クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • CLASSIC
  • 走行2万kmの極上個体でも落札されなかったフォード「エスコートRSコスワース」!じつは希少なエアロレス仕様だった
CLASSIC
share:

走行2万kmの極上個体でも落札されなかったフォード「エスコートRSコスワース」!じつは希少なエアロレス仕様だった

投稿日:

TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: iconicauctioneers

英国フォード愛好家のもとを渡り歩いた極上の元エアロデリート仕様

「The Iconic Sale at the NEC Classic Motor Show 2025」オークションに出品されたフォード・エスコートRSコスワースは、英本国にデリバリーされた右ハンドル車だ。イングランド国内での車両履歴を記した「V5登録証明書」には6名の所有歴が記載されており、その多くはフォード界隈で著名なコレクターや愛好家が名を連ねている。

1995年8月にイングランドの南西部デヴォン州タヴィストックのフォード正規ディーラー(当時)「ラドモア」社を介して納車された最終型。ボディは、RSコスワースの基本ボディカラーである「ダイヤモンドホワイト」。これに黒のレザー内装とスライディングルーフを組み合わせた「ラックス(LUX)」仕様だった。

興味深いことに、この個体は新車オーダー時には極めて稀なエアロレス仕様「エアロデリート」オプションで発注され、テールゲートによりおとなしい「RS2000」と同じく、ロワー側のスポイラーのみが装備されていたという。

しかし、2019年に無類のハイパフォーマンスフォード愛好家である現在のオーナーが、「ホエールテール」純正アッパースポイラーとフロントのエアダムスカート、エアダムと左右フロントフェンダー接合部を埋める「ホッケースティック」を装着した結果、現在ご覧のとおり「RSコスワース」おなじみのスタイルとなった。

走行2万kmの極上コンディションの最終型

今回の競売出品を手掛けた「アイコニック・オークショネアーズ」社の公式カタログ掲載時点での走行距離は、わずか1万2458マイル(約2万km)。このローマイレージからも予想されるように、内外装およびメカニカルコンディションは非常に良好で、実際コンクール・デレガンス優勝歴を持つ車両とのことだ。スタンダードクラスにおいて5回のイベントに出場し、優勝1回・準優勝4回のトロフィーを獲得しているという。

また、新車として販売したディーラー発行のオリジナル資料一式、ウィンドウステッカー、サービスブックを含むオリジナルブックレットが付属。サービスブックには長年にわたる整備記録が詳細に記載されている。整備記録簿の最終スタンプは2024年、走行距離計が1万2453マイルを示した時点で「アプリシエーティング・クラシック」社によるオイル&フィルター交換が記録されている。

このRSコスワースについて、アイコニック・オークショネアーズ社では「走行距離、コンディション、仕様を考慮すれば間違いなくコレクターズアイテムと言えます。この魅力的なRSコスワースの真価を実感いただくため、ぜひご見学をお勧めいたします」と、自社の公式オークションカタログ内で高らかに誇示しつつ、10万ポンド~12万ポンド(邦貨換算約202万円〜242万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

ところがオークション当日、バーミンガムNECのホール2で行われた競売では、いまいちビッド(入札)の伸びが鈍かったようで、最終的にもリザーブ(最低落札価格)には届くことなく、流札に終わってしまった。

グループA時代においてはもっともエクストリームな成り立ちから、現在の国際クラシックカー市場においては、ランチア・デルタHFと並ぶ価格的評価を受けているといわれるフォード・エスコートRSコスワース。しかし、大径ターボを搭載したとされる前期2500台のホモロゲート車両ではなく、より洗練されつつもピュアさでは一歩劣る最終期型であること、あるいは元「エアロデリート」仕様車を改装したというヒストリーが、もしかしたらマーケット評価に影響を及ぼしたのでは……? という可能性も、あながち否定できないものと思われる。

12
すべて表示
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
著者一覧 >

 

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

人気記事ランキング

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS