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「プアマンズ300SL」でも約2430万円で落札! コンクール受賞歴のあるメルセデス・ベンツ「190SL ロードスター」はいかにも50年代アメリカの雰囲気

「プアマンズ300SL」でも約2430万円で落札! コンクール受賞歴のあるメルセデス・ベンツ「190SL ロードスター」はいかにも50年代アメリカの雰囲気

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bonhams

50年代アメリカの空気を感じさせるレストア

今回ボナムズ「Scottsdale 2025」オークションに出品された190SLは、メルセデス・ベンツのスタイリッシュなロードスター創成期を代表する、美しい1台である。

「ホライゾン・ブルー(DB304)」のペイントワーク、対照的な「ライトクリーム」のレザー張り、ダークブルーのモヘア地ソフトトップという魅力的なカラースキームで、新車としてジンテルフィンゲン工場からラインオフされたときと同じように仕上げられ、この人気のコンバーチブルの屈託のない魅力を凝縮している。

この190SLは、時期はかなり古いが高品質なレストアが施されたようで、ショーカーとして活躍していた時代から入念にメンテナンスされてきたという。

レストアのクオリティを裏付けるように、この個体は過去にメルセデス190SLのワンメイク・コンクールでの受賞歴があり、その際のトロフィーは販売時に添付されている。また、細部に至るまで正真正銘のディテールを保っており、付属されたファクトリー発行のデータカードにあるように、マッチングナンバーのエンジンを保持しているとのことである。

また魅力的なペイントワークだけでなく、質の高いメッキによるブライトワークやトリムもポップな雰囲気。「ドッグディッシュ」と呼ばれる純正ホイールキャップは、センター部分がボディ同色の仕上げとされるうえに、ポリッシュ仕上げのホイールトリムやコンチネンタル社製「コンチクラシック」ホワイトウォールつきタイヤで、現役当時風のアメリカンなスタイルに仕立てられている。

レストアとサービス履歴を収めたバインダーファイルも付属

いっぽうキャビンにはホワイトレザーのシート、ドアカード、ダッシュトップが装備され、ダークグレーの角織カーペットと本格的なラバー製オーバーマットが敷かれている。くわえて、300SLの系譜がもっとも顕著に表れているダッシュボードには、VDO製の計器類と上質なクロームメッキのスイッチギアが並んでいる。

さらに、当時仕様の「ベッカー(Becker)」社製ラジオを装備し、純正のオーナーズマニュアルにデータカード、スペアキー、ツールキット、ジャッキ、ダークブルーのお揃いのトランクカバー、レストアとサービス履歴を収めたバインダーファイルが付属している。

オークション公式カタログ内で、

「190SLはコレクターの永遠の憧れであり、楽しいドライビング体験、メルセデス・ベンツの卓越した品質、美しいスタイリングを、親しみやすく使いやすいパッケージで提供している」

と謳ったボナムズ社は、15万ドル~20万ドル(邦貨換算約2340万円〜約3120万円)という、このモデルとしてはかなり強気ともいえそうなエスティメート(推定落札価格)を設定。この日の競売が終わってみればエスティメート範囲内に収まる15万6000ドル、現在のレートで日本円に換算すれば、約2430万円で落札されることになったのだ。

現代の国際クラシックカー市場では、そのオマージュの対象である伝説のスーパースポーツ、300SLが猛烈な価格高騰ぶりを見せてきた市況に引っ張り上げられるかのように、190SLや後継のR113系SL、さらにはR107系SLもあとを追うように相場価格を上昇させていることは周知の事実。そして今回のハンマープライスも、そんなマーケットの流れの一環と思われるのである。

>>>Gクラスを特集したメルセデスの専門誌「only Mercedes」のvol.222を読みたい人はこちら(外部サイト)

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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