クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • CAR
  • 世界限定35台のフルカーボンショートテールボディ! 初代「NSX」を現代に蘇らせる「テンセイ」の特別すぎるコラボ
CAR
share:

世界限定35台のフルカーボンショートテールボディ! 初代「NSX」を現代に蘇らせる「テンセイ」の特別すぎるコラボ

投稿日:

TEXT: AMW編集部  PHOTO: JAS Motorsport  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

ホンダの盟友たちが紡ぐ初代NSXの現代解釈した限定35台の特注車のコラボが凄い!

長年にわたりホンダのモータースポーツ活動を支えてきたイタリアの名門、JAS(ヤス)モータースポーツ。同社がブランド初となる特注スーパーカーを発表して話題を呼んでいる。1990年代を席巻した初代ホンダ「NSX」をベースに、ピニンファリーナがデザインを手がける夢のプロジェクトである。日本が生んだ至宝の骨格に、イタリアの最新技術と美学を融合させたドリームモデルだ。世界限定35台という希少なモデルが、現代のスーパーカー市場に新たな衝撃を与える。

ホンダとともに歩んだ名門レーシングコンストラクターJASが初代NSX再生の物語を紡ぐ

イタリアのミラノに本拠地を置くJASモータースポーツは、約30年間にわたりホンダとともに世界のレースシーンで戦い続けてきた。これまでに900回以上のレース優勝と100以上の主要なタイトルをホンダとともに獲得している。2013年にはFIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)でマニュファクチャラーズタイトルにも輝いている。その高い技術力は、世界中で広く知られ認められている。

そんなレースのスペシャリストが満を持して世に送り出す初の市販車が「テンセイ」である。モデル名は日本語の「転生」や「天生」を意味する。初代NSXのDNAを色濃く継承しながら、超現代的なスーパーカーとして生まれ変わらせるという開発哲学の表れだという。2025年11月には、富士スピードウェイで開催された限定イベントで極秘裏にお披露目されていたようだ。そしてついにベールを脱いだ実車に、世界中から熱い視線が注がれている。

英国Judd Powerチューンの3.5リッターV6NAエンジンは425馬力へハイパワー化

クルマ好きの心を激しく揺さぶるのは、その類いまれなる成り立ちだ。テンセイの骨格には、なんと1990年型の初代NSXのシャシーが贅沢に活用されている。当時の革新的なオールアルミニウム・モノコックがもつ優れた特性を活かした。一方で、下まわりのメカニズムは完全な新設計へとアップグレードされている。JASモータースポーツが30年の過酷なレース活動で培ってきた最先端の競技テクノロジーが、惜しみなく注ぎ込まれたのだ。

例えば足回りだが、初代NSXが持つ「軽量なアルミシャシー」というDNAを最大限に活かしつつ、25年以上のレース経験を持つJASの最新レーシングテクノロジーで現代風に、さらに後述するエンジンパフォーマンスアップに対処すべくアップデートされている。見かけはレストア風だが、中身は最新のハイパフォーマンスマシンと言える。

3リッターV6エンジンは、これまた古くからホンダとも縁が深い英国のレーシングエンジンデベロッパーであるJudd Power(ジャッド パワー)の手により、3.5リッター化され425馬力までNAエンジンのままで高出力化され、6速マニュアルミッションを組み合わせている。あえて「ジャッドが本気でチューニングしたV6エンジン」を「テンセイ」に組み合わせるというのは、往年のレースファンから見れば、歴史の文脈をJASが完璧に汲み取ったこれ以上ないほどエモーショナルで粋な演出でもある。

一方、ストッピングパワーも同時に強化された。フロント/リアともにBrembo製とされ、フロント側は 6ピストンキャリパーに大径380mmグルーブド(溝付き)ディスク、リアには4ピストンキャリパーとし345mmの同じくグルーブドディスクを装備。さらに、過酷なサーキット走行にも耐えられるようオプションとして、F1などでも使われる「CCM-R(カーボンセラミックブレーキ)システム」も選択できるようになっているという。

シティやビートから続くホンダとは深い縁をもつピニンファリーナ製ショートテールボディ!

この歴史的なシャシーを包み込むデザインを担当したのが、イタリアの名門カロッツェリアであるピニンファリーナだ。じつは、ホンダとピニンファリーナの縁は極めて深い。1984年に発表されたコンセプトカー「HP-X」は、のちの初代NSXの開発に大きな影響を与えている。同年の「シティカブリオレ」におけるオープンルーフ設計も彼らの仕事だ。さらには軽ミッドシップスポーツである「ビート」の原案デザイン(諸説あり)を手がけるなど、両者は歴史の要所で素晴らしい製品を共作してきた。

時を超えて日本が生んだ名機の骨格に、イタリアの最高峰の空力技術と造形美が融合する。今回のプロジェクトは、まさに歴史的な必然が生んだ奇跡のコラボレーションといえる。全身を覆うのはフルカーボンファイバー製の外板だ。現代のハイパースポーツにふさわしい、リアオーバーハングが極めて短いショートテールボディは見事なまでに圧倒的なオーラを放っている。

初代NSXにゆかりのあるレイホール一族が北米ディーラーとなって2027年デビューを待つ

この貴重なマシンは、世界限定わずか35台のみがハンドメイドで生産される。2026年後半には正式な一般公開を予定しており、実際のデリバリーが開始されるのは2027年からだという。主要な市場となる北米では、アメリカとカナダでそれぞれ強力な公式販売パートナーが任命され、完璧なサポート体制がすでに整えられている。

アメリカの販売を担うGRP(グラハム・レイホール・パフォーマンス)を率いるグラハム・レイホール氏は、インディカー・シリーズなどで活躍する高名なレーサーだ。彼の父親であるボビー・レイホール氏は、かつて初代NSXの北米仕様の開発テストに深く携わっている。グラハム氏自身も第2世代のNSXの開発に関わった人物だ。それだけに、今回のプロジェクトへの参画には並々ならぬ情熱を傾けている。また、カナダの窓口を担当する「ファフ・リザーブ(Pfaff Reserve:カナダ最高峰のハイパーカーや超高級希少車専門スペシャリストディーラー)」の販売店スタッフたちも、子供の頃に初代NSXのポスターを部屋に飾って育った世代が多いという。日本のアイコンに対するリスペクトは計り知れない。

かつて世界中のスポーツカーメーカーを震撼させた初代NSX。時を超えてイタリアのレース屋と名門カロッツェリア、さらには1980年代のF2エンジン時代からホンダと縁のあったエンジンデベロッパーらの手によって再び命を吹き込まれるNSX。1990年代のピュアなアナログシャシーを核に据えながらも、そこに最新の競技技術や、かつて成し得なかった1級のエンジン性能とデザインを注ぎ込む。これは極めて贅沢で、ある種、わずか35台という少数だからこそ成し得る狂気じみた挑戦でもある。しかし、だからこそテンセイには圧倒的な色気とストーリーが宿る。スペックシートだけでは決して語ることのできない、ホンダを取り巻くコネクションが紡いだ夢のマシンであることに疑いの余地はない。

気になる「テンセイ」の価格だが、標準的な仕様でも約100万ドル(約1億5900万円)に達する見込み。だが、この価格はあくまで「JASがモディファイ(改造・新設計)を行うための費用」であって、オーナーになるにはこれとは別に、ベースとなる「初代NSX(ドナーカー)」をオーナー自身が用意してJASに持ち込む必要があるのだという。

すべて表示
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

アーカイブ

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

人気記事ランキング

アーカイブ

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS