轍の乗り越えは舗装路でも圧雪路でも非常にスムース
まず、接地面積を最大化するための極めてスクエアに見えるショルダー形状がもたらす直進性や操舵の落ち着きといったところへの影響がどうなのだろうか? 205/55R16を装着するカローラツーリングで走り出すと、想像以上にしっかりとしたステアリングの座り感が得られており、かつ舵の立ち上がり、つながりも不自然さを感じさせないものだった。このあたりは左右対称形状となったケースも効いているところかもしれない。これなら雪のない路面や圧雪路でも扱いやすそうだ。
旭川市内を走りながら、意地悪く多少の轍状になった路面を探しながら走らせてみると、ワンダリング的な左右への唐突な動きもなく素直に乗り越えていくので、ステアリングの修正に気を使わされることはなかった。
前後の車両に十分な距離があることを確認しつつブレーキペダルの踏み加減をいろいろと試して、交差点近くにありがちな磨かれたアイス路面でのABS作動域までのグリップ度合い、さらにABS作動域に入った際の減速感などをチェックしてみる。スタッドレスタイヤのなかでもアイス性能がトップレベルを謳うだけのことはあり、期待以上の減速度が得られることを確認した。
北海道らしく直線が延々と続く道では、雪による軽い轍ができているような状況であえて轍を踏み外すような動きをさせてみたが、ここでも乗り越え時の動きは素直で安定性も高い。なるほど、グリップレベルだけじゃなく、運転のしやすさ、扱いやすさが向上しているのも進化のひとつと認識した。
駆動力や舵角の変化を与えても挙動変化は穏やか
旭岳のワインディングに近づくにつれ積雪量は増加し気温も低下したきたがが、標高1000mの旭岳温泉周辺での気温はマイナス7℃どまりだった。このため路面の雪もサラサラというほどではなかったが、雪質はほどよくトレッド面に雪がまとわりつき詰まる感じで、WZ-1のトレッドパターンによる雪柱せん断力と排雪性能の双方を知るにもいい環境だ。
ここではクラウンクロスオーバーから走り出したが、標準で備えるDRS(後輪操舵)の効果は大きかった。除雪直後で表面がフラットに近い雪面ながら、その下は氷っているような路面でも、コーナー入り口からほぼ外側に膨らむ感じなく鼻先が入り、さらにコーナ途中からは後輪の前輪と逆相操舵の威力で、自ら向きを変えるように素直に曲がる。ついついペースも上がりがちだったが、WZ-1は雪面を捉える横方向のグリップ感そのものがVRX3よりも頼もしく感じさせる。あえてアクセルを踏んで駆動力に変化を与えても、急激に舵が抜けるようなことなく、粘りながら狙ったラインを維持しようとする。さらに駆動力にわざと強い変化を与えた際も、意図した以上の急激な姿勢変化は生じにくいのだった。雪性能の向上とともに、アイスにおける横方向のグリップの高さを実感させるところだ。
試乗車をさらに重量車のアウディQ5に変えてみた。コーナー途中に橋があり途中で急にカチカチに凍っている路面に変わるようなところで、あえて少しオーバースピード気味でコーナー進入すると、さすがにフロントから外側に膨らんでいこうとする。ただ、それでもこうした動きに対しての舵の切り増しやアクセルオフへの応答感はしっかりと得られる。重量車は慣性力も大きいので滑りだしてからの動きが大きくなりがちなのだが、WZ-1では本当にグリップを失う域までに余裕があることが体感上でわかる。それゆえ操作も余裕をもって行えるのだった。

アイス性能だけに特化せずバランスよく性能を嵩上げ
ちなみに、冬用タイヤでは、雪面では基本として単位面積あたりの接地荷重が大きいほうがグリップ性能には有利となるので、タイヤ幅は車重に対して過負荷にならない範囲で細いほうよいことが多い。だが、一方で氷面は接地面積自体が大きいことが重要なので、そのバランスが難しいところとなる。
こうしたことも含めて、車種とその4WDのシステム、それにタイヤサイズによる多少の印象の違いはあった。しかし総じて、そもそもアイスブレーキ性能が優秀だったVRX3に対してさらに同性能を大きく向上させながら、しっかりと横方向のグリップも引き上げて、その上で限界域の予知性とその先のコントロール領域が同時に引き上げられていた。VRX3では総合性能として若干アンバランス感もあったスノー性能も着実に高められている。つまり、WZ-1は欲しいところに望んでいた性能をしっかりと盛ってきたという印象だった。同時に、このWZ-1により、スタッドレスタイヤのベンチマークレベルがまた一段高められたことを認識することにもなった。








































