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レクサス「LBX」が「スピンドルグリルをぶっ壊した」理由とは?【レクサス・インターナショナル プロジェクトチーフデザイナー袴田浩昭氏:TOP interview】

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎七生人(SHIMAZAKI Naoto)

LBXが目指した新たなドライビング体験

島崎:LBXはライバル車に対して幅があるじゃないですか。ベース車からトレッドも広げられた。それも面を生かすのには有利だったんじゃないですか?

袴田:まさに。じつは開発当初のパッケージは、幅が量産モデルより60mm中に入っていました。

島崎:ほほう、「ヤリスクロス」とは?

袴田:同じでした。そのパッケージで最初はやっていたのですが、やはりレクサスとしての存在感をコンパクトなクルマでも出したいという思いからすると、やはり幅が足りなかった。その時点で章男会長からも「こんなクルマいらない!」と言われました。で、そこからパッケージを変えて、タイヤを大きくして……といった変更を加えました。

島崎:そうか、サスペンションのパーツも専用に起こされたんですよね。

袴田:ヤリスクロスがベースといいますが、だいぶ異なったクルマになっています。

島崎:クルマそのものの走りも違っていますよね。ヤリスクロスも何気なく乗って、クラスを超えた感じのいいクルマだと思いますけどね。

袴田:はい、いいクルマだと思います。

島崎:そこからレクサスらしい、しっとり感とかしなやかさとかのレクサス風味がLBXでもちゃんと表現されている。

袴田:レクサスらしい味付けを加えています。1.5Lのハイブリッドに違いはないのですが、モーターはバイポーラ型ニッケル水素電池のもうちょっとパワーのある、電気リッチの走りができるモーターにしたことで、最初にアクセルを踏んだ時の出だしの良さがあります。

愛犬も快適だったLBXのデザイン哲学とは

島崎:以前に試乗した際も、そのことは実感しました。我が家の犬も快適そうでしたし。とにかくコンパクトだけどマッシブなスタイルもいいし、錯綜したキャラクターラインもないし、ボディも無用にウネウネと隆起していないし……。

袴田:すごく素直に作りました。内装もそうですけど。

島崎:それはユーザー層を広げる狙いもあったのですか? 今までのレクサス車のユーザーの方に物足りないといわれたりしませんか?

袴田:一方でスピンドルグリルが好きでいらっしゃるお客様もいらっしゃいます。レクサスじゃなくなっちゃったと言われるお客様がおられるのも事実です。ただ、見慣れてくると思うんですよね。スピンドルグリルが最初に出た時も「なんか変な口」と言われるお客様も多かった。でもだんだん良くなった……。世代とともに進化してきたというのもありますが、見慣れてきたのだと思います。

島崎:ほぉ、そうでしたか。

袴田:とくにLBXは小さいクルマなので、レクサスを初めてエントリーで購入されるお客様もいらっしゃいます。そういう方への導入として、いい位置づけにあるのかな、と。

開発陣が語るLBXの本当のライバル

島崎:以前の「CT」に代わるポジションですしね。この島崎でも「1台もらおう」といえる初めてのレクサス車というか……。あ、お値段はそれなりにレクサス車だから、気軽にいただくわけにはいかないですけれど。

袴田:エレガントというグレードも追加されましたので、お値段的には若干お安くはなっていますけれど。

島崎:ところで僕はすごく気になっていたのですが、フランスのハイソなDSオートモビル「DS 3」に通じる雰囲気があるように思っていたのですが、あのクルマをチラッと意識されてたりしたのですか?

袴田:じつは開発している時にはDSオートモビルはまったく意識はなかったです。むしろ同じカテゴリー、クラスでいうとアウディ「Q2」とか、少し大きくなりますが「ミニ カントリーマン」とか。そのへんがガチで競合だと考えていました。だたこのカテゴリーでラグジュアリーブランドから出しているクルマの仲間がいないので、その意味ではDSオートモビルもそうかもしれませんね。開発時にそこまでは意識はしていませんでしたが。

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