新発想なサス設計でライントレース性は良好!
そしてハンドリング。
CX-60のハンドリングは期待どおり、なかなかなものだ。ハンドル操作に対して素直に反応し、ニュートラルでラインのトレース性もいい。SUVでこの軽快感があるのは立派だと思う。これはマツダのフロントダブルウィッシュボーン式サスペンションの良き伝統。CX-60に関して言えば、直6エンジンを縦置きに搭載したことで、サスアームを長くすることができ、それが接地性の良さを生み、ハンドリングの良さに貢献していることは間違いない。
一方であまり褒められないのが乗り心地。CX-60はデビュー当時から突き上げ感を指摘する声が聞かれたが、前後ショックアブソーバーの減衰力特性やスタビライザーなどを見直したとされる2025年モデルも改善された。しかし単発の段差や路面の継ぎ目程度なら「SUVならこんなものか」と許容できなくもないが、ギャップがいくつか連続するような箇所では、そのハーシュに対し強いショックを感じてしまう。
CX-60は、前後輪のタイヤの上下軌跡の回転中心を結んだピッチングセンターを、車両の後方に配置させることで作動軸を一致させるサスペンションの設計を試みている。これにより、ピッチングの発生をかなり抑えることに成功し、速度域を問わず、どんな路面でもほぼフラットライドをキープできるメリットを手に入れたが、その反面、路面からの入力は単純な上下動、マツダの言うところのバウンス挙動になって現れる。さらにCX-60は、リアサスペンションに一般的なゴムブッシュではなく、ピロボール/ボールジョイントを採用している。ピロボールといってもレーシングカーのような金属製ではなく、樹脂製のボールシートとグリス潤滑を組み合わせたものになっているが、もう少し熟成が必要と感じられた。
マツダとしては、ドライバーと車体の一体感、操作に対するクルマの反応のシンクロ性を重視して、新しいピッチングセンターの考え方やピロボールを採用したわけだが、このCX-60のキャラクターにあっていたかは疑問。とくに後部座席の突き上げ感が強い。リアシートだけ座面の硬さをソフトにしたり、20インチタイヤではなく、19インチあるいは18インチタイヤにして、バネ下重量の軽量化などを見直す必要はあるだろう。ただ考え方自体を全否定するものではなく、志は高いので、もう少し時間をかけて、じっくり煮詰め直せば、そのうち長所は光り、短所は影をひそめると、長い目で見ていきたいと思う。
操舵に対するヨーやロール挙動を抑えたハンドリング
もう一点付け加えると、CX-60は操舵と同時に発生するヨー、ロール挙動を最小化するために、フロントのキャスター角を立てている。これもセルフアライニングトルク(SAT)とトレードオフになるので、通常は直進性がスポイルされるが、CX-60ではリアサスペンションの特性を最適化しそれをフォローしたといっている。
今回の試乗では、少なくとも120km/h(新東名)ぐらいまでは、それほど直進性、高速安定性の悪さは感じられなくなったが、スタッドレスタイヤを装着していたこともあり、やや横風の影響を受けやすく、速度域がもう少し上がると安定性も頼りなくなってくる可能性は感じられた。これについてはタイヤ次第の面もあるので、参考までにということで。
まとめるとCX-60は動力性能、ハンドリング、燃費などはかなり優秀で、視界やドライビングポジションなどもよく、扱いやすくて、マツダ得意の「人馬一体」感はあるSUVと言えるだろう。
























































