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かつては二束三文だったベルトーネ「X1/9」が再評価!今後の市場価格高騰を予感させる

かつては二束三文だったベルトーネ「X1/9」が再評価!今後の市場価格高騰を予感させる

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: iconicauctioneers

走行距離は約4万km!オリジナルを維持した上質な個体

アイコニック・オークショネアーズ社は、2011年に「シルヴァーストーン・オークション」として創業。2024年8月に現在の屋号「アイコニック・オークショネアーズ」に改組して再スタートを図ったという、クラシックカービジネス界では比較的新興勢力ともいうべきオークション会社である。

同社では創業当初から、毎月末に期間限定のオンラインオークションを開催しており、2025年9月のオークションでは18日に入札がスタート。1週間後の25日午後7時に締め切る設定をしていた。

この「アイコニック・オークショネアーズ」が開催した「The 25th September Online Timed Auction」に出品されたX1/9は、生産最終期のベルトーネ・ブランドによる英国向けRHD(右ハンドル)仕様車。「1500」エンジンとタルガトップを備え、さらに英国市場では「ベルトーネ・エディション」と銘打って限定販売されたなかのひとつである。

1988年8月、初代オーナーへと新車としてデリバリーされたこのベルトーネX1/9は、38年が経った今となっても、歴代オーナーはわずか5人。新車時からの通算でも2万5508マイル(約4万800km)しか走行していないせいか、荒れた個体の多いこのモデルとしては上々のコンディションを保持している。

また、使用頻度が極めて低いことも相まって、驚くほどオリジナルな状態を保っているのも大きな特徴という。X1/9は英国の道路状況に由来する錆による劣化が深刻なことで知られるモデルだが、この個体ではその心配は不要とのこと。サイドシルやトランクフロア、そのほかX1/9の弱点とされる錆発生ポイントはすべて錆なしで、唯一確認できる錆はフロントガラスの上隅、約1cm四方の部分のみと申告されていた。

くわえて、限定カラーであるブラック&レッドのペイント状態も非常に良好で、車体全体に目立った傷や汚れはほとんど無いとのこと。そのほかの外装部分も同様に良好なコンディションで、クロモドラ社製アロイホイールやバンパーの表面には腐食がなく、ほぼ新品同様の輝きを保っている。

インテリアはエクステリア以上に良好な状態、とアピールされていた。シートのボルスター部分やファブリック張りのシートインサート、ステアリングホイールなど、使用頻度の高い箇所にはほとんど使用感が見られないという。スイッチ類にはすべて白色の刻印が鮮明に残っており、電気系統もすべて正常に作動するとのことであった。

5人のオーナーすべてから大切にされてきたX1/9

肝心のメンテナンス面については、豊富な整備記録書類が付属しているという。とくに数多くの細かな内装パーツや定期点検、そのほかのエンジン周辺部品の記録から、使用頻度や走行距離に関わらず、このクルマが深く愛され、丁寧に維持されてきたことがうかがえる。

今回のオンライン入札に先立ち、アイコニック・オークショネアーズ社は公式オークションカタログ内で

「イタリアが誇る隠れた名車をお探しなら、この小さなフィアットX1/9は、英国のB級道路を駆けるのに最適な1台となるでしょう」

と、イギリス国内の嗜好性を刺激するPRフレーズを添えつつ、7500ポンド〜1万ポンド(邦貨換算約152万円〜203万円)という、なかなかリーズナブルにも映るエスティメート(推定落札価格)を設定した。

そして実際のオンライン競売では、1週間の入札期間を経て8100英ポンド。現在のレートで日本円に換算すれば、約170万円まで上がったところで締め切りを迎えた。

現在のイギリス国内クラシックカーマーケットにおけるフィアット/ベルトーネX1/9は、安価なものでは3000ポンド以下、高価なものになると2万ポンドを超えるような車両も流通しているようだ。現在の人気が継続するならば酷く荒れた個体は少しずつ淘汰され、いずれはコンディションに優れた分、価格も高めのクルマたちに収束されてゆくものと思われる。

その推測を勘案すれば、たとえ小さな錆があるとはいえ、今回のハンマープライスのようにリーズナブルな価格で入手できた落札者は、なかなか幸運の持ち主だったのではないかとも感じられたのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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