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「イプシロン」はランチア? それともクライスラー? イタリアの小さな高級車のルーツは「アウトビアンキ」でした【カタログは語る】

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

さらに優美さを増した2代目イプシロン

さらに車名表記を「Ypsilon」(初代までの表記は単に「Y」だった)として2002年に日本市場にもお目見えしたのがイプシロンの2世代目。全幅が1720mmとなったものの、当時の上級セダンだったランチア「テーシス」などにも通じるデザインに生まれ変わり、コンパクトカーながら一層の優雅さを身につけたクルマだった。

写真のカタログは初期型の本国仕様のもので、ボディ上下塗り分けを施した2トーン(Bカラーと呼んだ)なども用意された。また後のフィアット「500」でも採用された2ペダル仕様も用意されたが、その呼称は「D.F.N.」(Dolce Far Niente/何もしない甘美さ……といった意味か)というもの。メカニズムの呼称にもかかわらず、いかにもイタリアらしい名前のつけ方であった。

3台目イプシロンは日本ではクライスラー印で導入

そして日本市場でも2012年末から晴れて正式に導入されたのがイプシロンの3代目。ただし激しく残念だったことは当時のメーカーの事情から、ランチアが市場から撤退していたイギリスと同様に、日本市場でもクライスラー車として導入された点。車両前後のオーナメントとステアリングのセンターパッド部にクライスラーのバッジが付くことに「やれやれ」と思ったイタリア車好きは少なからずいたことだろう。

車両自体はいわばフィアット500の4ドア版といったところで、ホイールベースはフィアット500+90mmの2390mmで、フィアット500に較べピッチングの小さい良好な乗り味を示し、エンジンは0.9Lの2気筒ツインエア、これに「デュアルファンクション」とあっさりとした呼び名の2ペダル自動クラッチが組み合わせられた。日本市場への導入期間は2012~2014年とごく短かかった。

AMWのミカタ

3台目イプシロンは本国ではマイナーチェンジを受けながら今なお新車で販売されている。そしてステランティスグループの中でランチアブランドは再出発することを公表し、2024年に新型EVのイプシロンを投入するとともに、新型フラッグシップモデル、さらに新型「デルタ」を続々とデビューさせると表明している。イタリアの名門ブランドの復活に向けて、今のうちに日本のユーズドマーケットでは破格にお買い得な歴代イプシロンを味わっておくのも一興かもしれない。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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