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日産初代「ダットサン サニー」は50年前のクルマと感じない美しい状態をキープ! 10年以上の空白期間を得て再び走りを満喫

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循(NAGAO Jun)

  • 1967年式の日産 初代 B10型 ダットサン サニーとオーナーの濵田 進さん
  • 日産 初代 B10型 ダットサン サニー:グレードはデラックス
  • 日産 初代 B10型 ダットサン サニー:カタログから抜け出てきたような美しい状態を保つ
  • 日産 初代 B10型 ダットサン サニー:OHVのA型エンジンは988ccから56psを発生する
  • 日産 初代 B10型 ダットサン サニー:第26回高輪交通安全フェア 品川クラシックカーレビューイン港南に参加した
  • 日産 初代 B10型 ダットサン サニー:カタログから抜け出てきたような美しい状態を保つ
  • 日産 初代 B10型 ダットサン サニー:ナンバーを再取得した際に機関外観にひととおり手を入れたという
  • 日産 初代 B10型 ダットサン サニー:1967年式の2ドア・セダンで、グレードはデラックス

本格的マイカー時代の先駆けとなった1台

1960年代半ば、乗用車のラインナップがまだ「ダットサン ブルーバード」と「セドリック」だけだった日産が(スポーツカーのフェアレディとシルビアはあったが)、ブルーバードより身近な大衆車として新たに投入したのが「ダットサン サニー」です。今回は、第26回高輪交通安全フェア 品川クラシックカーレビューイン港南に参加した初代 B10型ダットサン サニーを紹介します。

一般公募850万通から選ばれたサニーの車名

「サニー」の車名は、発売に先駆けて一般公募したキャンペーンの結果を踏まえて決められた。この公募には850万通もの応募があったと言われ、これはいかに当時の日本人が”マイカー”に高い関心があったかを物語る数字といえよう。発売前から大きな話題となっていたサニーがデビューしたのは1966年のこと。デザイン的にも機構的にも手堅くまとめられた質実な仕上がりで、スタンダード41万円、デラックス46万円という手頃な価格も相まって、サニーは発売直後からベストセラーとなった。

当初は2ドア・セダンだけだったボディも、デビュー翌年の1967年には4ドア・セダン、1968年にはクーペが追加され、日本のモータリゼーションの発展に大きく貢献した。しかし我が国を代表する大衆車でありながら、ヒストリックカー・イベントなどではダットサン サニーは比較的少数派だ。

これは同じ日産車でも歴代のフェアレディZやスカイラインあたりと比べると対照的。実直な実用大衆車として生まれたクルマだけに、その多くは昭和の家族を乗せてマイカーとしての使命を全うし、静かに消えていったのだろう。今回のイベント会場で見かけたサニーもこの1台のみ。B10型の形式名で知られる初代ダットサン サニーである。

乗れない時期はナンバーを切って所有し続け30年

「ご覧の通り初代のサニー1000、1967年式の2ドア・セダン。グレードはデラックスです。このクルマを手に入れたのは1994年のことです。ショップで見かけ、まさに運命の出会いだと感じました」

とお話を聞かせてくれたのはオーナーの濵田 進さん。購入後はヒストリックカーとの充実した生活が始まった。しかし好事魔多しとはよくいったもの。仕事の都合でクルマを置いて地方に赴任となり、10年以上もダットサン サニーに乗れない日々が続いてしまったという。しかし濵田さん、その間も決してこの愛車を手放すことはなかった。

「乗れない期間が長かったのでナンバーは一旦切ってしまいましたが、仕事をリタイアしたのを機に、またこのサニーを走らせたいと、改めてナンバーを取り直して路上復帰させたのです」

 

所有歴の長さに対し、比較的近年のナンバープレートを掲げているのはそのような事情ゆえ。ナンバーを再取得した際に機関外観にひととおり手を入れたというが、それにしてもその車齢をまったく感じさせないしっかりとした佇まい。

「じつは私がふたり目のオーナーで、走行距離はまだ6万4000kmなんです」

と聞けば、その素晴らしいコンディションにも納得だ。カタログから抜け出てきたような鮮度で、しかしオーナーとのライフスタイルも伝わってくるライブ感は、博物館の展示車両のような無機的な冷たさとも無縁。”本格的マイカー時代の先駆け”の息吹を今に伝えてくれる、濵田さんの初代ダットサン サニーだった。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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