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“さらに勝ちに拘った”フォード シエラとは? 限定500台の「RS500」はまさかの約2000万円で未落札

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: iconicauctioneers

フォード専門家によってレストアされたRS500のマーケット評価はいかに?

「The Iconic Sale at the NEC Classic Motor Show 2025」オークションに出品されたフォード・シエラRS500コスワースは、FIAグループA/ES規約に基づいて1987年に製作されたシャーシNo.#224/500。惜しむことなく費用を投じた入念なレストアを経て、素晴らしいコンディションに仕上げられている。

長年にわたり数人の所有者を経たのち、2020年にフォードのエンジニアが購入し、自ら包括的なリビルド(分解再構築)を実施した。そのあとクラシックフォード愛好家である現オーナーが入手し、プロジェクトの残りを完遂するための資金を提供。レストアを完了させ、極上コンディションへと仕上げられることになった。

まずは肝心のメカニカル面については、サザンプトンの著名なパフォーマンスフォード専門業者「トレモナ・ガレージ」から調達した、純正スペックの「コスワースYBD」新品ユニットを搭載。換装後は、わずか600マイル(約966km)しか走行していない。

また補器類や関連部品はOEM+基準(純正品質を超える)で新品換装およびアップグレードされており、ステンレス製エキゾースト、コイルオーバー式サスペンション、インタークーラー、燃料ライン、ホース、ベルト、ブレーキなどをリニューアル。エンジンベイも極めて高い水準で整備され、すべてのボルト&ナットにいたるまで修復されていることには、入念な組み立てと細部へのこだわりが反映されている。

さらに、オークション前月にあたる2025年10月には「トルマン・モータースポーツ」社による追加の事前整備と点検が実施され、次なる所有者への引き渡しに向けた車両の完全性と準備状態が保証されることになった。

エクステリアのコンディションも極めて良好で、輝くようなブラック塗装とボディパネルは目立った傷もなく完璧な状態。修復工程で複数層のリペイントが施され、深みのある均一な仕上がりがボディ全体に保たれている。また、RS500固有のエアロパーツは正確に取り付けられ、ホイールやトリム類もすべて新車時の状態を保っている。

一方インテリアは全体として良好ながら、その大部分が新車時のオリジナルのまま残されている。現オーナーは「ヘッドライニングは非常に良い状態です」と語っている。レカロシートには軽い摩耗とわずかな「へたり」が見られるものの、これは40年近く経過した車両としては当然のことで、本物の快適性を保っている。

ただし、左ドア内側のガラストリムは現在調達中であり、ダッシュボード上部の右隅にはわずかな剥離が見られながらも、いずれも瑕疵(かし)は軽微。現オーナーは「このRS500の印象的なコンディションを損なうものではありません」と主張していた。  なお、公式オークションカタログ作成時点でのオドメーターは、31370マイル(約5万200km)を示していたそうだが、この数値はほぼ参考程度と見なしておきたい。それはレストアの完了後、とくに主要機械部品の交換を含む大規模な修復作業を経たのちの走行距離は、まだ1000マイル未満に抑えられているためだ。

くわえて今回のオークションでは「500 RSK」という希少なナンバープレートが、車両に取り付けられたまま販売対象に含まれていることも、英国内で登録を考えている入札希望者にとっては魅力的なメリットとなるだろう。

このフォード・シエラRS500について、アイコニック・オークショネア社では7万5000ポンド〜9万5000ポンド(邦貨換算約1580万円〜約2000万円)という、近年におけるこのモデルの国際相場を考慮すれば、比較的控えめにも感じられるエスティメート(予想落札価格)を設定していた。

ところがオークション当日、バーミンガムNECのホール2で行われた競売では、いまいちビッド(入札)の伸びが鈍かったようで、ビッド締め切りに至ってもリザーヴ(最低落札価格)には届くことなく、流札に終わってしまった。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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