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1965年式アストンマーティン「DB5」を3年の月日をかけて名誉あるフルレストアを敢行

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TEXT: AMW  PHOTO: Aston Martin

  • 1965年式アストンマーティンDB5:DB5をドライブするオーナーのジョン・ウィリアムズ氏
  • 1965年式アストンマーティンDB5:DB5をドライブするオーナーのウィリアムズ夫妻。笑顔が素敵だ
  • 1965年式アストンマーティンDB5:オーナーのウィリアムズ夫妻(左側ふたり)
  • 1965年式アストンマーティンDB5:世界一と断言して差し支えないアイコニックなフォルムが美しいボディカラーとともに蘇った
  • 1965年式アストンマーティンDB5:世界の著名人がオーナーとなったDB5。ポール・マッカートニーもミック・ジャガーもそのシルエットに酔った
  • 1965年式アストンマーティンDB5:DB5のボンネット下には希少性の高いヴァンテージエンジンを搭載
  • 1965年式アストンマーティンDB5:まさにクラフトマンシップの極みと言えるフルレストアのコクピット
  • 1965年式アストンマーティンDB5:現代のスーパーツアラーDB12にも影響を与えた1965年式アストンマーティンDB5
  • 1965年式アストンマーティンDB5:アルミパネルの1枚1枚を手作業で成形したという
  • 1965年式アストンマーティンDB5:各アルミパネルをすべてリファインしたアストンマーティン・ワークスのプロイズムが光る
  • 1965年式アストンマーティンDB5:老朽化した各部をボアメタルの状態から復元作業に着手
  • 1965年式アストンマーティンDB5:老朽化した各部はエンブレムにおいてもボアメタルの状態から復元に着手
  • 1965年式アストンマーティンDB5:3年の歳月、2500時間以上の作業時間が費やされた
  • 1965年式アストンマーティンDB5:オーナーの復元への情熱もさることながら、それに応えたワークスのプライドにも敬服
  • 1965年式アストンマーティンDB5:もはや草ヒロと呼んでも不思議ではないほどに草木が溜まったキャビン
  • 1965年式アストンマーティンDB5:もはや草ヒロと呼部にふさわしいほどに草木が溜まったキャビン
  • 1965年式アストンマーティンDB5:もはや草ヒロと呼んでも不思議ではないほどに放置されたと思われるキャビン
  • 1965年式アストンマーティンDB5:エンジンルームに至っては復元よりも移植を選んで不思議ではない
  • 1965年式アストンマーティンDB5:アストンマーティンの、というよりも、さらには旧車と呼ぶよりも文化遺産の復元に近かったのではと思わせる
  • 1965年式アストンマーティンDB5:単なる修理でも復元でもない。再生を目指した壮大な儀式をうかがわせる
  • 1965年式アストンマーティンDB5:時代を超えてワークスのベテランから若手職人への文化を受け継ぐ意識の高さこそストーリーだ
  • 1965年式アストンマーティンDB5:蘇ったエンジンルームを眺めるオーナーのウィリアムズ氏(右)
  • 1965年式アストンマーティンDB5:フルレストアされたDB5に見入るオーナーのウィリアムズ氏(右)
  • 1965年式アストンマーティンDB5:ひたすら夢を追い続け、夢を手にしてなお50年間手放さなかったオーナーのウィリアムズ氏
  • 1965年式アストンマーティンDB5:アストンマーティンの本拠地前を、蘇りしヴァンテージエンジンの咆哮とともに走り抜ける
  • 1965年式アストンマーティンDB5:老朽化した車体はボアメタルの状態から復元作業に取り掛かった
  • 1965年式アストンマーティンDB5:DB5のボディを愛でるオーナーのウィリアムズ夫妻。心から愛情を注いでいることが伝わる

900ポンドで買ったクルマの価値が100万ポンドに!夢への投資と支えた家族愛

1972年に900ポンド(現在価値約1万5000ポンド)で購入した1965年式アストンマーティンDB5が、2022年に開始されたフルレストアが今年完成しました。レストアはアストンマーティン・ワークスが2500時間以上を費やして実施し、希少仕様であるSilver Birchのボディカラー、ハイパフォーマンスのヴァンテージエンジン、右ハンドルを備え、現在の評価額は驚愕の最大100万ポンド(約2億円)とされています。

レストアされたアストン・マーティンは希少性の高いモデル

アストンマーティン・ワークスは、50年以上にわたりひとつの家族と運命を共にしてきた1965年式DB5のフルレストアを完遂した。注目の車両は1972年、ウェールズ出身の溶接工でありガレージオーナーのジョン・ウィリアムズ氏が、18歳で「夢のクルマを手に入れる」と決意した瞬間からその歴史のタイマーは稼働した。

当時、DB5はただの高級スポーツカーではなく、若者にとっては憧れと象徴の存在であった。ウィリアムズ氏は約1年にわたり貯蓄を続け、残業を重ね、ついに900ポンドの現金を手にして19739月にロンドンへ向かった。夢のクルマは、モータースポーツ誌に掲載されていた1965年製DB5であった。

その個体は希少性の高いヴァンテージエンジンを搭載し、ウェーバーのキャブレター、ワイヤーホイール、Sundym電動ウィンドウといった当時の先進装備を備えていた。また広告には「many bills」と記載され、整備記録が豊富な車両であることがうかがえた。この仕様は、今日のコレクター市場において高い評価対象となっている。

購入後、DB5は同氏の愛車として4年以上、日常の足として使用された。しかし、1977年の中東での新たな仕事を機に車両は自宅の敷地での保管となった。その後、売却の話や資金の必要性に迫られる局面もあったが、妻スー氏に「もう二度と手に入らない」と説得し、手放されることはなかった。子どもたちがボンネットで遊び抜いたエピソードや、マフラーを折ってしまったという思い出は、家族に深く寄り添ってきた証でもある。

3年2500時間の濃厚なレストアを闘ったクラフトマンシップ

そして約半世紀を経て決意も新たに、車両を「元の姿で蘇らせる」夢の実現へ動き出した。レストアを依頼したのは、ニューポート・パグネルに拠点を構えるアストンマーティン・ワークス。70年にわたり13000台以上のアイコニックな車両を生産してきた歴史的地であり、このDB5が新車製造された本拠地でもある。

この個体は特筆すべき希少性を持つ。1963~1965年に生産されたDB51022台、そのうちサルーンは887台。そしてSilver Birchの外装にヴァンテージエンジン、右ハンドルという組み合わせは、わずか39台に限定される。

2022年後半からレストア作業が開始され、アストンマーティンの伝統技術を継承した職人たちが、シャシーとスーパーレッジェーラフレームを修復し、アルミボディパネルを手成形する旧来の工法を実施。パネル、ペイント、トリム、ヘリテージの各部門が総計2500時間以上を投入した結果、工場出荷時を超える仕上がりが実現した。アストンマーティン・ワークス代表ポール・スパイアーズは「市場に出れば最大100万ポンドの価値を持つ」とこの車両を評価している。

AMWノミカタ】

今回レストアされたDB5のエクステリアカラーにはSilver Birchが採用されているが、これは映画『007 ゴールドフィンガー』で登場した ジェームズ・ボンドが駆るアストンマーティンDB5が同色だったこと、そして通常より約40psアップしたヴァンテージエンジンが搭載されていることも価値を高める要因である。

レストアを敢行した「アストンマーティン・ワークス」はかつてアストンマーティンを生産していたニューポート・パグネルを拠点として、現在クラシックアストンの公式レストアや、純正部品の供給、そして現在では失われてしまった製造、修復技術を次世代に受け継ぐ会社である。このクルマが町の修理工場ではなく、ブランドが持つ技術力を伝承している「アストンマーティン・ワークス」で修復されたことも大きな価値がある。

ランボルギーニの「ポロ・ストリコ」は今年で10周年を迎え、マセラティの「クラシケ」は今年から日本での認定作業を開始した。このようなヴィンテージモデルを正しく修復する部門が増えることはクルマの価値とオリジナル性を高めるだけでなく、ブランドの歴史的遺産を後世に正しく伝える重要な役割を果たし、さらにはビジネス面での可能性を高める。

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