クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • CLASSIC
  • 幻のミッドシップ&ロータリー搭載車が登場!シボレー「コルベット」50周年記念イベントで見た圧巻のスケール【クルマ昔噺】
CLASSIC
share:

幻のミッドシップ&ロータリー搭載車が登場!シボレー「コルベット」50周年記念イベントで見た圧巻のスケール【クルマ昔噺】

投稿日:

TEXT: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  PHOTO: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)

ZZトップがステージを熱くする“音楽の街”ナッシュビル

メインイベントの会場となったのは、NFL(ナショナルフットボールリーグ)テネシー・タイタンズの本拠地、ザ・コロシアムという巨大なスタジアムである。実は、クルマが並べられたのはスタジアムの外側だった。スタジアム内には音楽イベントのブースが作られていて、コルベット・アニバーサリーのためにここで演奏をしたのは、なんとZZトップであった。個人的に好きだったZZトップの生演奏を聴けるとあって、当時はかなり興奮したものだ。

その演奏に先立ち、夕方から(ZZトップの演奏は夜)ナッシュビルのダウンタウンを、年代順に並んだコルベットの車列がパレードした。ご存知の人も多いだろうが、ナッシュビルは「ミュージックシティー」の異名を持つ音楽の街としても有名である。エリック・クラプトンも使う有名なレスポールを生み出した、ギブソン・ギターの本拠地でもあるのだ。そんなわけで、コルベットのイベント会場にもギブソンのブースがあり、ファンは自由にギターに触れることができた。音楽マニアならばそちらの方に目が行くかもしれないと思ったものだ。

このイベントの主催者は、もちろんコルベットを生み出したGMだ。キャラバンを組んでナッシュビルを訪れたのは、皆熱心なコルベットオーナーたちである。それは全米各地に点在するコルベットオーナーズクラブが協力してメンバーを募ったもので、同時にナショナル・コルベット・レストアラーズ・ソサエティが強力なバックアップ体制を整えていた。このイベントに全米から集まったコルベットはおよそ1万台。強力なバックアップがあったので、安心して長旅ができた。

歴代モデル49台のほか15台のコンセプトモデルを展示

会場イベントは、歴代コルベット49台が(1983年は生産されていないため50周年だがクルマは49台となる)年代順に並べられ、希少なコルベットやレース車両の展示もあった。なかでも必見だったのは、GMがヘリテージセンターに収蔵している、日頃見ることができないコンセプトモデルの数々が一堂に展示されたテントだ。

有名なスティングレイ・レーサーから、1970年代に模索されたミッドシップ・コルベットなど総計15台が展示された。ミッドシップ・コルベットは、量産型として最新のC8で結実したが、状況さえ許せば1970年代に実際の生産型が誕生したかもしれない(現実的にほぼ生産直前まで行ったという)史実がよくわかる。

また、コルベットには2種のロータリーエンジン搭載車も存在した。そのうちの1台が会場に展示されたが、このロータリーエンジンはなんと2基の2ローターエンジンを、90度の位相をつけて配置したものだった。このレイアウトでアメリカの特許を取得しているそうだ。

残念なことに、ちょうど石油ショックが世の中を襲い、燃費の悪いロータリーの開発にストップがかかったことで、このクルマの命運も尽きた。ちなみにGMは2ローターエンジンをシボレー ヴェガに搭載して量産化の計画を立てていた。そして、RC2-206と呼ばれた2ローターエンジンを搭載したコンセプトカーがあり、「XP895」と名付けられたそのクルマは、なんとポルシェ「914」のプラットフォームを使っていた。

■「クルマ昔噺」連載記事一覧はこちら

12
すべて表示
  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 幼いころからクルマに興味を持ち、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾る。 大学在学中からレースに携わり、ノバエンジニアリングの見習いメカニックとして働き、現在はレジェンドドライバーとなった桑島正美選手を担当。同時にスーパーカーブーム前夜の並行輸入業者でフェラーリ、ランボルギーニなどのスーパーカーに触れる。新車のディーノ246GTやフェラーリ365GTC4、あるいはマセラティ・ギブリなどの試乗体験は大きな財産。その後渡独。ジャーナリスト活動はドイツ在留時代の1977年に、フランクフルトモーターショーの取材をしたのが始まり。1978年帰国。当初よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動し、すでに45年の活動歴を持つ。著書に三栄書房、カースタイリング編集室刊「世界の自動車博物館」シリーズがある。 現在AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)及び自動車技術会のメンバーとして、雑誌、ネットメディアなどで執筆する傍ら、東京モーターショーガイドツアーなどで、一般向けの講習活動に従事する。このほか、テレビ東京の番組「開運なんでも鑑定団」で自動車関連出品の鑑定士としても活躍中である。また、ジャーナリスト活動の経験を活かし、安全運転マナーの向上を促進するため、株式会社ショーファーデプトを設立。主として事業者や特にマナーを重視する運転者に対する講習も行っている。
著者一覧 >

 

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

人気記事ランキング

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS