長年所有していた愛車がクラシックカーイベントに出られる年式になっていた
明治期に建てられた国の重要文化財「京都府庁旧本館」に、約70台のクラシックカーが集まりました。これは京都府内を2日間かけて走るクラシックカーラリー「コッパディ京都」のスタート地点となったからです。なかでも注目を集めたのが、1969年式日産「スカイライン2000GT-R」で参加した根元夫妻。夫婦でコマ図を見ながら、デジタル化が進むなかストップウォッチ片手にアナログ計測で挑む姿が印象的でした。
PCラリー専用機に頼らずあえてアナログ計測でラリーを楽しむ
「今朝、ホテルで新品のプラグに交換してきたのですが、逆に調子が悪くなったため、ここに来るまでに道中に付けていたプラグに戻していたのです」
プラグレンチを手にしながら答えてくれたのは、オーナー根元剛雄さんである。妻の名穂子さんと東京都から参加した。
スタート前に助手席でコマ図を確認していた妻の名穂子さんも
「こうしたイベントに出るようになり、初めてコマ図というものを知りました。私は助手席でのこうした作業も面白く感じて、一緒に楽しんでいます」
ヒストリックカーラリーでは、採点の方法として先踏競技と呼ばれるPC(Prove Cronometrate)競技が設けられている。PC競技とは、決められた一定の距離を指定された時間(数秒が多い)で、いかに正確に走れるかを競うものであり、ドライバーとコドライバー、それぞれの役割分担がある。
「PC競技用に専用の機械があり、距離と時間を入力すればカウントダウンをしてくれる機器もあります。しかし、私たちはストップウォッチを使って計測し、主人に5・4・3・2・1とカウントし線踏みのタイミングを伝えています」
駆動系のオーバーホールをDIYで行いカスタマイズも楽しむ
ちなみに、PC競技はコンマ3桁を争うこともある熾烈な競技だ。このPC競技に魅せられ、命懸けで取り組むエントラントも少なくない。しかし根元夫妻は、クルマが作られた当時のようにストップウォッチで計測し、計測が指示タイムに近かったり、たまにぴったりになると車中の会話も弾むというマイペースな方法で楽しんでいる。
根元ご夫妻にとって、コッパディ京都は2度目の参加であり、毎回テーマに沿ったコースも魅力だそうだ。
「今回のコースでは北山杉の産地を走りました。銘木北山杉は有名ですが、それを知っていても、その林を通るなんてことは考えたこともありませんよね。そこを通るとき、ここがあの銘木の産地なのだと、沿道の風景も楽しめています」
まずは京都までの約500kmを東京から移動する必要があるが、剛雄さんは定期的な油脂類の交換だけでなく、デフやミッションのオーバーホールといった重作業まで、愛車のほとんどのメンテナンスを自分で行うという。プラグ交換を終えた愛車GT-Rはすこぶる快調である。
「今はチェックマンですが、ダッツンコンペにしたりと気分転換でステアリングは時々交換しています。ホイールもワタナベを付けていたこともあるのですが、ほとんどのGT‐Rが同じでしょう? みんな付けているからつまらないのです。純正のスチールホイールもかっこいいですが、重いのです。そんな時、アルミホイールだけどスチールホイール風デザインで軽量な『スーパーRAP』を見つけたのです。黒に塗っているからマッチしているでしょう」
こうしたモディファイも定期的に行い、気分転換をしているそうだ。
もう1台ポルシェ930ターボも所有しているという根元さん。欲しいという憧れから中古で買いやすい値段になった30年くらい前に入手し、そちらでもイベントを楽しむという。長年乗ってきた愛車たちが、気付いたらイベントへの出場規約を満たした年式になっていたので、好きなクルマに乗って夫婦2人で楽しんでいると笑顔を見せてくれた。


















































