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災害時のトイレ不足を解消せよ! 「トイレカー」が救う命と普及の現状

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TEXT: 犬塚直樹(INUZUKA Naoki)  PHOTO: 犬塚直樹(INUZUKA Naoki)

  • 全室洋式便器に洗浄式便座が付いている。全室冷暖房を完備
  • 身障者用の装備も考えられて設置されている。右側はオストメイト用の便器も完備されている
  • トイレは全部で5室。トラック前方、中程は左右に同じ作りの部屋となっており、後部は車椅子でも入れる広い作りの部屋のトイレとなる。後部のトイレは運転席側は階段で、助手席側は電動リフトでの昇降となる。広い部屋を中で仕切れるドアも付いている
  • 階段は両側に手すりが付いているので両手で支えながら上り下りが安全にできる作りだ
  • 電動リフトを装備しており、車いす利用者も室内まで昇降が可能だ
  • それぞれに写真やイラストなどで所有する自治体の車両の外装を彩っている
  • 2026年(令和8年)1月時点で、46自治体がトイレカーまたはトイレトレーラーを導入し、全国ネットワークの一端を担っている
  • 階段は手すり部分を取り外し、階段部を上部トイレの床面より上に跳ね上げる事で、扉の中に収納できる
  • 階段は両側に手すりが付いているので両手で支えながら上り下りが安全にできる作りだ
  • 給水タンクや汚水タンクが備わっており、汚水でいっぱいになったり、給水が空になると自走で汚水処理施設や給水施設まで移動が可能。この口はバキュームカーにて随時貯まった排泄物をここから汲み取る。車両の左右にどちらからでも汲み取り出来るよう装備されている
  • 車椅子等の階段を上がって利用出来ない方への配慮がなされた作りとなっている。リフトの反対側にも階段で昇降できる作りになっており、健常者も利用できる
  • 助手席側の昇降設備
  • 助手席側後方にあるリフトは電動式で、リモコンによる操作で昇降できる
  • 消毒用スプレーや水洗音が流れる「音姫」といった装備もあり、自宅以上?の設備の充実が図られている
  • 障害者用トイレの便器横の壁に設置されている各スイッチ類。室内の暖房用FFヒーターのスイッチやUSBの差し込み口などもある
  • 水洗や手洗いなどの水を貯める給水口。最大で950~1300回分のトイレ使用が可能
  • 全ての部屋に鏡と洗面台が完備されている。女性用のパウダールームとしても使用できる
  • 誰でも分かるように各スイッチにはシールが貼られている
  • 天井には換気扇も完備されている。その横には明るいLED室内灯。物入れの棚も全室設置されている
  • 乳児のおむつ交換台や子供用シートなど、小さな子供を持つ親にも便利な作りとなっている
  • 2026年(令和8年)1月時点で、46自治体がトイレカーまたはトイレトレーラーを導入し、全国ネットワークの一端を担っている
  • リヤのパネル一面にクラウドファンディングによる寄付をされた企業や団体、個人の方々の名前が記されている。寄付額で表示のフォントの大きさが分けられている
  • 夜でもドアの外側に外灯が明るく照らしてくれる。この灯りが明るいということが、性被害防止に大きく役立つ要因となっている
  • 2026年(令和8年)1月時点で、46自治体がトイレカーまたはトイレトレーラーを導入し、全国ネットワークの一端を担っている

災害時に最も身近で深刻化するトイレ問題
「助けあいジャパン」が取り組む社会問題

大地震や豪雨、台風など、大規模災害のたびに深刻化するのが「トイレ問題」です。インフラが止まれば避難所のトイレはすぐに使えなくなり、衛生環境の悪化が心身の健康を蝕み、命にまで関わります。この問題に正面から向き合っているのが、一般社団法人「助け合いジャパン」。全国の自治体にトイレカーやトイレトレーラーを普及させ、被災地へ全国から駆けつける支援ネットワークの構築を進めています。2026年1月時点で46自治体が導入済みですが、車両はまだまだ足りていません。日本全体で災害に備えるための、知られざるトイレ革命をレポートします。

なぜ、災害時のトイレ問題は命に関わるのか
衛生環境の悪化から感染症リスクが増大し…

地震や津波、火山噴火、豪雨など、大規模災害が発生すると、水道や電気などのインフラが広範囲にわたって機能を失う。その深刻な弊害のひとつとして、真っ先に問題化するのがトイレ不足だ。避難所のトイレは、あっという間に使用不能に近い状態になってしまう。

生きるための生理現象は、誰にも止められない。しかし、汚物があふれた不衛生なトイレでは、心理的に排泄できなくなる人が続出する。これが精神的なストレスを生み、体調不良へとつながる。衛生環境の悪化は感染症リスクも高め、場合によっては命を脅かす事態にまで発展する。待ったなしで対処しなければならない問題だ。

東日本大震災時に「助け合いジャパン」発足!
トイレカーネットワークを全国1741市区町村へ

この問題の解決に取り組んでいるのが、東日本大震災直後の2011年に一般社団法人化した「助け合いジャパン」が推進する「災害派遣トイレネットワークプロジェクト」だ。

プロジェクトの基本方針は、衛生的で安全・安心なトイレを「50人に一つの割合」で使えるようにすることにある。過去の大規模災害を振り返ると、東日本大震災の避難者は約40万人、熊本地震では約18万人にのぼった。今後予測される首都直下型地震では約700万人、南海トラフ地震では約900万人の避難者が見込まれている。

こうした数字を踏まえ、全国1,741市区町村の自治体がそれぞれ1台のトイレカーまたはトイレトレーラーを保有し、被害の大きな地域へ全国から駆けつけられるネットワークを構築することが目標だ。車両の調整や差配も、「助け合いジャパン」が一括して担う仕組みになっている。

導入される車両は、これまでの災害支援の経験をもとに規格化された基準で製造されたものを使用する。トレーラータイプはトイレ個室4室、トラックベースのトイレカーは5室を備える。いずれも電動リフトを装備しており、車いす利用者も室内まで昇降が可能だ。最新のショッピングモールを思わせるほど清潔で使い勝手もよく、ひとときの安心感を届けてくれる設備である。

導入費の7割を国の補助、残りはクラファン
コストと現状、そして導入した府中市に見習う

2026年(令和8年)1月時点で、46自治体がトイレカーまたはトイレトレーラーを導入し、全国ネットワークの一端を担っている。しかし、車両数はいまだ大幅に不足しているのが実情だ。2年前の能登半島地震では、当時全国に25台しかなかったトイレカーに対し、能登からの要請は82カ所にのぼった。全てのニーズに応えるには程遠い状況だった。

車両の価格は、2025年(令和7年)12月時点で、トラックベースのトイレカーが約2,600万円、トレーラータイプが約900万円。現在の導入比率はトレーラーが約6割、トラックが約4割となっている。

自治体が導入する際、費用の7割は国の補助制度(緊急防災・減災事業債)で賄うことができる。残りの3割をふるさと納税(クラウドファンディング)で補うことで、新たに住民の税金を使うことなく導入している自治体が増えている。

今回取材した東京都府中市の場合、能登半島地震の支援として七尾市へ緊急物資を届けた際、山梨県北杜市のトイレトレーラーが現地で活動しているのを目にしてプロジェクトを知ったという。その後、2024年(令和6年)12月の議会承認を経て車両を発注し、2025年(令和7年)8月に納車。約8カ月というスピードで導入を実現した。

「助け合いジャパン」は、トイレカーを災害時だけでなく、平時のイベントでも積極的に活用するよう提案している。日常的に使用することで担当者の習熟度が上がり、いざというときに迅速な対応が可能になるからだ。担当者の引き継ぎもスムーズになり、使用する人たちも抵抗感が減るなどメリットは大きい。しかも導入した車両を「宝の持ち腐れ」にしない工夫にもつながる。

全自治体への普及が実現すれば、日本全体が災害を支え合う仕組みが完成する。まず市民一人ひとりが、自分の住む自治体への導入を声に出して求めることが、最初の一歩になるはずだ。

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