全ての反応がクイックな“アスリート”
スペイン屈指のリゾート地、マルベーリャを起点に国際試乗会が開催された。まずは山岳の街ロンダ郊外に存在するプライベートサーキット“アスカリクラブ”でそのパフォーマンスを存分に体験する。
MC20といえば戦闘的なレイアウト&パッケージを全て覆い隠すかのようにエレガントな衣装を着た、言ってみればスーパーモデルのようなマシンであり、そのドライブフィールもまたGT風味が強く“まろやかさ”が売りでもあった。GT2 ストラダーレは違う。もはやその性能を隠そうともしないマッチョなアスリートとなり、パフォーマンスの発露もまた完全にリアルスポーツの領域にあった。
とにかく全ての反応がクイックである。加速、コーナリング、減速、いずれもドライバーの期待を上回って速く、それらが全て連動して提供されるから、ドライバーの意思とマシンの速さは常に“イタチごっこ”を繰り返す。プロフェッショナルであればともかく、シロウト+αのアラカンドライバーは、どこのコーナーでも操作に遅れをとって地団駄踏むことになった。
前輪の動きは正確無比で、その状態を把握することもたやすい。一方、後輪はパワートレインを背負ったドライバーと見事に一体となって、思い通りの加速を促す。試乗車にはトラック仕様に必須のパフォーマンス・パック(前出のミシュランタイヤなど)が備わっていたが、これにはカーボンコンポジットブレーキも含まれる。試乗車はサーキットで集中的に使用されていたが、ストッピングパワーは素晴らしく、ハードな制動の繰り返しにも音を上げない。個人的には踏み込み初期のストロークを少しだけ長く感じたが、慣れれば問題なくコントロールできた。
カントリーロードはGT2 ストラダーレには役不足
どこからでも力強い加速をみせる。なんなら安全マージンをとって、1段上のギアを選んで走っても速い。シャシー制御は相当に優秀で、全てを任せて曲がっていく勇気があれば、どこまでも速く旋回できそうだ。なるほど、トラックで総合力を楽しむマシンに仕上がった。
サーキットからホテルまで、一般道テストも行った。流石にライドフィールはソリッドで硬い。けれどもカーボンボディのおかげで四肢をしっかり動かせているという感触はある。かなり高速走行可能なカントリーロードだったが、GT2 ストラダーレには役不足というもので、クルマの方がその力を持て余しているようにも思えた。もちろん、ゆっくりクルージングさせればいいだけの話で、硬めのフラットライド感も慣れれば大して負担にならず、さらにスポーツシートを選べば日常使いに問題はないと思われるが、そこはイタリア製のサーキット志向マシンである。もっと力を発揮したいとドライバーよりもマシンの方が常にウズウズしているかのようだった。








































