レジェンド級レーサーのもとで未登録のまま動態保存
今回ブロードアロー・オークションズ社「Zoute Concours」オークションに出品されたシトロエンBX 4TCは、シトロエン本社より、ル・マン優勝ドライバーでもあるジャン=ピエール・ベルトワーズさんに新車として贈呈されたという来歴を持つ個体である。ベルトワーズさんは1960年代から1980年代にかけてマトラやリジェ、ロンドー(イナテルラ)とともにF1GP、耐久レース、ラリードライバーとしても活躍した。
このBX 4TCには、当時のシトロエン、ヌイイ=シュル=セーヌ本社が営業部長ジョルジュ・ファルコネットさんの名で発行させた1988年9月8日付の証明書が付属し、ベルトワーズさんへの贈呈を証明している。そして2005年にモンテカルロで行われた公開オークションにおいて、ベルトワーズさんのコレクションの一部として売却されるまで、彼が所有し続けた。
現在に至るまで登録歴は一切ない。ベルトワーズさんが寄贈を受けたのちは慎重に保存され、定期的にエンジンを始動したのみである。その間に追加された走行距離は、約20kmに留まる。今回のオークション出品にあたって作成された公式オークションカタログの取材時点で、オドメーターが示す走行距離はわずか197kmであった。
また、6カ月以内に初めて使用開始されたか、走行距離が6000km未満であるため、欧州連合(EU)域内の移動においては新車扱いとみなされると申告されていた。
このシトロエンBX 4TCは、驚くべき保存状態を保つフルオリジナル車両であり、国際的なモータースポーツ史上最も挑戦的だった時代を象徴する、極めてピュアかつ正統な実例のひとつであることは間違いない。
オークション結果と今後の注目点
今回の出品にあたり、ブロードアロー・オークション社では出品者である現オーナーとの協議のうえ、10万ユーロから15万ユーロ(邦貨換算約1760万円〜約2650万円)のエスティメート(推定落札価格)を設定した。さらに、競売において最低落札価格を設定しない「Offered Without Reserve」とした。
この「リザーヴなし」という出品スタイルは、金額を問わず確実に落札されることからオークション会場の雰囲気が盛り上がり、入札(ビッド)が進むことも期待できる。ただしその一方で、たとえ入札が出品者の希望に達するまで伸びなくても、落札を止められないというリスクも持ち合わせる。
ところが、迎えた10月10日の競売では、リザーヴなしでありながらも流札となった。オークションのスタート価格が高価に過ぎたために入札が無かったようで、直後から「Inquire For Price(価格応談)」なる表示とともに継続販売とされていた。
結局、9万7750ユーロ、現在のレートで日本円に換算すれば1370万円という、グループBホモロゲート市販モデルとしてはかなりリーズナブルな価格で、次なるオーナーへと引き継がれた。





























































































