ボディ別体のフェンダーが年式以上の古さを醸し出す
千葉県佐倉市で行われたサクラオートヒストリーフォーラムで、希少なボルボ「PV544」を発見しました。丸みを帯びたボディと、今ではほとんど見かけない「神5」という古い1桁ナンバーが目を引きます。このクルマは1959年式で、オーナーの父親が1962年に中古で購入し、以来家族とともに歴史を重ねてきたそうです。現在も動態を保ち、日本の輸入車史を物語る貴重な存在と言えるでしょう。
子供心に「古臭いクルマ」と感じた丸みを帯びたフォルム
国内外のビンテージカーが並ぶ会場で、今回紹介するボルボPV544は異彩を放っていた。フェンダーがボディとは別体となる丸みのあるデザインは、古いクルマであることを強烈に主張する。さらに、このクルマは「神5」という古いライセンスプレートを掲げており、かなり昔から日本国内に存在していたことになる。気になる詳細をオーナーの呉さんに伺った。
「このクルマは1959年式のPV544で、父が1962年(昭和37年)に中古で購入した車両です。私が12歳の時からずっと家にありましたが、子供心に『古臭いクルマだな』という印象を持っていましたね。とはいえ結局私が引き継ぐことになり、我が家とは切っても切れない存在となりました」
1944年からのデザインを20年間継承したPV544
自動車の歴史を大まかに振り返ると、ボディに対してフェンダーが別体で備わるデザインは第二次世界大戦前後まで一般的だった。その後、アメリカでは1949年にフェンダー一体でフルワイズの、いわゆるポンツーンボディへと一斉に進化を果たす。ヨーロッパでもやや遅れたもののポンツーンボディは採用され、1950年代中盤までにフェンダー別体のボディは、フォルクスワーゲン「タイプ1」やシトロエン「2CV」など、限られた車種のみという状況になっていた。
そんななか、1944年に発表され戦後間もない1946年に生産を開始したPV444は、その後1958年に登場する改良型のPV544でもボディ形状は大きく変わらず、1965年に生産を終了するまでこのデザインを貫いた。
じつはノスタルジックな見た目とは裏腹に、モノコックボディやフロントの独立懸架などを採用しており、動力性能も当時のクルマとしては優秀だった。呉さんが所有しているのは1959年式ということから、544にモデルチェンジを果たしたすぐ後のモデルである。
ちなみにスウェーデンは現在右側通行となっているが、1967年まで左側通行だった。ところがPV444/PV544に関しては右ハンドルではなく、左ハンドルが生産された。これは呉さん曰く1930年頃から右側通行への移行が検討されていたためだという。そのため取材車両も左ハンドルとなっている。
インテリアは新車時からのオリジナルで電装が6Vという驚異的なコンディション
ボディは呉さんの父親が所有していた1972年ごろに、1度元色でリペイントを受けている。基本的にはノーマルのままだが、ミラーのみALBERT社製のVW用社外品を装着している。インテリアはシートも含めてオリジナルのままというから、驚異的なコンディションと言えるだろう。
エンジンは1.6Lの直列4気筒OHVで、電装はオリジナルの6Vをキープしているが、キャブレターはWEBERのツインチョークキャブレターに交換している。シンプルな機構ゆえに、これまでトラブルは何度も経験しているが、その都度修理することで乗り越えてきたそうだ。
「現在日本国内にまともにナンバーが付いて動くPV544はおそらく数台しかないと思います。スウェーデンにはPVだけのクラブが存在し、6000人もの会員がいるそうで、パーツもリプロダクションが豊富に流通しているので維持は比較的楽です。なのでこのクルマは可能な限り乗り続けていくつもりです!」






























































