さまざまなオープンカーが集まるのなかで異彩を放つ逆輸入車
三菱「エクリプス スパイダー」は、1990年代の日本車のなかでも異彩を放つ存在です。アメリカ市場を主眼に開発された逆輸入モデルでありながら、確かな走りと快適さを兼ね備えています。オーナーの松岡洋志さんが所有する1996年式ながらも、走行距離は5万kmと極上のコンディション。純正流用によるホイールカスタムや丁寧なメンテナンスを重ねながら、長く大切に乗り続けています。流行に左右されない独自の魅力をいまも放ち続ける1台です。
GTOやFTOといったレアな三菱車探しの末に行き着いたエクリプススパイダー
2025年6月7日〜8日に福島県相馬郡新地町で行なわれた「福島オープンカーフェス」は、初開催ながら北海道から三重まで全国から約220台のオープンカーが大集合。初日はオフ会、2日目のツーリングは、ともに天候にも恵まれ、大盛況のうちに幕を閉じた。輸入車やクラシックカーを含め個性的なクルマたちが会場を埋め尽くすなか、唯一無二の存在感を放っていたのが松岡洋志さんのエクリプス スパイダーである。
レアな三菱車が欲しく当初はGTOやFTOを探していたが、コンディションの悪い中古車しかなく購入を躊躇していた。そのようなとき突然エクリプスの存在を思い出し、調べたところ1オーナーで走行5万kmという、28年前のクルマとは思えない上物を発見。すぐ販売店へ見に行ったところ想像していた以上にキレイで、さらにスタッフの熱意にも惚れ込み購入を決意したという。
エクリプスの魅力は何といっても日本で正規販売されていた逆輸入車ということに尽きる。『ワイルド・スピード』の映画公開以前からいい意味で日本車らしくない雰囲気を身にまとうクーペ(オープンもある)であり、ランサーエボリューションと同じ名機4G63を積んでいることで熱烈なファンは多くいたのだ。ところが2代目のD32/38A型は1999年で生産を終え、国内で販売された台数も決して多くなかったため、街で姿を見かける機会はめっきり少なくなっている。
デリカD:5のメッキホイールを流用してインチアップ
では松岡さんの愛機を改めて紹介しよう。カスタムでのお気に入りはホイールである。現行デリカ D:5 前期モデルのとあるグレードの純正品を流用しており、オフセットはドンピシャでホイールとキャリパーが干渉する心配もない。中古品の流通量は決して多くないが、純正ホイールだけに安く、松岡さんは4本セットをなんと3万円でゲットしたとのことだ。
メッキはアメリカンな雰囲気をさらに引き立ててくれるうえ、ノーマルの15インチはまるでSUVのようなタイヤのボリューム感が不満だったため、18インチ化で見た目もかなりスタイリッシュになったと大喜びである。なおタイヤは前述のデリカ純正が225/40-18のところを、むっちり感を出すため235/40-18に若干ながら太くした。
元々がアメリカに向けた設計であるだけに、日本の道路を走るとフワフワした乗り心地であった。そこで足まわりはラルグスの車高調で引き締めた。18インチにアップして、サイズも太くしたタイヤの恩恵もあり、安心感あるハンドリングに変わった。適度なローダウン量も大人のカスタムといった雰囲気でカッコいい。
松岡さんにとって目からウロコだったのはエンジン特性である。4G63は知ってのとおりチューニング業界で高く評価されているが、エクリプスでは排気量が同じ2Lにもかかわらず味付けがまるで違う。低回転からトルクを発生させる大陸的なフィーリングで、どちらかといえばV6のNAのような感覚だと松岡さんは話す。
インテリアもじつにアメリカっぽい。日本はタイトなコクピットの2シーターオープンカーが主流だが、エクリプススパイダーはリヤシートが存在するだけでなくアメ車のようなおおらかなスペース感がある。それゆえヨーロピアン系オープンカーのような窮屈さを感じず、ゆったり乗れるため疲労感も少なくドライブを楽しみつつ会場へやって来たとか。
ただし都内は大柄なボディや見切りの悪さ、そして小まわりがきかないことが災いし、運転に神経を遣うシーンもあるそうだ。とはいえエクリプス スパイダーを所有する喜び、乗る喜びに比べれば大きな問題ではない。今後もコンディションの維持をメインに、やっと出会った愛車とのカーライフを満喫していくそうだ。
























































