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ダットサンを1台でも多く日本に残したい!その思いの1台がアメリカから帰国したダットサン「1500 スポーツロードスター」

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TEXT: 奥村純一(OKUMURA Junichi)  PHOTO: 奥村純一(OKUMURA Junichi)

  • ダットサン1500 スポーツロードスター:ファイナルイベントとなった「ミルキーウェイ・ブルーアイランド・ラリー」。しかし、また別のイベントでの再会を誓う競技長と一色さん親子
  • ダットサン1500 スポーツロードスター:アメリカから里帰りしたため、左ハンドル仕様のダットサン1500 スポーツロードスター。今回は息子・亮人さんがステアリングを握り、父・弘章さんがナビゲーターとしてルートマップの指示などを伝える
  • ダットサン1500 スポーツロードスター:一色さん親子がエントリーしたのは、アメリカから里帰りした1964年式ダットサン1500 スポーツロードスター(SPL310)。爽やかなブルーが印象的だ
  • ダットサン1500 スポーツロードスター:アメリカから里帰りしたダットサン1500 スポーツロードスター。横向きに配置されているオリジナルのリアシート
  • ダットサン1500 スポーツロードスター:亮人さんが10歳の時に、父の弘章さんのミニで家族と共に参加した、まだラリーではなく展示イベントだった頃の“ミルキーウェイ”のステッカーがトランクリッドに貼られていた
  • ダットサン1500 スポーツロードスター:アメリカから里帰りさせたダットサン1500 スポーツロードスター。水回りだけは修理したが、重整備はしていないが調子は抜群だ。2Lに比べ1.5Lはガスケットなどの部品調達も大変だという
  • ダットサン1500 スポーツロードスター:よく似合っているホワイトリボンのタイヤはBFグッドリッチ製。クロームメッキが施された純正のハブキャップと完璧にマッチしている
  • ダットサン1500 スポーツロードスター:太平洋を臨む海岸線を気持ちよさそうに走る、一色さん親子ペアの1964年式ダットサン1500 スポーツロードスター(SPL310)
  • ダットサン1500 スポーツロードスター:一色さん親子がエントリーしたのは、アメリカから里帰りした1964年式ダットサン1500 スポーツロードスター(SPL310)。爽やかなブルーが印象的だ
  • ダットサン1500 スポーツロードスター:長くヒストリックカー趣味を楽しむ弘章さん。ライカを構えて笑顔を見せてくれた。もちろん、カメラにもこだわりがある
  • ダットサン1500 スポーツロードスター:長い行程が終わる頃は日没寸前。ゴール地点の高知県香南市にあるリゾートホテル「海辺の果樹園」で、スタッフに出迎えられる一色さん親子ペア
  • 亮人さんが幼少期、父の弘章さんに連れられて初参加した“ミルキーウェイ”。長い歴史に幕を閉じるファイナルイベントに親子で挑む
  • ダットサン1500 スポーツロードスター:一色さん親子がエントリーしたのは、アメリカから里帰りした1964年式ダットサン1500 スポーツロードスター(SPL310)。爽やかなブルーが印象的だ

アメリカから帰ってきたダットサンSPL310と親子での挑戦

幼少期に父の運転で参加した「ミルキーウェイ・ブルーアイランド・ラリー(以下:ミルキーウェイ)」が、一色亮人さんがクルマ好きになる原点だったと言いいます。そして亮人さんはカーショップを営むようになりミルキーウェイにも参加していましたが、父親の幼なじみだった主催者の急逝を機に親子でダットサン「1500スポーツロードスター」で参加することを決意します。じつはこのクルマは逆輸入車。このクルマが日本に里帰りできたのは、アメリカ在住のダットサンファンと育んだ友人関係があったからでした。その経緯も含めて、一色さん親子が走った最後のミルキーウェイのようすを紹介します。

「国内からダットサンが1台減るのが寂しい」…友情が実現させた里帰り

爽やかな水色のダットサン1500 スポーツロードスター(SPL310)でミルキーウェイにエントリーしていたのは、一色亮人さんと一色弘章さんの親子ペアだ。このSPL310は、アメリカからの逆輸入車、つまり左ハンドル車である。

愛媛県松山市で自動車整備販売店「ロフトガレージ オートシロー」を営む亮人さんは、大のダットサン(当時の日産の輸出用名)好き。なかでも2代目ブルーバードの410型は、自らも所有する愛好家だ。

そんなある日、亮人さんはアメリカ人サムからメールを受け取った。その内容は、「オートシロー」で販売していた411ブルーバードが欲しいというものだった。

当時の亮人さんは、ダットサンへの愛情から日頃からこんな事を考えていた。

「海外に出してしまうと、国内から1台ダットサンが減ってしまう。そんな罪なことは自分はやりたくない。地元で見つかったクルマを、地元から他の地域に出すことさえ罪悪感がありました。ましてやアメリカでしょ? それは無理だな、と。しばらくは返事をしなかったんですよ。放っておけば諦めてくれるかな、と思いまして(笑)」

それでも諦めきれないサムからのアプローチは続いた。今度は輸出代行業者を通じて、売ってほしいという連絡があった。断りを入れるも、サムからは「いつか日本に行って、クルマを見にいく」というメールが届いた。

「まあ、来るのは勝手だし、冷やかし半分だろうな、くらいに考えていたんです。そしたら本当に店に来たんですよ。俺以外にも、こんなにブルーバードが好きな奴がいるんだな、と。それで『大事にしてくれるなら、国内も国外も関係ないかな』と思ったんです」

サムのダットサンへの愛情を感じた亮人さんは、410をアメリカに送り出した。念願のオーナーとなったサムも、SNSで愛車事情を発信。大事にしている様子を知ることができた。この輸出をきっかけに亮人さんとサムとの友情が育まれていくことになる。

そうしたサムとのやり取りのなかで

「日本から減った分を、向こうから里帰りさせて増やせばいいんだ!」

という考えが亮人さんのなかで生まれた。サムもそれに応えてくれ、お互いに興味のあるクルマのやり取りを行い、現在では逆に日本に里帰りさせた台数の方が、輸出したダットサンの台数を上まわっているそうだ。

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