マンソリーがGクラスを2ドア化した完全特注のオープンモデルを公開
モナコで開催されたモーターショー「トップ・マルケス・モナコ」にて、ドイツのチューナーであるマンソリーが完全特注モデル「MANSORY Azura(マンソリー アズーラ)」を公開した。メルセデス・ベンツ新型「Gクラス」(W465型)をベースに、強靭な屋根を切り落としてあえて2ドアのオープンカーへと作り変えるというカスタマイズが施されている。すべての車両が1台限りの特注品として生み出されるモデルの仕様が明らかになった。
スーサイドドアを採用してルーフレスのオープンカーへ作り変える
すでにマンソリーは「Speranza」と呼ばれるメルセデス・ベンツ Gクラスのコンバーチブルモデルを手がけているが、今回の「Azura」はさらなるカスタマイズを施している。本来4ドアであるGクラスを単にコンバーチブルにするだけでなく、前席のドアを延長し、Bピラー側にヒンジを備えるいわゆる「スーサイドドア(逆開きドア)」へと大改造しているのだ。
自動車において、ルーフ(屋根)はボディのねじり剛性を担う極めて重要な構造物である。一般的なモノコック構造のSUVをオープン化する場合、ボディ全体の強度が著しく低下するため補強が極めて困難になる。しかし、Gクラスはトラックなどと同様の頑強なラダーフレーム構造を採用しているため、ボディ上部を切り落としても車両のベースとなる強度が保たれやすいという利点がある。
マンソリーはこうしたGクラスの構造的特性を活かしつつ、フレームやサイドシル周りに複雑かつ徹底的な補強を施すことで、ルーフレスでも悪路を走破できるだけのボディ剛性を確保したのだ。さらに、OEM(純正部品製造メーカー)基準で電気系統やシール類も再構築しており、全天候型の電動ソフトトップを備えることで、年間を通じて実用的に使えるオープンモデルへと昇華させている。

4.0リッターV8エンジンをチューニングして820馬力へ引き上げる
徹底的に手が加えられているのはエクステリアだけではない。ボンネットの下に収まる4.0リッターV8エンジンには、より大型のターボチャージャーと、新設計のダウンパイプを備えた高性能エキゾーストシステムが組み込まれている。さらにECU(エンジンコントロールユニット)のプログラムを最適化することで、ノーマルで585馬力だった最高出力は820馬力へと大幅に引き上げられた。
最大トルクも850Nmから1150Nmへと向上しており、そのパワーと極太のトルクによって、重量級のボディでありながら0-100km/h加速はわずか4秒という数値を記録する。最高速度は250km/hに制限されているが、四角いボディのオープンカーがこの速度域で疾走する光景は迫力があるに違いない。足元には295/30R24という巨大なサイズのタイヤと、マンソリー独自の「FC.15」合金ホイールが組み合わされ、強大なパワーを確実に路面へと伝える。
オーナーの好みに合わせて後部座席をシングルシートレイアウトに変更
すべての車両が1台限りの特注品として生み出される「One of One」の哲学は、インテリアにおいても徹底されている。後部座席は独立したラグジュアリーなシングルシートレイアウトに変更されており、カスタマイズ可能な専用のセンターコンソールが鎮座している。
レザーの種類やカラーリング、カーボンパーツのあしらいからステッチの縫い方に至るまで、すべてがオーナーの好みに合わせてフルオーダー可能だ。マンソリーのロゴがあしらわれたシートベルトや、フルカーボンのスポーツペダル、精緻なキルティングが施されたフロアマットなど、細部のディテールに至るまで妥協のないクラフトマンシップが貫かれている。

莫大なコストをかけて誰も見たことがない唯一無二の1台を作り上げる
世界中が電動化や効率化へと舵を切る現代において、大排気量のV8エンジンを極限までチューニングし、ボディの屋根まで切り落としてしまうこのクルマは、時代に逆行する存在かもしれない。しかし、だからこそAzuraが放つエネルギーは、見る者の心を惹きつける。
莫大なコストと途方もない手間をかけて、誰も見たことがない理想の1台を作り上げる執念は、効率だけでは測れないクルマの面白さそのものである。内燃機関の鼓動を感じながら、逆開きのドアを開けて街を流すという、選ばれた者だけが味わえる至高のカスタマイズモデルとして、その存在感を放ち続けている。










































