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ロードスター専門店が畑違いの「軽自動車レース」に参戦!HA36カップで初の表彰台をゲット

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • サーキット歴は20年と長いがほぼドリフト専門。グリップもレースもHA36が初体験
  • スズキ アルト:ロールケージにフルバケットシート4点式シートベルトと安全装備は車両規則のとおり
  • スズキ アルト:車高調はARYレーシング製。過去に数多くのチャンピオンを輩出した実績あるアイテム
  • スズキ アルト:リアにはオリジナルの樽型スプリングを採用している。気になる人は問い合わせてみよう
  • スズキ アルト:エアクリーナーとECU以外はノーマルのエンジン。バッテリーの軽量化すらしていない
  • スズキ アルト:HA36カップはECUの交換が認められている。パルスポーツと共同でオリジナルを開発
  • スズキ アルト:デカールの耐久性を高めるための小ワザ。鋭角な部分に上からシールを貼ることで剥がれにくくなる
  • スズキ アルト:スプリングのみロードスターでも愛用しているHALに交換。日本製でクオリティの高さも魅力
  • スズキ アルト:ラッピングを施し、大きくイメージチェンジした外観。協力してもらったメーカーやショップのロゴを入れた
  • スズキ アルト:田中の愛機 バンパーがマツダ キャロル用なのはロードスター専門店がゆえのコダワリ

ドリフトマシンしか作ったことしかない

軽自動車だけのレース、東北660シリーズで注目を集めるHA36カップには、さまざまなショップやプライベーターが挑戦しています。今回は、マツダのロードスター専門店でありながら軽自動車レースに挑んだ1人の若いドライバーに密着し、参戦までの背景とレースでの成長を追いました。

初の軽自動車メイクで苦闘した末に掴んだ表彰台

東北660シリーズで唯一のワンメイクレースが、2025年で4回目のシーズンを迎えたHA36カップである。車種が同一なうえ、他のカテゴリーより改造範囲が狭く、セットアップの優劣と走り込みの量が勝敗に直結する。

そんなレースにまったくの「異業種」からエントリーしているのが、岩手県の「ラヴィッシュモーターワークス」を率いる田中翔馬である。同店はマツダのロードスター専門店として知られるだけでなく、得意とするカテゴリーはグリップよりもドリフトだ。実際にHA36カップ参戦前はグリップで走った経験がほぼなく、またレース車両を製作したこともなかったと田中は振り返る。

しかし、東北660シリーズが盛り上がっていることを見聞きし、クルマを走らせる奥深さと楽しさをさらに極めたいと思い立ち、最新のカテゴリーであるHA36カップに参戦することを決意した。

すぐにスズキHA36型「アルト」の5速MTを購入し、手探りで製作をスタートさせた。ロールケージや4点式シートベルトなどの安全装備に加え、近隣のプロショップ「パルスポーツ」の協力でECUも開発。HA36カップ用レースカーの基本形はすぐにでき上がった。

しかし、グリップ走行が未経験に近かっただけに、当初はタイムが伸びず苦しいレースが長く続いた。表彰台どころか下位に沈むことも少なくなかったが、その間にも田中は我慢強くデータを蓄積し続けた。

結果に結び付いたのは2025年の開幕戦、6月29日のエビスサーキット東コースでのレースだ。予選で3番手という好ポジションを獲得し、決勝も順位を落とさず3位でフィニッシュ。さらに1分21秒628でファステストラップまで記録した。

FRのようなサス特性を目指して特注リアスプリングを製作

大躍進の原因はサスペンションにある。フロントを中心に従来から大幅なセッティング変更を施したそうで、アクセルを踏むとリアが沈み込むFRのような特性を目指したという。そのためにスプリングのメーカー「HAL」にて、低反発の樽型リアスプリングを特注で製作してもらった。

車高調キットそのものはHA36カップで何度もチャンピオンを獲得している「ARYレーシング」製だ。キャンバーはボルトで4段階の調整ができるため、セッティング幅が広く使いやすい。また自社のアライメントテスターで入念な測定と調整を繰り返し、万全のコンディションで2025年の開幕戦に挑んだ。

ラヴィッシュは歴代ロードスターを中心に足まわりの再セットアップ依頼が多く、ロードスターのドリフトに限らず多種多様なリクエストに対応してきた実績がある。それらの経験が今回のレースにも活かされたのだろう。

ボディ前面ラッピングによって存在感とレース中の無用な接触を予防

もうひとつ大きく変わったのはボディのカラーリングだ。2024年までは代車にも使えそうな真っ白だったが、気分を一新するため全面にラッピングを施した。剥がれやすい角の部分には丸型のシールを貼り付け、カッコよさと耐久性を両立させたのが自慢のポイントである。運転している自分のテンションが上がることに加えて、レース中は他車へ存在をアピールできる効果もあり、無用な接触を避ける副産物までもたらしてくれそうだ。

初の表彰台をゲットした田中だが、もちろん、それで満足はしていない。勝ち負けより楽しむという大前提を決して忘れず、より速いタイムと上のポジションを狙っていく。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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