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ガルウイングにした本当の理由は? AMG初の独自開発「SLS AMG」はメルセデス・ベンツ「300SL」の再来でした

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TEXT: 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)  PHOTO: Mercedes-Benz AG/Mercedes-Benz Museum/妻谷コレクション(TSUMATANI Collection)

  • SLS AMG
  • 見やすくデザインされた計器類や手の届きやすい操作類などは航空機の操縦席並みで、乗り込むとドライバーは瞬時にしてパイロットになれる
  • SLS AMGのスポーツシートは、軽量かつ高強度なハイテク素材であるマグネシウムをバックレストに採用し、車両の重量配分と低重心化に大きなメリットを生み出している
  • AMGパフォーマンスステアリングは、上質なナッパレザーの本革巻き3スポーク
  • ガルウイングドアを開けているSLS AMG
  • ガルウイングドアを開けているSLS AMG
  • ガルウイングドアを開けているSLS AMG
  • 優雅なスタイルも特徴のSLS AMG
  • 優雅なスタイルも特徴のSLS AMG
  • SLS AMGの開発コンセプトは、「最大限の低重心化」が大きなテーマ
  • メルセデス・ベンツの伝統である寒冷地や、耐熱テストの聖地であるアメリカ・デスバレーなどで過酷な走行テストが繰り返し行われ、走る・曲がる・止まる性能のテストを実施
  • メルセデス・ベンツの伝統である寒冷地や、耐熱テストの聖地であるアメリカ・ディスバレーなどで過酷な走行テストが繰り返し行われ、走る・曲がる・止まる性能のテストを実施
  • メルセデス・ベンツの伝統である寒冷地や、耐熱テストの聖地であるアメリカ・ディスバレーなどで過酷な走行テストが繰り返し行われ、走る・曲がる・止まる性能のテストを実施
  • メルセデス・ベンツの伝統である寒冷地や、耐熱テストの聖地であるアメリカ・ディスバレーなどで過酷な走行テストが繰り返し行われ、走る・曲がる・止まる性能のテストを実施
  • 風洞実験を徹底的に行い、卓越した空力特性によって操縦安定性向上とウインドノイズ低減を実現
  • フランクフルトモーターショーでの発表会で、メルセデス・テックセンター(MTC)のデザイナーはテーマである飛行をイメージしながら外観&内装のデザインを1:1のスケールで壁に投影し開発の舞台裏を披露した
  • SLS AMG用に改良を施した6.3L V型8気筒エンジン
  • 存在感あるスタイリングを採用しているSLS AMG

伝説のメルセデス・ベンツ300SLを彷彿させるSLS AMG

1950年代に一世を風靡した、メルセデス・ベンツ「300SL」ガルウイングクーペの再来とうたわれたのが、2009年9月にフランクフルトモーターで発表された「SLS AMG」です。これは、メルセデス・ベンツとAMGの両ブランドの強みを活かしたスーパースポーツカー。つまり、いまやメルセデス・ベンツの伝説となった300SLガルウイングのスタイルにAMGの技術を注ぎ込み、理想的な形で融合させて現代に蘇えったのです。最高のドライビングを楽しむため、コクピットに注ぎ込まれたこだわりとは?

「AMGの理想を追求し具現化する」という開発コンセプト

メルセデス・ベンツ「SLS AMG」の開発コンセプトとしては、「最大限の低重心化」が大きなテーマになっている。つまり、ドライブトレインとアクスルの接続部の位置を低くするとともに、ホワイトボディのコンポーネントも可能な限り低重心設計として、高剛性を実現することにある。

当時のメルセデスAMG社が、それまでシャシー、ボディから開発した車両としてはレース用の「CLK-GTR」などがあった。1967年の創業以来40年を超えてAMGのスポーツカーやレーシングカーを開発してきた経験とノウハウを注ぎこみ、AMGが「ピュアリズム(純粋主義)」のコンセプトのもと、ゼロから開発した最初の市販車がこのSLS AMGである。したがって、AMGが理想と考えるスポーツカーを追求し、具現化するというコンセプトで開発されたのである。

「Aviation」をデザインテーマに航空機のモチーフも取り入れられた

SLS AMGのデザインテーマは「Aviation(飛行)」。Aviationはラテン語で鳥を意味する「avis」に由来し、飛行(術)・航空(学)を意味する。外観は、ジェット航空機に着想を得ている。大きく翼を拡げるガルウイングドアやリトラクタブル・リアスポイラーは、今にも離陸し低空飛行からすぐさま高速飛行しそうなダイナミック性を表現した。

室内にも随所に航空機のモチーフを採用している。フランクフルトモーターショーでの発表会で、メルセデス・テックセンター(MTC)のデザイナーはテーマである飛行をイメージしながら、外観&内装のデザインを1:1のスケールで壁に投影して開発の舞台裏を披露した。例えば、ダッシュボードは翼のようなスタイルにより視覚的にワイドな印象を与え、調節可能なエアコンの十字型アウトレットはジェットエンジンのデザインをモチーフにしたこと。AMG E-SELECTレバーは航空機のスロットルタイプを採用している。したがって、このようにデザインされたダッシュボードと見やすい計器類や手の届きやすい操作類などは、まるで航空機の操縦席並みで、乗り込むとドライバーは瞬時にしてパイロットとなれるのだ。

発表会の際のデモンストレーション

300SLを彷彿させるガルウイングドア

開発には、メルセデス・ベンツ伝統の寒冷地や、耐熱テストの聖地であるアメリカ・デスバレーなどで過酷なテストが繰り返し行われ、走る・曲がる・止まるといった運動性能が磨き上げられた。風洞実験により卓越した空力特性が与えられ、操縦安定性向上とウインドノイズ低減を実現している。

このSLS AMGは、メルセデス・ベンツの伝説となった「300SL」の現代版として発表され、アルミニウム・スペースフレームとガルウイングドアという構成が300SLを彷彿させる。2m近いロングノーズに低くコンパクトなキャビン、そして、リアのトランク部分がショートデッキとされるスタイルは典型的なスポーツカーではあるが、じつに流麗なスタイルとなっている。

フロントマスクに位置する大きなスリーポインテッドスターとウイング形状のクロスフィンは、300SLから継承されるメルセデス・ベンツのスポーツカーの伝統である。また、大型のラジエターグリルや6つのエアインテークがハイパフォーマンスを表現していると同時に、縦長のヘッドライトはシャープでダイナミックな雰囲気を醸し出している。まさにこのSLS AMGは、以後に登場するメルセデス・ベンツのスポーツカーのデザイン哲学を先取りしていたと言える。

外観でのハイライトは間違いなくガルウイングドアである。しかし、これは何も話題をさらうために採用されたわけではない。設計にあたり開放角度をできるだけ大きくすることを目指し70度に設定。しかも一般的なクーペのドアに比べて開くのに必要な橫方向のスペースが少ないため、ガレージ内でも横幅を気にせずに開くことが可能である。

また、乗車のために足を上げなければならない高さ(路面からサイドシル上端まで)は45cmと低くなっており、伝説の300SLとは違ってエレガントな乗り降りができる。しかも、このエレガントな乗降性を実現するもうひとつのキーポイントは、ドアの開閉が容易にできることである。つまり、ドアヒンジのサイドにガスダンパー2本を装備し、厳寒時にも軽く開閉可能だ。

全高は伝説の300SLより53mm低い1262mmで、なおかつ地面からわずか369mmの低い位置に座ることになるこのSLS AMGは、スポーツカーらしい構成ながら、乗降性が極めて良好なのはこのガルウイングドアであるからだ。ドアを跳ね上げた際の上端は地面から1950mm、ドアシルから1080mmと広くとられ、スムーズにコクピットに乗り入れることができる。

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