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ヴェイルサイドが国産旧車「セドリック」を手掛けた理由とは? 横幕代表に聞いた「L型エンジン」への原点回帰

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TEXT: 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)  PHOTO: 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)

ボディカラーはミレニアムジェイドを採用

ベースは230型セドリックの2ドアハードトップで、その後に登場する330型セドリックよりもアメリカンテイストのスタイリングが抜群にカッコ良いモデルだ。

製作にあたってテーマとしたのは、競争することは考えずに、街乗りを楽に運転することができて、ストレスを感じることなくドライブを楽しめること。古いクルマなのでレストアをしながら、俗にいうファインチューニングを施している。

気になる仕様については、言われなければ気づかないぐらい見事な仕上げなのだが、前後フェンダーはオリジナルラインを活かしたままワイドフェンダー化している。さすがボディワークも得意なヴェイルサイドだけあって、そのフィッティングの正確さは見事だ。さらに、ボンネットやトランクも塗装しているので一見わからないが、カーボンで作られている。外装カラーも横幕代表のこだわりで、R35 GT-R Tスペックのミレニアムジェイドを採用。

「落ち着いた色合いが旧車によく似合うでしょ」

と話してくれた。

楽器のようなサウンドを奏でる

得意のエンジンについては、L型28改3.2Lのフルチューンだが、昔ながらのピーキー仕様ではなく、快適にストリートを走れるようインジェクションキャブ仕様とし、リンクCPUを使ってマネジメントを行う。

エンジン本体はOS技研に依頼して作ってもらった89mm試作ピストンとコンロッド、クランクシャフトをセットし、インテークを46.5φ、エキゾーストを38.5φのオーバーラップが広めのハイカムにビックバルブ、強化バルブスプリング、チタンリテーナーを組み合わせる。ヘッドカバーはJMCをベースにヴェイルサイド横幕SPL加工を施したもの。そこにJMCヘッドカバーと特注タペットカバーを装着する。

このL型エンジンのポイントは、インテークマニホールドを少し長めに作っている点にあるが、それよりも、エキゾーストマニホールドに対する力の入れ方は並大抵ではなかった。通常の作り方であれば等長にこだわるのがセオリーだが、ヴェイルサイド横幕代表は良い音を奏でるという意味で、タコ足の反響音を意識した。

それも1気筒ずつ音の周波数を合わせて製作することで、まるで楽器のようなサウンドを奏でるようになることに注目して製作。その狙いは見事に的中し、排気音は最高に心地よい音になったという。また、集合部は6-1列になっているが、これは内部構造をスパイラル形状にしているため流速を速め、スムーズに排気が抜ける特性であるのもヴェイルサイドならではのチューニング。これはドラッグ時代にやっていた効率を良くするための技で、今回はそれを良い音を奏でる部分に応用して作ったと説明してくれた。

自ら調べ尽くし、実作業まで行う

横幕代表が愛情をもって製作した230型セドリックに対するこだわりを挙げていくと、記事のスペースが足りないほどだ。チューニングもそうだが、レストア作業だけでも新品パーツにこだわり、買えるものを集め、無い物は再生品の中から良い物だけを選んで使う。それをボルト1本にいたるまで自ら調べ尽くし、実作業まで行っているのだから圧巻だ。

最後に横幕代表はこんな話で結んでくれた。

「妥協はしたくないよね。やるからにはとことん考えて、これ以上はないところまで突き詰める作業をする。これまでレストアという作業はあまりやってこなかったけど、自分みたいなタイプは、この分野に手を出したらいけないな。なぜなら終わりがなくなっちゃうから」

それにしてもレジェンドチューナー・横幕代表が原点回帰で製作した230型セドリックは想像以上に素晴らしかった。

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  • 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)
  • 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)
  • 1969年生まれ。某出版社でドレスアップ誌、チューニング誌の編集長を歴任。2006年に自動車・バイク専門の編集プロダクション株式会社バーニーズを設立。自動車専門誌をはじめ、チューニング、カスタム系、旧車、キャンピングカー、アウトドアに関する媒体を新たに立ち上げる。これまでの愛車は、セリカXX、スカイライン、AE86、AE92、シビック、スープラ、シルビア、180SX、ロードスター、RX-7、BMW850iなどなど。他にもセダン系、バン系、ミニバン系など数多くのクルマを乗り継いでいる。
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