマを選ぶなら、ミニバンを除けばSUVがまず選択肢に挙がりやすいでしょう。目線が高くて運転しやすく、荷物も積めるという点では主婦に限らず人気で、スポーツカー専門メーカーでさえ今やSUVはラインアップに欠かせないほどですから。デートカーとしても支持率が高いなかでも、ベントレーのSUVとなれば別格ですね。
ベンテイガ オデッシアンエディション(以下、オデッシアン)は3リッターV6ハイブリッドで世界限定70台の稀少モデル。一方、ベンテイガ EWB アズール ファーストエディション(以下、EWD)はV8ツインターボで、限定仕様の人気オプションが装備された贅沢な1台。日常のショッピング程度であればオデッシアンエディションの電気走行だけで事足りると思われますが、峠道や高速走行では3LのV6はやや物足りないと感じるかもしれません。むしろこのモデルは他人と被らない稀少性重視や内装などにこだわる人に向いていると思われ、ドライブフィールで選ぶなら間違いなくV8だと思わせるものがEWBにはありました。
EWBに乗り換えると、SUVなのに重心の高さを感じさせない安定性が発進した瞬間から感じ取れました。「Extended Wheelbase」という名前のとおりにホイールベースの延長により安定した走りになっているというわけです。中速域のコーナーでも車体のロールが抑えられているので安心感が抜群で、コーナーを抜けてアクセルを踏み込んでいっても危うさは微塵も感じられません。ブレーキングでもボディが沈み込まないので、コーナリングで切り込んでいけます。まさにSUVという先入観が覆るような路面に吸い付いて走る感覚を味わえました。