フロントフェイスに「AUDI」のロゴが与えられた中国版アウディ
アウディとSAIC(上海汽車集団)の戦略的提携により、中国市場専用ブランドの初代量産BEVモデル「アウディ E5スポーツバック」が発売されました。最高出力579kW、航続距離770kmを誇り、0-100km/h加速では3.4秒を実現しています。最新の「ADP(Advanced Digitized Platform)」を採用し、フルOTAアップデートや次世代コネクテッド機能を備えるなど中国製らしいスペックにも注目が寄せられています。
中国ブランドらしいソフトウェアの充実ぶりが特徴
アウディE5スポーツバックはフル電動の4ドア・ファストバックで、ダイナミックなスタイリングと先進技術を融合させたモデルだ。最大出力は579kWに達し、0-100km/h加速は最短で3.4秒という高性能を誇る。さらに、航続距離は最大770kmと日常使用から長距離移動まで幅広いシーンに対応できる性能を備える。駆動方式は後輪駆動とクアトロ(四輪駆動)の2種類が用意され、計4種類のパワートレインが選択可能となっている。
また新開発のADP(Advanced Digitized Platform)を採用し、車両全体の次世代コネクテッド機能を実現する。特筆すべきはフルカーOTA(Over The Air)アップデートへの対応で、ソフトウェア面で常に最新の機能や改善が提供される点だ。これにより、購入後も継続的にアップデートすることが可能となる。
上海にあるSAIC安亭工場の製造ラインは高度な自動化技術と最先端の品質管理が特徴。とくに機械学習を活用した品質モニタリングシステムや、完全デジタル化した生産管理システムが導入され、中国市場専用ブランドの立ち上げにふさわしい革新的な生産体制が整っている。今後2年以内にE5スポーツバックに続く2車種の投入も計画されているようだ。
中国専用ブランドCEOであるフェルミン・ソネイラ氏は「アウディのデザイン、品質、技術精度、そしてエモーショナルな走りの魅力を、中国の最先端技術と融合させた。E5スポーツバックはまさに両者のベストを結集したモデルであり、中国市場に妥協のない体験を提供する」と述べている。ドイツの精緻なエンジニアリングと、中国の革新性を組み合わせた象徴的モデルといえる。

【AMWノミカタ】
このE5スポーツバックは中国専用ブランドとして開発・生産され、現地のニーズに応える戦略を明確に打ち出している。中国の消費者は欧州や北米と比べてデジタル機能・コネクテッド体験を重視する傾向が強く、これまでの欧州仕様の単なる「輸入・ローカライズ」では不十分という判断が背景にあるようだ。また、SAICとフォルクスワーゲングループの関係も深く、現地での生産基盤・サプライチェーン・コスト競争力を確保できることもE5スポーツバックの開発を進めた要因だろう。
E5スポーツバックにはフォーリングスのバッチは付けられず、フロント・リア共に「AUDI」の文字が配されている。これも中国専用車両としての独立したアイデンティティを主張するためのもの。昨年、中国では2261万台の乗用車が販売され、うち40%は電動車だった。世界最大市場でのE5スポーツバックは、今後の他ブランドの販売戦略全体を左右することになるだろう。




































