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世界が注目した約4億円のマセラティ「200SI」!半世紀を超えても輝く“戦う芸術品”はオークションで流札

世界が注目した約4億円のマセラティ「200SI」!半世紀を超えても輝く“戦う芸術品”はオークションで流札

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2025 Courtesy of RM Sotheby's

サーキットイベントからコンクール・デレガンスまで楽しめる超絶美麗レースカー

レースカーとしての現役時代を終えた1972年、クライン氏はこのマセラティ200SIを著名なコレクター、ウェイン・ゴロンブ氏に売却した。このときゴロンブ氏は、エンジンNo.2425のオリジナルユニットが搭載されていたことを確認している。同氏は、エンジンをブロックはそのまま2.5Lにスケールアップするなど、メカニカルパートに徹底的な修復を施したのち、愛車となったマセラティを12年間にわたりさまざまなサーキットイベントで楽しんだ。

その後200SIは1980年代後半にかけて、「ジョー・マルケッティ」や「スティーブ・バーニー」ら信頼できるディーラーを介して所有者が変遷する。この期間中には2度「ミッレ・ミリア・ストーリカ」に参加し、クラシックカーレースにおける長く実り多いキャリアの礎を築くことになる。

1994年9月、200SIはロンドンのフィリップ・マルクに売却された。フルレストアを施され、FIAの「HTP(ヒストリック・テクニカルパスポート)」を取得している。1999年にはドイツのコレクターが入手。この個体には2.5LのデュアルイグニッションDOHCエンジンが搭載されていたことが確認された。同年11月のヴァッレルンガ戦、2000年4月のスパ・フランコルシャンで開催された「シェル・フェラーリ/マセラティ・ヒストリック・チャレンジ」に出場した。さらに2000年と2001年にはニュルブルクリンクで開催された「オールドタイマー・グランプリ」にもエントリーしている。

そして2007年、現在の所有者であるカリフォルニア在住のマセラティ愛好家が買い取り、直ちにフルレストアを委託した。現在搭載されているエンジンは、ウィスコンシン州ハートランドにあるリック・バンクフェルト率いる名門「ヴィンテージ・レストレーション・サービス」社によるリビルドを含む、大規模な修復が施された。

その後、現オーナーは2013年から2023年にかけてラグナ・セカ「モントレー・ヒストリックス」で数度にわたり本車を駆り楽しんだ。最近では2024年の「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」においてスペシャル・マセラティクラス(展示のみ)に参加するという栄誉に浴している。その3カ月後にはFIAの「HTP(ヒストリック・トラベル・パーミット)」を更新し、2034年12月まで有効である。

RMサザビーズ北米本社は、今回のオークション出品に際して作成した公式カタログにおいて

「ヴィンテージレースでのさらなる楽しみや、コンクール会場での展示に理想的なこの卓越した200SIは、17年間にわたる入念な手入れを経て出品され、マッチングナンバーのエンジンと、数多くのレース用スペアパーツが付属しています。モデナの美しい戦後スポーツレーサー愛好家の皆様へ、トライデントの純粋なモデルであり、形と機能の頂点とも言えるこの稀有な1台を手に入れる絶好の機会をご検討ください」

と謳いつつ、280万ドル~300万ドル(邦貨換算約4億1441万円〜4億4400万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

そして迎えた8月16日のオークション最終日。モントレー市内の大型コンベンションセンター、および今年からは隣接するホテルにも会場を広げて挙行された対面型競売では、締め切りに至っても出品サイドが設定していたリザーヴ(最低落札価格)に届くことなく流札となってしまう。

現在は新たに275万ドル、最新の為替レートで日本円に換算すれば約4億420万円までプライスダウンした価格設定で、継続販売されているようだ。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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